大冒険! アリのリアと素敵な友だち
数ある中から作品を選んでいただきありがとうございます!
絵本をイメージしながら作りました。
オオクロアリのリアは自分よりも大きな葉っぱを力いっぱいかじって運んでいます。
リアは周りのアリより小さなアリでした。
自分だけはずっと時間がかかります。
道は凸凹しているし、小石はリアにとっては大きな岩でした。
このかじっている葉っぱも何の役に立つのかは分かりません。
誰にも必要とされていないのかもしれません。
だって今は迷子になってしまったのですから。
途中からいつもの匂いがなくなってしまって、家が分からなくなっちゃったのです。
でもたくさんいるアリの中で一匹くらいいなくなっても、心配するアリは居ないのかもしれません。
そのうち疲れたので、葉っぱを置いて、リアは小石に腰掛けました。
すると遠くから泣き声が聞こえます。
声のする方を見ていると小さなイモムシでした。
「どうしてそんなに泣いているの?」
「お腹が空いちゃったんだ」
リアはイモムシの目の前に、葉っぱを置きました。
「それなら、はいどうぞ」
「ごめんね。ぼく、その葉っぱは食べないんだ」
リアはびっくりしました。
葉っぱなら何でもいいのかと思っていたからです。
「じゃあ、役に立たないね」
「でも気持ちは嬉しかったよ。お礼に背中に乗せてあげる」
イモムシのモイはリアを乗せて動き出しました。
小さい者同士。少し進むだけでも大変だったけれど、仲間ができたみたいでリアは嬉しくなりました。
「モイはひとりでさみしくないの?」
「はじめからひとりだからね。さみしくないけど、誰かに会えると嬉しいよ」
「そっかぁ」
リアもモイと一緒だからさみしくありませんでした。
◆
そのまま進んでいくと、ぽたぽたと雨が降ってきました。
近くの葉の下でリアとモイは雨宿りをしました。
視線の先にはダンゴムシが歩いていました。すごく歩きづらそうです。
リアは葉っぱをダンゴムシにかけてあげました。そしてモイのいるところまで一緒に行きました。
ダンゴムシは大きく息をつきました。
「わぁ、どうもありがとう。ぼくはダンゴムシのゴンダ」
「私はオオクロアリのリア。迷子なの」
「ぼくはイモムシのモイ。お腹ぺこぺこ」
皆で話をしていると雨が止みました。
「お礼に葉っぱがたくさんあるところを教えてあげるよ」
ゴンダの言葉にモイの顔は、ぱっと明るくなりました。
皆は歩き出しました。
◆
ゴンダの行く方へ皆で進んでいきます。
すると音がするので後ろを振り返ります。
なんとそこにはクモがいました。
「ぐるるる〜」とお腹がモイの代わりに返事をしました。
「クモだ、逃げないと!」
クモの相手はアリと、お腹ぺこぺこのイモムシ、それにダンゴムシです。
クモが追いつけないわけがありません。
「ラッキー! おいしそうなイモムシだ!」
クモは喜びました。
皆はあわてて逃げ出します。
ゴンダが何かを見つけました。
「あっ枯れ葉がある。あれに乗って水たまりを進もう」
リアは頷くと、かじっていた葉っぱをクモに投げつけました。
そしてゴンダとモイを枯れ葉に乗せると、それは水たまりの上を動き出しました。
「リアも早く!」
アリはジャンプが得意ではありません。
葉っぱを投げつけられて不機嫌なクモはリアを追いかけます。
クモの足がかすりましたが、リアは急いで近くの細長い葉に登り始めました。
葉は弓のように大きくしなると、びよんとゴムのように勢いよく戻りました。
そして宙に投げ出されると、落ちた先はゴンダとモイのいる枯れ葉の上でした。
水たまりがあって、クモはリアたちを追えません。地団駄を踏んでこちらを見ているだけでした。
◆
ゴンダはクモの怖さのあまり泣き始めました。それを見たリアも家が恋しくなり泣き始めました。
それを見たモイはお腹が減って泣き始めました。
泣いても枯れ葉の上は変わりません。
それでも風に押され水たまりの上をゆらゆらと動いていきます。
そのうちにリアはふたりの泣き顔を見て、「私、ひどい顔してる?」と聞きました。
「いやいや、ぼくのほうがもっとひどい顔だよ」とゴンダは顔を見せてきます。
「それなら、ぼくのほうがもっとひどいよ。だってお腹ぺこぺこだもん」
モイの言葉に皆で笑ってしまいました。
しばらくすると水たまりの端までやってきました。
誰の言葉もありませんでしたが、皆は枯れ葉から下りようと思いました。
するとふわりと葉が浮いて、空を飛びはじめました。
◆
リアがすばやく上を見ると、鳥の大きなくちばしがありました。
「見て、私たち飛んでる!」
「枯れ葉をくわえているんだ。ぼくたちは食べられちゃうよ」
「あぁ、ぼくもお腹が空いた。食べられそうな葉っぱはどこだろう?」
空高くまで登った鳥は空を気持ちよく飛んでいます。
リアたちは枯れ葉の上で落ちないようにしがみついていました。
それでも長くはもちそうにありません。
「もう落ちちゃう。ふたりともさようなら」
「鳥に食べられるくらいなら、ぼくも一緒に行くよ」
「じゃあ皆で行こう」
リアたちは空に投げ出されました。
それも束の間、すぐに落っこちていきました。
下からびゅうびゅう風が吹いてきます。
そして、リアたちはぐんぐん落ちていきました。
そして二度、三度、葉に当たりながら地面に落ちると、枯れ葉のクッションの上でした。
「いたた、皆は大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「ぼくも大丈夫。あっ! みかんの葉だ」
モイは急いで登っていきます。
「リアとゴンダ、ありがとう。ぼくはみかんの葉を食べるイモムシなんだ」
「モイ、さようなら」
「モイ、元気でね」
リアとゴンダはモイとお別れしました。
リアはちょっぴりさみしい気持ちになりました。
しかし、懐かしい匂いがしてきます。
「この匂い知ってる! お母さんや家族の匂いだ」
「そうなんだ。良かった」
リアは匂いについていくように歩いていきます。しばらく歩いていると、見慣れた巣穴が見えました。
「良かった。私のお家があった」
すると家族が巣穴から迎えに来てくれました。リアはとても嬉しい気持ちです。
「良かった。ぼくはこの近くのじめじめしたところにいるからね」
「ありがとう。ゴンダ、またね」
「うん、またね」
リアは笑顔でゴンダと別れて家へと帰りました。その日、リアは大冒険のお話を夢中でしました。
◆
それからゴンダとはよく会うようになりました。いつものようにリアが巣穴から外へ出ると、空を何かが飛んでいるのを見つけました。
それを見ていると、こちらへと近づいてくるのでした。
それはなんともきれいなアゲハチョウでした。
他のアリたちも、あまりのきれいさにおどろいています。そのアゲハチョウはリアの目の前に降りました。
「リア、ぼくはモイ。覚えているかな?」
「もちろん。すごく変わっていてびっくりしちゃった」
リアの家族はモイの姿におどろきました。
「このきれいなアゲハチョウはだあれ?」
「私のすてきな友だち」
そしてモイはリアをつかむと羽を広げて飛びました。巣穴も葉っぱも木も小さくなっていきます。
リアは風をうけながら、モイと一緒に空を飛んでいきました。
お読みいただきありがとうございました。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!




