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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-78 復活したサファリパークのバス

 目的地の市場までは距離があり、言うまでもなく猛獣も多数うろついているので俺達は安全策を取って修理したパークバスに乗って移動する。


 希典先生の手によって再び命を吹き込まれた機械仕掛けのサイは、かつてこの場所がサファリパークだった時と同じ様に大地を疾走し、悪路であろうとものともせずに突き進んでいく。


 猛獣達も巨大な怪物が現れたと思ったのだろうか、立ち向かうという発想すら浮かばず慌てて距離を取ってしまう。


「おー、速いゾ! やっぱアンジョの遺産は凄いゾ!」


 キーアは未知の体験に大はしゃぎをし、身を乗り出し車窓にかじりついて外の景色を眺めていた。


「ふふ、車に乗るのは初めてですか?」

「ああ! 普段と同じ景色のはずなのに全然違って見えるゾ!」


 カムナが笑みを浮かべて尋ねるとご機嫌なキーアは最高のリアクションをしてくれる。


 この世界にも車は一応存在してはいるけどあまり普及しておらず、村でも数えるほどしかなかったから貴重な体験にかなり興奮しているらしい。


「でも良かったのか、勝手に文化財を修理しちゃったけど」

「本当は良くないかもしれないケド壊したり盗んだりしたわけじゃないし、ちゃんと直してくれたなら細かい事は別にいいと思うゾ! 親父も別に気にしてなかったしナ!」


 ただ無許可で文化財を修復するのは普通に問題がある行為だ。俺はその点が少し心配だったが、おおらかなキーアは特に咎める事は無かった。


「ハッハッハ、トモキ、前にも言ったと思うケドアンジョの遺産の諸々はグレーゾーンなんだヨ」

「そうそう、こんなに盛り上がるエンジン音が聞けるならガバガバな法律でもでもいいじゃねーか。赤信号、皆で渡れば怖くないってな」

「うーん、この世界の人の遵法意識が不安になるけど、そういう事なら別にいいのかな」


 違法行為の常習犯のリンドウさんとリアンは文化財保護法を護るつもりなんてさらさらないらしく、まだ抵抗がある俺を笑いながら批難した。


「だけど確かに高度経済成長期でも似た様な事はしていたし、よく言えばおおらかなのかな」

「そういう事だよぉ。大体智樹ちゃんだって法律を護ってないでしょ。禁制品のエロゲとかやってたくせに」

「うぐ、それはまあ」


 しかし綺麗にまとめようとすると希典先生は余計な一言を言って、偉そうに言った自分も同じ穴の狢だという事に思い至ってしまった。


「エロゲ? なにそれ美味いのか?」

「うん、気にしなくていいからな」


 秘密を暴露した俺は被害を最小限に済ませるため、清らかな瞳をしたキーアに一切の情報を与えないようにした。


 現実世界ではアニマ法によって性的な娯楽や風俗系は全てアウトになったが、結局皆どこかで調達している。


 それは最終的に供給元である反社会的勢力の資金源になっているのだけれど、裏モノDVDとかならともかく、昔の人はオタクとは対極に存在するマフィアがエロゲを売るなんて思いもよらなかっただろう。


 でもなんだかんだでお偉いさんが一番そういうもののお世話になっているから、その辺は実際なあなあなんだよなあ。


 NAROのトップが規律を重んじる鬼の荒木長官になってから、今まで黙認されていたその辺りの事情もかなり厳格になったけど。


「そんな事よりもさ、ほら動物を見よう! 見ろ、ゴリラが交尾をしてるぞ!」


 俺は全力で誤魔化すため強引に話題を変える。しかしその話題も少しばかり微妙な物であり、俺は失敗したなと後悔してしまった。


「ちなみにゴリラはオス同士でもしょっちゅう交尾するんだよねぇ。なんかいいよねぇ。ねぇサスケ」

「え? なんでオイラに話を振ったんでヤンスか? 別にいいとか悪いとかどうとも思わないでヤンスが……」


 ついでに希典先生はどうでもいい雑学を披露し、質問されたサスケはどう返答すればいいのか困ってしまった。


 だけどサスケって時々俺の事を意識している気がするけどそういうのじゃないよな。


 ただの可愛いショタだから、ウホッ! みたいな事にはならないよな?

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