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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-34 謎のダンディなボランティア

 無事にミナモトを解放して物資を荷車に運んでいると、別行動をしていたボランティアスタッフが現れ作業を手伝ってくれた。


「おう、ご苦労さん。後は俺達に任せてくれ」

「え? はい」


 ダンディな声のボランティアスタッフは引継ぎを申し出て、そのまま指示に従おうとした俺は彼を二度見してしまう。


 男は鬼面の様なガスマスクに軍服というあからさまに怪しい姿をしており、とてもボランティアをする様な外見ではなかったからだ。


 福岡とかでは宇宙の暗黒帝王と白い兵士の格好をした人が慈善活動をしているのを時々見かけたけど、こっちの世界にもそういうジャンルの人がいるのだろうか。


「どうした?」

「いえ、仕事現場を間違えていないかなと。もっとこう、将軍の命令で暗殺とかしそうな感じですが」

「わかってる。だが何も言わないでくれ。俺も正直いい年したオッサンがする様な格好じゃないなと思っているが上の方針なんだ」

「は、はあ。よくわかりませんが大変そうですね」


 見た目は恐ろしかったがダンディ仮面は本音をぶっちゃけた。ファンタジー世界に出てくる悪の組織とかの幹部も内心こう思っているのだろうか。


「はあ……なんで私がこんな仕事を……こんなはずじゃなかったのに……」

「まあまあ、このご時世に仕事があるだけ感謝するだぁよ」


 ガスマスク部隊は見た目に似合わず地味な肉体労働をしており、首にコルセットを巻いた女性らしき隊員はぶつぶつ言いながら他のベテラン風の隊員に宥められていた。


「ふふ、もう人生終わりよ、こんな事ならいっそ殺してくれた方が良かったのに……フロンティアスピリットウーマンに関わるんじゃなかった……」

(フロンティアスピリットウーマン?)


 女性隊員は謎の単語を言ったが、彼女は一体何を言っているんだろう。


 フロンティアスピリットウーマン……うん、記憶を引っ張り出しても全然わからん。豪雪アマゾネスの親戚だろうか。


 ともあれ事情はよくわからないが彼女のメンタルが限界に来ているのはわかる。やはり災害の後だし、何かしらの大変な事があったんだろうな。


「はい」

「え?」


 けれど女性隊員にマタンゴさんが近付き、小さな木のマグカップに入れたお茶を手渡した。


「がんばってくれてありがとうね。これぼくたちがつくってるミナモトちゃだよ。とってもおいしいんだ。これあげるからげんきだしてー」


 マタンゴさんはえへへ、と優しく微笑み、女性隊員はしばらくの間キョトンとしていたが、


「ブオオオオッ! 死ぬまで働くからァ! この世界に骨を埋めるからァ!」

「むにょー。なかないなかない」


 と、獣の様な鳴き声で号泣し、マタンゴさんを形が変わるほどに強く抱きしめてしまう。よくわからないが救われたみたいで良かった。


 マタンゴさんには特別な能力があるが、そんな事をしなくても愛という概念を誰よりも理解している彼らはこの世界で最も優しく高潔な生き物なのだろう。


 さて、彼らのためにももうひと踏ん張りするかな。

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