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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-87 クエスト・ブゴッタマーケットで贈り物の洗濯機を探そう

 駄菓子屋で誰しもが経験する残酷な世界の真実を知り、少しだけ大人になった俺は本編を進めるために贈答用の三種の神器を探しに向かった。


 ただ一言に家電と言ってもマーケットには様々な商品が売られており、複数の人間によって構築されたマーケットなので、一カ所に類似の品物が陳列されておらず探すだけでも一苦労だった。


 同じ商品でも店によっては倍以上価格が異なる上に、発売された時期もまるで違うものばかりだ。


 また売っている方もまるで組み合わせを考えておらず、武器とぬいぐるみが並んでいたり、家電と一緒に魚が並べられていたり、品物にも統一感がない。


「うーん、いろいろあるゾ。どれがいいのかわからないゾ」


 カオスな闇市って感じがしてウィンドウショッピングをする分には楽しいけど不便極まりない。


 知識のある俺ですら迷ってしまったので、家電に疎いキーアはなおの事どれを選べばいいのかわからないはずだ。


「三種の神器……テレビと冷蔵庫と洗濯機だっけ。テレビなんて映るのか?」

「ナジム村は田舎だから持っている人はほとんどいないけどちゃんと映るゾ。レスリングの試合とかがあったら近所の人が集まって見るんだゾ!」

「はは、そこまで同じなのか」


 昭和当時もテレビはそこまで普及しておらず、彼女が楽しそうに語った様にテレビのある家に人々が集まって見ていたと聞いた事がある。


 英雄とも呼ぶべきアスリートの戦いぶりにご近所さんと一緒に一喜一憂する様は、きっと試合が行われている会場よりも盛り上がっているに違いない。


「ただ実の所予算がそんなにないんだゾ。アマビコの魔よけの値段が思っていたよりも安かったんだ。最近買う人も減ってあんまり売れなくなったからナ」

「伝統文化に絡んだ民芸品なんて大体そういうものだからなあ。時期になったら飾る以外に使い道もないし」


 キーアはお金のエネルギー的な物が充填されたカードを寂しそうに見つめる。


 日本でもイワシの飾り物を飾っている人はあまり見かけたくなったし、生活様式が変わって文化が衰退すれば売れなくなっても仕方がないだろう。


「だから予定よりも安く抑えなきゃいけないけど、なんだかいつもより値上がりしてる気もするゾ。なんでだ?」

「やっぱ災害絡みじゃないのか」

「んー、ならしょうがないゾ」


 また彼女いわくマーケットの商品は割高状態らしい。


 しかし頻発している災害によって物流もかなり混乱しているだろうし、市場としてはそうなるのが自然のはずだ。


 いかにコストを抑えればいいかを考えながら品定めをしていると、恰幅の良い店主のおばあさんが声をかけてきた。


「どうだい? 洗濯機と一緒に魚を買っていかないかな?」

「なかなか聞かない組み合わせのアピールですね。というかこの炎天下の中で生魚って大丈夫なんですか?」

「平気平気、この辺のグリードは胃袋が鍛えられているからね、多少腐ってても問題ないよ」

「はあ……」


 俺は衛生状態が気になったので尋ねたが、おばあさんはまるで気にしておらずお腹の肉を揺らして豪快に笑った。


 どローカルなものは食べてもその辺は気を付けるべし、って同じく甚平を愛用する旅人も言っているし、嗅覚スキルやアンテナがなくてもハエがたかっているこの魚を食べるべきではないのは誰でもわかるだろう。


「痛て……おえっぷ」

「大丈夫か? 飲み過ぎたんじゃねぇの?」

「いや、きっとあの腐りかけの魚を食ったせいだな。腹が痛くて痛くて……」


 会話の途中苦しそうな声が聞こえ、そちらに視線を向けると具合の悪そうなナジム族の男性がいて、友人らしき人物が背中をさすって気遣っていた。


「だ、大丈夫だ。けど朝からずっとトイレに行っててさあ。しんどいし今日はもう帰るわ」

「そうかあ? でも実は俺も米のとぎ汁みたいな変な色の奴を出して、なんかだるいんだよ」

「そうそう、俺のもそんな色だったよ。今日はこの辺で切り上げるかぁ、おえっぷ。流石に病院に行ったほうがいいかな」

「金に余裕があれば好きにしろ。俺は懐が寂しいから気合で治すよ」

「だよなあ。俺もそうすっか」


 疲労困憊な様子の彼らは自宅に帰る事にしたらしい。まさかこの店の魚を食べてこうなったわけじゃないよな?


「ん? なんで私を見たんだい?」

「いえ、何でもないです」


 だがその事を問い質すのは野暮ってものだ。結局その辺りも含めてこういう場所で買い物をするのは自己責任なわけだし。

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