表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第一章 終わりに向かう二つの世界【第一部1】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

50/227

1-49 福岡城の埋門からの脱出

 埋門に近付くとアイコンが表示されたので俺はすぐにウィンドウのボタンを押して管理者権限を実行、土の壁はすぐに消滅し同行者はおお、と驚いてしまった。


「こっちの階段だ! 早く!」

「おっとっと、ああ!」

「ザキラさんも!」

「おう!」


 門を通れば普通は直進するものなので、突っ込んでしまったリアンは急ブレーキをかけ石垣の中にあった地下へと続く急な階段を降りていく。


 だが全員降りた直後、自力でバステを全て解除したカムナが再び接近してくる様を俺は目の当たりにしてしまう!


「おわっと!」

「トモキ!」


 俺は階段を転げ落ちながら管理者権限を再度実行、門を埋めて通行出来ないようにした。リアンはすぐに俺を受け止め、そのまま彼女を押し倒す様な形で着地してしまう。


「痛て、サンキュ」

「ハハ、生きてるか、相棒?」


 吊り橋効果第二弾、床ドン状態の俺のすぐ目の前には八重歯を見せて笑うリアンの姿があり、態勢も態勢なので俺は少なからずときめいてしまった。


 なお地上でカムナが大剣で殴りつける音が響いたがしばらくして音はやんでしまった。国の史跡という事もあるかもしれないが、きっとあの土壁は見た目以上にずっと頑丈なのだろう。


「やーいやーい! 悔しかったらこっちに来るでヤンス、黒騎士カムナも大した事ないでヤンスね! ヒィ!?」


 サスケはすっかり勝ち誇った笑みを浮かべこれでもかと煽るが、最後に放たれた強烈な怒りの壁ドンによってしっぽを丸め大人しくなってしまう。


「いやー、でもお前すげえな! まさか黒騎士カムナを出し抜くとは! 流石オレの相棒だぜ!」

「お、おう」

「まあ半分はアタシの手柄だけどな」

「もちろん! ザキ姉もありがとな!」


 ようやく安全地帯に逃げ切り、また黒騎士カムナを退けるという大金星に、リアンは男友達の様に激しくスキンシップをしてこれでもかと喜びの感情を露わにした。


 ただ向こうにそのつもりは無くてもやっぱり、ねえ。ポリコレやら信用スコアやらで男女の過度な関わりが避けられるようになった俺達の世界ではまず見られなかった光景だが、異世界じゃこういうのは普通なのだろうか。


『じゃれ合うのもいいけどとっとと移動しな。脱出したらそこで買い物も出来るから薬を飲んで一休みしておきな』

「わかった。じゃあ先に急ぐぞ」

「おう!」

「はいでヤンス!」

「ああ」


 俺達の様子を観察していたまれっちはククッと笑いながら俺に伝えた。こんなジメジメした場所に長々といるものでもないしさっさと外に出るか。


「いやあ、でも結構楽しかったな! チェイスバトルとか黒騎士カムナをぶっ倒してさ!」

「いや全然」

「えー! なんでだよー! もっと武勇伝を作っていこうぜ~?」

「生憎そういうのは間に合ってるんだ」


 興奮冷めやらぬリアンは俺に絡むが、生憎俺はもう二度とこんな経験をしたくなかったのでそう答えると、彼女は不満だったのか再びベタベタと引っ付いてウザ絡みをする。


 こういうのが楽しいって人もいるだろうけど、やっぱり命のやり取りなんてせず個人的には平穏無事に生きて生きたかったからなあ。


 ただこうして信用スコアとかを気にせず和気あいあいとじゃれ合うのは悪くないかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ