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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-95 憧れのレストラン、ジョイフー

 煌びやかな大都会、ニューナジムならばさぞかし贅沢が出来ると思っていたが、俺達が訪れた店は物凄く見覚えがある場所だった。


「有名なレストランってジョイフーかよ!?」


 そう、その店は全国的にも有名なファミリーレストラン、ジョイフーだったので俺はすかさず突っ込んでしまう。


 ちなみに現実世界でもジョイフーは実は大分発祥で元々は焼き肉店だったけど、その事実を多くの人は知らないだろう。


 戸惑う俺に、カムナは何度も聞いた事実を改めて説明してくれた。


「このお店はアンジョが利用していた飲食店を再現したものだそうです。アンジョが食べていたものはそれだけで格式が高いものになりますから、トモキさんにとっては馴染み深いものでも立ち位置的には高級路線なわけです」

「ああ、そうでした。そういうヘンテコな世界観なんでしたっけ」


 ただそれでもやはり普通のファミレスから高級店への大躍進はなかなか受け入れられなかった。


 確かに大衆店が進出先の海外では高級店、というのはあるあるネタだけど。


「うう、都会は嫌いだけどキーアはずっとこのお店でご飯を食べてみたかったゾ。本当にご馳走になっていいのか?」


 しかしよだれを垂らして目を輝かせているキーアの反応を見る限り一般的にはこのリアクションが正しい様で、都会嫌いの彼女ですら食欲の誘惑には抗えず興奮した様子で俺の顔を眺めた。


「はやくおみせにはいろうよー。ごはーん」

「だな」

「んゾ!」


 マタベエは物欲しそうに俺の甚平をちょいちょいと引っ張ったので、ともあれさっさと入店する事にする。


 こんな所でじっとしていても仕方がないし、この現実を受け入れてさっさとメシを食おう。


 店内の内装は俺の知っているジョイフーとは違い木目調の落ち着く素朴な雰囲気で、今とは違い分煙もされていない。


 時代を感じるけど完全禁煙が法律で決まったのっていつからだったかな。


 唯一ファンタジー要素を感じるのは客層がナジム族やサトリ族を含め、ディーパ族やマミル族など随分とファンタジックな事か。


 どうやら九州が誇る国民的ファミレスは異世界でも盛況らしい。


「おお、なんかいろいろあるゾ!」

「ワンワン、ワンワン!」

「はしゃぎ過ぎだっての。サスケ、犬になってるぞ」

「そりゃなるでヤンスよ! ジョイフーでヤンスから!」


 とりわけキーアとサスケは憧れのファミレスに大興奮してしまい、サスケに至っては犬扱いしても全く不機嫌になる事はなかった。


 こんなに可愛いリアクションをしてくれるのならいくらでも出すに決まってるさ。


「智樹ちゃん、お前さんはこの状況に戸惑ってるみたいだけど、別に変じゃないよぉ」


 引率役の希典先生は開いている席を見つけ先に座る。テーブルもちゃんと動かしてくれているし、いつもはまずしないさりげない気遣いが怖い。


「今でこそファミレスは手軽な食事になったけど、昔は手の届く贅沢だったんだ。最近の若いもんはステーキがご馳走じゃないなんてほざいているけど、昔は外で食べるってなったら大はしゃぎしたものさね」

「かもしれませんね。食糧難のおかげでまたご馳走になりましたけど」


 こういう古き良き時代を懐かしむ穏やかな表情を見ると希典先生はやっぱり血の通った人間なのだと実感してしまう。本当の悪人はきっとこんな寂しそうな顔で笑ったりしないだろう。


「見ていても料理は出てこねぇぞ。早く注文しろっての」

「そうだな」


 腹が減っていたリアンは俺を急かしたのでさっさと席に着く。


 さて、異世界ならではのメニューもあるけどどれにしようかな?

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