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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-19 実績解除:レッツ魔改造!

 材料を集めた後オンボロな工房に戻り、俺は早速本格的なクラフトを始めた。


「チュートリアルはヘルプを見て確認してね。要領は簡易クラフトセットと同じだから大体わかるよねぇ」

「多分」


 希典先生は相変わらず適当なアドバイスしかしてくれなかったけれど、実際使い方はほぼ同じなのでアドバイスしようがないだろう。


 メニュー画面を開いて操作してと。うん、項目や配置も簡易クラフトセットとあまり変わらないな。


「このロックされている奴は?」

「序盤では使えない機能だ。管理者権限のレベルを強化すれば使える様になるから今は無視してねぇ」

「うぃ」


 権限が足りないため一部ロックされている機能もあるが、おそらくこれは便利だが同時に注意が必要な機能なのだろう。


 あんまり項目が多くてもややこしいし、最初から使える機能だけでも事足りるからしばらくはこのままでもいいか。


 簡易クラフトセットと大きく違う事は素材が『鉄』だの『布』だのざっくばらんとしたものではなく、ちゃんと元々の素材をそのまま投入出来る事か。


 ヘルプを確認すると左側の幾何学模様のパネルの上に素材を置くと右側に完成したものが出てくるそうだ。うん、実にシンプルでわかりやすい。


 先に作りたいものを決めてそこに必要な素材をぶっこむというのが基本だが、レシピにないものでも自由に作れるらしい。習うより慣れろ、実際に色々と試してみよう。


「ふぅん、ほぉ、へぇえ~。この中はどうなっているのかなあ~。オレ様に見せてごらん?」

「リアン、なんか変態っぽいぞ」


 ガジェットマニアのリアンは早速様々なガラクタを分解してお楽しみの真っ最中で、神代の技術を解析して我が物にしようと試みていた。知的財産権とかはもう存在しないだろうしその辺りは気にしなくていいだろう。


「そりゃあさ、変態にもなるよ! 剥き出しの基盤ってなんかエロいよなあ~」

「うんうん、エロイわよネェ~」

「お母さんが女の顔になってマス」


 同じ趣味のリンドウさんはうっとりしながら同意したけど、実の娘のニイノですら若干引いていたので理解出来なくて正解だったようだ。


「はいはい。今からお前の義手を作るけど見ないのか?」

「お、マジ!?」

「どれどれ!?」


 全ての材料を用意してそう伝えると彼女達はすぐに駆け寄った。まったく、二人とも子供みたいだ。


 材料は壊れた義手、壊れたS&W、オンダコの糸、その他ガラクタから回収した歯車や魔石だ。ただこの辺はいいとして……。


「なあリアン、明らかに変なものが混ざってるけどこれも材料にするのか?」


 材料の中には片足が壊れた機械恐竜のプラモデルもあった。


 このプラモデルは少し前に流行ったロボットアニメで主人公が乗っていた機体だが、もちろんオモチャなので普通素材になるわけがない。


「ああ! どうせならもっとカッコよくしたいからな! 名付けてドラゴンアームだ!」

「ああそう」


 正直どうなるのかはわからなかったが、リアンがロマンを望むのなら何も言うまい。ひょっとしたら面白いものが出来るかもしれないし。


 素材を左側の幾何学模様のパネルの上に置くと、上からウィーンと箱が降りてくる。その箱に希典先生を模したムカつく笑顔が描かれていたのが少し気になったけど。


「おー」


 箱は楽しげな音楽を鳴らしながら小躍りする様にガコンガコンと動き回り、今度は右側の大きなパネルの上からアームが降りてくる。


「おー!」


 アームは絵を描くようにレーザーを照射し、改良されたリアンの義手が徐々に形作られ、彼女達は未知の技術に感嘆し齧りつく様に見ていた。


「なるほど、3Dプリンターだったのか。気が抜ける余計な演出も混ざってたけど」

「正確に言えば専門的な知識がなくても使えるようにした3Dプリンターだねぇ。簡易クラフトセットも基本は同じだよぉ」

「すげーな、すりーでーぷりんたーって! トモキ達の世界にはこんなものがあるのか!」


 魔法染みていた技術にリアンは興奮したが、俺は見覚えのある仕組みから工房の正体が最先端の3Dプリンターだと判明した。


「もちろん3Dプリンター自体は俺達の世界にも存在するけど、流石にこんなに高性能じゃないな。どういう原理なんだ?」

「これは荒木の一族の技術のほんの一端さ。原理については説明してもわからないだろう。お前さんは既存の3Dプリンターの仕組みもちゃんと理解してないだろうし。自力でスマホを作れる程度に知識があれば教えてあげてもいいけど」

「そりゃそうだ」


 高度な科学は魔法と区別がつかないという。なるほど、これを見たらアンジョの子孫が絶滅危惧種になっているのに、恐れ敬われながら現在まで生き延び続けているのもわかるよ。


 しかし作業を見ていた俺は根本的な事に気付いてしまう。


「つーかバラバラにしてまた再構築するならパーツを集めなくてもよかった気がするけど」

「うーん、ゼ〇ダの伝説のゾ〇ウギアはわかる? もしくは入手手段が限られたアイテムを使って錬金窯で複製するって感じ? ゼロから作れない事もないけどコストがかかるのさ。複雑なものは特にね。ならパーツを集めたほうがお得でしょ?」

「わかったようなわからないような」


 だが希典先生はわかる人にしかわからない説明をし、俺はその説明を聞いてもニュアンスでしか理解出来なかった。


 だけどコストとは何のコストだろう。電力とかじゃなさそうだけど……よくわからないけど大人しく専門家の指示に従うか。地下に潜ってゾ〇ニウム稼ぎとか面倒くさいし。


「うんうん、反応速度も強度も申し分ないな。あんがと、トモキ!」

「どういたしまして」


 リアンは修理された義手を手に取り左腕にはめガチャガチャと動かした。初めてだったが彼女のお眼鏡にかなう品質の物が出来たらしい。


「ん? 何だこれ」

「ありゃ、それって指輪の奴か。外すのを忘れてうっかり混ざったんだな」


 しばらくして彼女は義手の手の甲にルビーが埋め込まれていた事に気が付いた。それはリンドウさんの店で購入した安物の指輪だったが、分解された後に義手と一体化したらしい。


「いや、別にこれでもいいぞ。なんかカッコイイし」


 ドラゴンの様な義手にはめ込まれたルビーは瞳の様になり、魔改造を施した結果なかなか中二心をくすぐる秀逸なデザインになってしまった。


 というか俺もちょっと欲しい。ベースは昔流行ったロボットアニメのプラモデルだし、向こうの世界でグッズ展開したら転売ヤーに狙われそうなくらい売れそうだ。


「そっか。それじゃあ改めて指輪を受け取ってくれるか?」

「ハハ、冗談でもそういうのはよせよ。寒気がするから」


 狙ったわけではないが彼女は気に入ってくれた様だ。ただもう一つの主人公っぽい口説き文句は一蹴されたので、俺はちょっぴり切なくなってしまった。

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