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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-126 入手:鳴滝のメモリカ

 ……………。


 ………。


 …。


 草原に横たわっていた俺は後頭部にぬるりとした感触で目が覚め、ウーパを枕にしている事に気が付いた。


「よくねむれた?」

「うぱー」

「ん、ああ」


 マタベエが用意してくれたウーパは程よくひんやりしているので枕としては意外と悪くない。でもちょっと可哀想なので解放してあげよう。


 ウーパはのそのそと歩き水場に戻り、漂う様に水面をゆったりと泳ぎ始める。わざわざこのためだけに来てくれたのだろうか。


「トモキさん、おはようございます」


 仮眠をしたアマビコはまだ少し疲れていた様だが、どうにか正常に会話が出来る程度に回復する。だけど俺はなんとなく彼の雰囲気に違和感を覚えてしまった。


「おはよう。どのくらい眠ってた?」

「一時間くらいでしょうか。マタベエのおかげで僕もリラックス出来ましたよ」


 何故だろう、俺は彼の声をどこかで聞いた気がする。


 もちろん一緒に過ごしているからもちろん今までアマビコの声は何度も聞いているけど、何でこんな思考をしてしまったのだろうか。


「……………」

「アマビコ、どうした? ボーっとして」

「いえ、なんだか懐かしい夢を見た気がして……よく思い出せないんですけど」

「そっか」


 眠っていた俺も彼の夢を見た気がする。


 もしかすると同じ夢を見ていたのかもしれないけど、どんな内容だったのかはっきりとは思い出せなかった。


「うぱー」

「あれ、どうしたの……ってメモリカだ」


 しばらくして先ほどのウーパが戻って来たが、ウーパはメモリカを口にくわえていた。


 その人魚の鱗を思わせる光を放つメモリカは楽園の海の様に美しく、鑑定スキルを使うまでもなく最高品質の物だとわかってしまった。


「ともだちをたすけてくれたおれいだってー」

「うーん、どうしましょう」

「いいんじゃね、貰えるものは貰っておけば」


 メモリカはピンキリとはいえ基本的に高級品であり、欲のないアマビコは受け取る事を躊躇してしまった。


「鳴滝のメモリカだって。回復系だけどかなりいいものっぽいぞ」


 けれど鑑定スキルで効果を確認した俺はこれがかなり役立つと即座に理解し、彼に是が非でも貰う様に促す。


「回復系ですか。確かに今後何かあった時に役に立ちそうですね」


 そのメモリカは『鳴滝のメモリカ』という名前で、『鳴滝の祈り』というわかりやすいスキルが付与されていた。


 簡単に言えば物凄く回復するチートにも程があるスキルだが、使い道はいくらでもあるだろう。


「これでトモキさんの回復弾を強化出来ますか? そうすれば何度も使えますしそのほうがいいでしょう」

「いいのか? こんな凄いものを」

「どう考えてもそっちの方が利益になりますし、たくさんの人を助けられるのなら躊躇う理由はどこにもありませんよ」

「そうか、わかった。じゃお言葉に甘えて」


 アマビコの主張は筋が通っていたので、俺は早速M9に鳴滝のメモリカをセットした。


 元々便利なスキルだったけど、完全に上位互換なスキルを付与した事で今後はさらに活躍するはずだ。


 これで回復に関してはもう何も心配いらないだろう。皆が戦ってるのに回復に専念する主人公ってちょっと悲しいけど。


「……クスノキ」

「アマビコ?」

「いえ、何でもないです」


 しかしこのスキルは誰かの記憶と引き換えに得られたものだ。アマビコは付与の際に生じた光を寂しげな眼差しで見つめたが、すぐに普段通りの彼に戻ってしまう。


「だからクスノキって誰? ドコのギャル!?」

「姉ちゃん、まだそのネタ引っ張るの」


 その単語を聞いてドタドタとやって来たニイノは寝起きのアマビコに絡んだ。だけど彼女は何故クスノキをギャルだと思い続けているのだろうか。


 クスノキにあんまりそういうイメージはないんだけど、普遍的な共通認識でもあるのかな。


 同じ植物系の名前ならアザミとかエリカは奔放なイメージがあるけど。なお後者は特定の人物と関係ございません。


「アレ? アマビコ、なんか雰囲気変わっタ?」

「気のせいだよ。寝起きだからじゃないかな」

「そっかー」


 ニイノはアマビコをじっと見つめたが、正直未だにディーパ族の顔を見分けられない俺からすれば普段と何ら変わらない。


 けれど身内にしかわからない些細な変化があるのかもしれない。少なくとも試練を乗り越えた事で医者としても人間としても一皮むけたのは間違いないだろう。

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