3-24 入手:じゅすへるの煙管
リアンからお宝があると教えてもらい、アマビコと別れた俺達は続いて天主堂跡地を訪れた。
こちらも長崎の歴史を語る上で欠かせない歴史的な史跡だが、劣化や蔦により趣のある廃墟へと変貌していた。
吹き抜けになった屋根からは光が差し込み小さな一輪の白い花が咲いており、それはどのような宝石よりも美しかった。
これが平和を願う人々の祈りによって咲いたものならば、これもまたかけがえのない宝に違いない。
「ほれほれ、こっちこっち。宝箱があったからさ」
だが物欲にまみれたリアンはそんなものには目もくれず宝箱を目指した。まったく、ワビサビを感じる暇もないなあ。
「ふーむ、新しい時代の物だな」
天主堂で彼女が見つけたその宝箱はSFっぽい機械仕掛けの見た目だったので、どう考えても昔からあるものではなさそうだ。
もしも歴史を感じるゴシックなデザインなら躊躇していたがこれならば開けてもいいか。俺は管理者権限を実行、宝箱を開封する。
「何だコレ、煙管か?」
宝箱の中には年代物の煙管があり、俺が詳しく確認する前にリアンは手に取った。
こちらは普通に文化財になりそうなお宝だが教会って感じのお宝じゃない。キリシタン関連の史跡なら魔鏡とかマリア観音とかそういうのを期待していたんだけど。
「なあリアン、それ呪われてるっぽいぞ」
「うげ、マジ?」
しかし鑑定スキルで調べるとなかなか禍々しい説明が書かれていたので、そう伝えると彼女は慌てて俺に押し付ける。
「『じゅすへるの煙管』かあ。じゅすへるって隠れキリシタン版のルシフェルの事だったっけ。天主堂にはぴったりなお宝だけど」
このアイテムはそういう名前で、説明文には『カクレの伝承に出てくる中天の天使がしらが愛用した呪われた煙管』と書かれていた。
思いっきり呪われているって明記されているが回収しておこう。魔物とのエンカウント率が上がったり金縛りで動けなくなりそうだけど、呪いバステを付与出来れば最高の武器になるかもしれない。
「うーん、そんなヤバいものならとっとと売らないか。罰が当たりそうだし」
「お前って罰とか気にするタイプの人間だったのか?」
「……言われてみれば確かにそうだな。よし、一番高値で買い取ってくれる場所を探してから売るか!」
「そのうち祟られて死ぬぞ」
流石のリアンも最初こそ躊躇していたが、すぐに換金アイテムと認識して呪いのリスクをガン無視した。
こういう手合いの奴がホラー映画で太古の悪魔を復活させたりするのだろう。だけど図太いリアンならなんだかんだで生き残りそうだ。
「―――――」
「?」
だが天主堂を後にした時不意に煙草のニオイが漂い、天主堂の内部の様子をうかがうがそこには誰もいなかった。
なんだろう、この妙にぞわぞわする感じは。空気がピリついているっていうか、寒気がするっていうか……。
うん、気のせいだ。気のせい気のせい。呪われてなんかいない。
俺は何も考えない様にして足早に去っていった。




