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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-37 疫神タイガーウルフの言い伝え

 しばらく待っているとニオイが香ばしいものに変化していく。きっとそろそろ俺達の分が焼き上がる頃だろう。


「大変デシ! すっごく大変デシ!」

「ん」


 だがギョウザが焼き上がるのを待っていると特徴的な語尾のナーゴ族が現れた。取りあえず物凄く慌てているのはわかったが、それ以上に滲み出るウザさのほうが気になる。


「どうしたのー?」

「疫神の祠の封印が壊れていたデシ! このままじゃデミウルゴスの怪異が復活してしまうデシ!」

「「っ!?」」

「わわっ、おちついてー」

「はっ、うっかり言ってしまったデシ!? このままじゃ呪い殺されてしまうデシ!?」


 ナーゴ族の少女は人間で言えば中学生程度と推測出来、彼女はこの世界における最大の禁忌を侵しひどく恐怖してしまう。


 俺達からすればデミウルゴスの神話はオカルトでも、周囲の人もどよめいていたし伝承を本気で信じているらしい。


「うわーん、呪いを振りまく前にお祓いに行ってくるデシー!」


 呪われたと信じ込んでいる彼女は半泣きで去っていく。出来れば安心するよう説得したかったが、猫だけあってかなり素早くあっという間に見えなくなってしまった。


「おいおい……ひょっとして疫神タイガーウルフかよ」

「疫神タイガーウルフ? なんかどこかで聞いた様な話だが」


 俺はその話題に主当たる節があったが、シスターのザキラはこのあたりに封印されたという怪異について知っているらしく不安げに教えてくれた。


「タイガーウルフは水害の時に現れる祟り神だ。ここだけじゃなくて世界中に伝承が残ってる」

「ふーむ。ちなみにどんな話だ?」


 世が乱れた時に悪いものが現れるパターンの伝承は有り触れている。あるいはかつて熊本で震災があった時もそれっぽいデマがあったけど、それがこっちの世界にも伝わっているのだろうか。


「水害が起きたらアンジョの神殿に逃げなければいけない、もしも汚れた水から湧き出るタイガーウルフに呪われたら全身の水分がなくなって、やがてミイラみたいになって死に至るそうだ」

「ミイラ……脱水症状って事か」


 俺は冒頭の時点で何となく察しがついた。どうやらこれは日本でも昔から存在するタイプの伝承で、騒動となったデマとは似て非なるものの様だ。


「まじかー……もう餃子の口になってるんだけど」

「ひゃわわ、アニキ、どうするでヤンスか?」


 リアンはともかくサスケはかなり怖がっている様だ。だが俺は少し考えちゃんとした専門家に尋ねる。


「まれっち、お前はわかっているか」

「武器は必要ないと思うし行きたきゃどーぞ。小説のネタにはなるんじゃない?」

「そうか。なら俺が調べに行ってきます」


 けれど現代の知識がある俺はすぐにタイガーウルフの正体に辿り着く。希典先生もこう言っているし、街の人を安心させるために俺が一肌脱ぐとしよう。


「いいの? そうしてくれればたすかるけどあぶないとおもうよー?」

「いえ、多分大丈夫だと思います。じゃ行ってきます」


 リーダー格のもふもふ君は俺の事を気遣ってくれたが、正直な所さほど怖くはなかった。


 人間は幽霊にしろ宇宙人にしろ未知のものに恐怖を抱くものだが、逆に言えば正体を知っていて正しい知識があれば悪戯に不安がる事は無いのだ。


「うう、危険を顧みずに行くなんてアニキは漢でヤンスー! オイラも行くでヤンスー!」

「わかった、ならオレはここで餃子を食う。お前たちの分まで食ってやるから行ってこい!」

「仕方ない、アタシ達も行くか。リアン、お前もだ」

「えー」

「じゃ、折角だし俺っちも行こうかな」


 そして可愛い弟分となんだかんだで付き合いのいい輩系シスター、薄情な泥棒猫に飲んだくれの遊び人をメンバーに加えて俺達は祠へと向かった。


 何も起きないとは思うけど万が一はあるかもしれない。そういう時は俺がちゃんと仲間を護らないと。クズのリアンはともかく。

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