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思い出泥棒  作者: 素敵な三人組
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アルバム

最初の日


 Aが起きたその日の朝は、いやにどんよりとした曇り空であった。起きた時から、いつもの風景なのに何か異世界に来たような感じがした。匂いというか空気というか、何かが変わっているような不思議な違和感をAは感じたのだ。明日という日は、Aにとって特別な日であった。明日は同窓会があるのだ。Aにとって、それは明日といえども、待ち遠しいし、はやく昔の旧友に会いたい気持ちであった。昔の仲間とは、今は一切付き合っていなかった。だが、それだけに懐かしい友達に又会えることは新鮮な喜びであった。「あいつは今どうしているだろう、あの子は今も綺麗だろうか」など、昔の思い出が甦る。ふと、Aは昔のアルバムを見たくなった。そこで押入れの中からアルバムをとりだすことにした。アルバムは押入れの中で、静かにひっそりと、置かれたままになっていた。埃だらけのアルバムを、息で、ふっと埃を飛ばしてからAはアルバムを開いた。ぱっと目に飛び込んできたのは、修学旅行の時のお寺の写真であった。確か、京都に行ったはずである。その証拠に背景に三十三間堂が見えている。写っているのは女の子たちだ。楽しそうにしている。4人の内の右から一人目の女は、そういえば親を亡くした話を聞いた。今は、どうしているだろう。幸せになって結婚でもしているだろうか?次にAが目をとめた写真は運動会の写真である。応援団の団長が写っている。彼は率先してリーダー役をやっていた。たぶん、今でもあの性格は変わらず、今頃は社長にでもなっているのだろうか?次に目に止まったのは、部活動の写真である。Aは写真の中の女の子を見て懐かしんだ。Aは当時、この女の子が好きであったのだ。Aの中で彼女の記憶はずっとあの時のまま止まっている。人間は変わってゆくだろう。彼女もあの時のままの彼女ではない。それはある意味では別人なのだ。しかし、Aの中ではいつでも、彼女はあの時の年齢のまま変わらない。

 ここで、ふとAはアルバムを見ながら思った・・私がいない・・。確かにいない、どこにもいないのである。そこで、私は全員の写真が載っているページを開いてみたが、そこにも載っていない. 「おかしい、名前すらない。」一瞬クラスを間違えたかとも思ったが、間違えるはずがない。その証拠に当時のクラスの親友であった洋君が写っているからだ。ふと、私は思い出した。修学旅行の時に、二人が写っていた写真があったはずだ。以前一度だけ、アルバムを開いた記憶を思い出した。その写真はすぐに見つかったのだが、私は写っていなかった。代わりに、見たこともない人物がそこにいた。一体この人は誰だろう。見たこともない人物である。注意して、アルバムをに渡すと、あちこちに、見知らぬこの人物がいたのである。よくよく、思い出せば、そこには私がいたはずである。もう一度、名前の載っている写真を見ると、その見知らぬ人がいる。その下には、Bという名前が書いてある。聞いたこともない名前だ。

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