出発
人間が長い歴史、生きる=服従(労働)という歯車になってしまってからこの一年でそれが揺らぎ始めた。家畜として長らく見下していた人間とアルカによってスパイであったシルフの男から街を救い、更にそれを倒した。これを多くが目撃していた。一方でシルフとアルカの国は対立し、戦争の手前までに関係は悪化。両者は戦争の準備に取り掛かり作戦を練る間、睨み合いが続いた。
さて、街を救った奴隷とアルカだったがその両者は図書館の司書殺害事件の加害者として現在指名手配中だった。シルフとの関係が怪しまれ、その両者の行方を政府は追っている。
そんなこんなで私達は街の混乱の中地下を移動し、街の出口からなんとか脱出する。そして、国境を目指し移動を開始した。この国から追ってをまくにはそれしかなかった。
「あなたに返すわ」
主人は魔法で指輪に封じていた魂を私の肉体に戻した。体の影が戻ると、今度はシルフから奪い返した指輪から魂をアルカは取り戻した。
両者が魂を取り戻し終えるとアルカは言った。
「別の国に行っても暫くは私が主人ということ?」
「はい。人間が一人で行動するのは危険でもし良かったらですが」
「構わないよ。でも、もう主人というのは建前にしといて。もう、私達は主従関係ではないのよ。これから私達だけの間は名前で呼んで」
「あの……」
「なに?」
「名前を教えていただけませんか?」
「え? 言ってなかったっけ」
「はい」
「エスティよ」
「エスティ様……」
「エスティでいいよ。これから宜しく」
……それから二ヶ月、アルカとシルフの国は互い宣戦布告をし、平和は途絶え、再び戦争の時代へ突入することとなる。




