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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第一章 終わりに向かう二つの世界【第一部1】

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1-91 近所に住む最強のパワフルおじいちゃんの無双

 さて、このままここで戦ってもいいけど……やっぱり生存確率を上げるために皆と合流したほうがいいかな。


 俺はマップで彼女の姿を確認、合流するためにガラスが全て壊れた開放的な窓際に移動する。


「トモキ、こっちだ!」

「ああ!」


 向かいのビルの上に移動していたリアンは俺に向かって義手を飛ばし、何をしたいのかすぐに理解した俺は床に刺さった義手を掴む。


「そらよっ!」

「おおっと、っと!」


 高速で巻き取られるワイヤーに安定性なんてものはなく振り落とされそうになるが、俺はどうにかしがみつき皆と合流した。


「ヒョウスベさんを援護しつつ周囲の敵を倒すぞ。だがくれぐれも安全第一でな」

「戦場で安全第一とか、なんか変でヤンスねえ」


 戦場を見渡せる屋上にはサスケやザキラも集まっており、分厚い配電盤はトーチカとしては最適でここならば上手く戦えるだろう。


 M9はあまり遠くの敵を撃つのには向かないが、ビルは三階建てくらいなのでこれくらいの距離なら問題ないはずだ。多少威力や命中精度が落ちても掠るだけでいいわけだし。


「うわああ!?」


 ただそんな事がどうでも良くなるくらい嬉しい誤算があった。


 ヒョウスベさんは銃弾の雨をもろともせず突き進み、鉄パイプという極めて原始的な武器でNAROの特殊部隊を秒殺してくれた事だ。


「ちょ、ぎょっ、べっ!?」


 防弾チョッキやアサルトライフルなどで重装備をした隊員は面白いように吹き飛んでいき、虎が子をいなす様に軽くあしらわれてしまう。


「あらヨッ!」

「なああ!? き、機神兵が!? 導入したばかりの二千億の最新鋭の機神兵がァ!?」


 それだけではなく彼は動かない機神兵の延髄に当たる部位に鉄パイプを突き刺し、再起不能のダメージを与えた。


 かつての戦争では数十億の戦車が数万くらいのドローンで破壊され世界中が衝撃を受けたが、まさか技術の粋を集めて作った近代兵器があっさり不良御用達の武器で壊されるなんて誰も思ってもいなかったのだろう。


「アン? 取りあえず壊したがこのガラクタはそんなに大事なものだったのカ? ったく、あんたら俺がジジイだからって舐めてるダロ。こちとら歳は食っちまったがガキにやられる程落ちぶれやいねぇヨ。頼むから死なないでくれヨ? イワシ並みに弱いアンジョ様の身体はすぐに壊れちまうからナア!」

「ギャース!?」

「援護っつっても……あれアタシらいらなくね?」

「だよなあ」


 本気のヒョウスベさんは端的に言って化け物染みた強さでザキラは逆に引いてしまう。ぶっちゃけ俺達が何もしなくても問題なく勝てそうだ。


「クソ、何で兵器が動かないんだッ! とっとと動かせッ!」

「今やってまっギョギョエーッ!?」


 NARO達はどうにかして動かない近代兵器を再起動して対抗しようと試みるも、やはりぽんぽんぽーんと吹き飛んでいった。


 まれっちがどのような技術を用いて厳重なプロテクトが施された兵器を止めているのかは謎だけど、一番やべぇのはそんな芸当が出来る彼女かもしれない。


 まあ仮に近代兵器があったとしても、あのおじいちゃんは鉄パイプで機神兵を倒すようなお方だし勝つのはやっぱり難しいかもしれない。


 彼と戦った時に手加減していたのはもちろんわかっていたがこんなに強かったなんて。お年寄りだからって馬鹿にしちゃいけないね。


「なあ、この世界にはああいう化け物がゴロゴロいるのか?」

「流石にあれは特別だ。ただあのじいさんはさっきの話を聞く限りセトナイ諸島の水軍で隊長をしていたらしいが、あそこのイムシマ水軍はレムリア最強と名高く海での戦いは常勝無敗と知られている。つまりそんなイムシマ水軍で隊長をしていたあのじいさんは最強の中の最強ってわけだ。多分余裕で黒騎士カムナともタメを張れると思うぞ」

「わぁお。俺どえらい奴と戦ったんだな」


 ザキラはイムシマ水軍なるどこかで聞いた様な組織について教えてくれた。


 瀬戸内海には昔戦国最強の傭兵組織と知られる村上水軍がいたけど、やっぱりイムシマ水軍は村上水軍がルーツだったりするのだろうか。


「ちなみにアニキはその両方に勝っちゃったのでもうすぐ物凄く噂になると思うでヤンス。きっとそのうち名をあげたい人に狙われると思うでヤンス」

「えー。どっちも勝ったかって言われると微妙なんだけど……」


 男らしさや強さに憧れがあるサスケは鼻息をふんふんと荒くして解説してくれたが、俺は最悪の知らせに気が重くなってしまう。


 そのうち武を極めし鬼っぽい格闘家に襲撃されたりするのだろうか。全く勘弁してほしいものだ。


『確かにヒョウスベは強い。一人でもこの場にいる敵を全滅させる事は出来るよ。ただ一生懸命戦っているリーダーは君が何とかしな。上手くいけばしばらく時間を稼げるよ』

「へいへい」


 けれど今が戦闘中である事は間違いない事実だ。俺達を狙う敵は大体ヒョウスベさんが倒してくれるが、それでも討ち漏らした敵とかはいるしやる事はちゃんとある。


 ゲームではないのでヘイトなんてものはないが、もしも可視化出来るのならNAROは全員ヒョウスベさんだけを警戒しているはずだ。つまり俺達を気に留めている余裕などなく、いくらでも攻撃し放題というわけである。


 半泣きで逃げ惑う敵にとどめを刺すとか絵面はあまりよろしくないけど、俺はちまちまと隊員をバステ弾で眠らせ着実に数を減らしていった。


 マップ機能があるのでどこから狙っているのかは一目瞭然で楽にも程があるけど、油断は死に直結するので気を緩めてはならないだろう。

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