3-108 温泉で有名なユフィン
隠す気もないネーミングのユフィンのモチーフがどことは言わないけれど、ここも人類が繁栄していた頃と変わらず大分屈指の観光スポットとなっている様だ。
ユフィンはエリアによって趣のあるレトロな温泉街、豊後富士を筆頭とした自然の絶景、イギリスのコッツウォルズ地方をモチーフにした場所など、様々な楽しみ方が存在するので一日ではとても回り切れないだろう。
「ここがユフィンだゾ。この辺は昔から観光地として人気だったけど、実はキーアはそんなに行った事はないゾ」
「地元の観光地って案外そんなもんだよな」
俺達はかつての世界でも観光のスタート地点となる駅周辺エリアに降り立ち、キーアは全都道府県共通のあるあるネタを言った。
かくいう自分も京都、長崎と観光資源に恵まれた場所に住んでいたのに、ほぼほぼ地元の観光地に行った事はない。
駅前エリアには時代を感じる観光バスが集まっており、余所行きの格好をした団体客らしき人々がツアーを行っていた。もしかすると昔の定番だったという社員旅行でもしているのかな。
ユフィンには様々な地域から観光客が訪れており、鑑定スキルで見た掲示物には『きばろうナジム!』みたいなニュアンスの文言が書かれていた。
また別の場所には『水害復興支援協賛店』という文言のシールも張られており、地域一丸となって復興に向けて頑張っているらしい。
民度が高過ぎるにも程がある。やはり水害の影響は少なからず出ている様だが、売り上げの一部は被災地の支援に当てられる様だ。
「有り体になるけど金を落としまくりな。そうすりゃ被災地を応援出来るから。というわけでクラフトビールを買い占めようか。このあたりのクラフトビールはねぇ……最高なのよぉ、にゅふふ」
「あんたはそれしかないんですか。けどそれもそうですね。俺の財布から酒代を出すつもりはないですけど」
それらの掲示物を見ていた事に気付いた希典先生はご機嫌な笑みを浮かべる。酒を買うのはともかく、こういう場所に来る機会もそんなにないし思いっきり散財するのもいいかもしれない。
「おう、じゃあ早速なんか食おうぜ! 地獄蒸しってのが美味いらしいぞ!」
「あっちでどら焼きの実演販売をしているそうでヤンス!」
「へいへい」
大義名分を得たリアンとサスケはタダ飯にありつこうとおねだりをした。現金な奴らだけど、今回くらいは大目に見ておくか。




