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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第三章 果てしなき大地、気高き欲望を持つ変革者達【第一部3】

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3-13 葉瀬帆商店街跡地で素材と情報集め

 必要なものをクラフトするのに俺達がまずした事は、冒険ではなく商店街での買い物だった。


 ゲームではしばしば珍しい薬の材料や食材を探してこいと言われるが、結局のところ普通に店で買ったほうが早い。


 特にここには科学という錬金術によって万物を生み出す希典先生が住んでいるので、むしろ慢性的に物資不足に悩んでいた現代の葉瀬帆よりも遥かに品ぞろえは充実していた。


「ほわー、いつ見ても大きな商店街ですポン」

「葉瀬帆の商店街はうちの国でもトップクラスの規模だったんですよ」


 商売人のモリンさんは様々な商品が売られている葉瀬帆商店街に胸を弾ませ、子供の様にぽてちてと走っていく。


 ボロボロの商店には人間の代わりにもふもふ君やロボット、愛嬌のある変異ゾンビが店番をしており、無期限休業中だというのにちゃんと買い物も出来るらしい。


「いっしょにあそぶー?」

「フガ!」


 駄菓子屋の前ではマタンゴさんとガブリンがベーゴマを進化させたホビーで遊んでおり、サスケは楽しそうな気配に誘惑されてしまう。


「うう、なんか楽しそうでヤンス! でもオイラには姐さんを助けるという使命が、あうあう~」

「好きにしろって。買い物くらいオレたちだけでなんとかなるし」

「あざーっす!」


 リアンは笑いながら許可を出し、サスケはしっぽを振って無邪気にはしゃぎながら輪の中に入っていった。


 俺も内心では童心に帰って遊びたいし、とっとと用事を済ませて商店街で遊ぶとしよう。


「しっかしガラクタから高そうなもんまでいろいろあるなあ。なあオトハ、こういうのはあまり言いたくはないがここにあるのってちゃんとした店なのか?」

「現在葉瀬帆商店街エリアは一部の店舗を除き閉店しているので、ここでお店を開いている方のほとんどは許可を得ずに営業していますね」


 彼らからすればこれはちゃんとした商売ではなく子供がお店屋さんごっこをしている感覚なのかもしれない。流石にこれを取り締まるのは野暮ってものだろう。


「希典さんの裁量で黙認されてはいますが、良くも悪くも商品の値段と品質は保証出来ません。なので購入の際は自己責任でお願いします」

「ぼくはやみえいぎょうしているもふもふだよー。けっこうけだらけねこはいだらけー」

「みたいだな」


 往年の名優の様な服装のフーテンのもふもふ君は口上を述べて商品を宣伝する。商品の果物は良心的な値段設定だが、他の店の商品は用途がわからないものやガラクタ同然の物ばかりなので鑑定スキルで調べてから買うべきだろう。


「むしろアタシからすればこういう店こそ興奮するけどネ。宝探しをしているみたいで楽しいじゃないカ」

「そうそう、壊れているならパーツだけ手に入れるか直すか魔改造すればいいだけだし。ジャンク品にもいろいろ使い道はあるんだぜ?」


 しかしこのアングラな雰囲気はリンドウさんとリアンの琴線に触れたらしい。俺にとってはガラクタでも、技術屋の二人からすれば宝の山なのだろう。


「はは、楽しそうで何よりだ」


 実際ここにあるのはどれも人類の失われた叡智が詰まった遺産だし、どのような技術が用いられているのか解析をして商品化すれば一攫千金も夢ではない。異世界モノで工業チートはあるあるネタだし俺も狙ってみようかな。


「んで、最強の科学チートをお持ちな希典先生のアドバイスは?」

「そうだねぇ。基本的にはパーツそのものを買うよりもガラクタを分解したほうがいいだろう。リアンちゃんはどういうパーツが欲しいんだい?」

「そうだなあ。基本的なネジとか歯車はどうとでもなるけど、どうせならバージョンアップしたいな。ニードルガンを強化していい感じのワイヤーが手に入ればいいんだが。銃とかは売ってたりするか?」

「どこかで売ってたと思うよぉ。ただ転用するのなら最近の奴よりも昔ながらのシンプルな構造の骨董品のほうがいいだろう。ジャンク品なら安上がりだしねぇ」

「よし、じゃあそれを探すか」


 希典さんからアドバイスをもらい、俺は脳内メモに壊れた拳銃を記載する。


 しかし骨董品とはいえ商店街で銃が買えるのか。いろいろと問題がある気もするが、悪用しない人間がいないからこそ成立するのだろう。


「あとはワイヤーだけど……なあリンドウ、ニイノが持ってる釣竿の糸ってなんの素材なんだ? あれなんか丈夫で伸縮性もあるしちょうどいいんだけど」

「ああ、アレ? あれはオンダコの糸サ。魚を獲りに行くと空から横取りしてくるんダケド、それを返り討ちにして糸に加工した奴だカラ買ったわけじゃナイヨ」

「オンダコ? オンダコって、オンダコ?」


 リアンとリンドウさんの会話の最中、俺は馴染み深い単語を聞いてしまう。まさかオンダコとはあのオンダコの事だろうか。


「うん、オンダコだヨ。探せばどこかで売ってるかもしれないケド、釣りをしているニイノから分けてもらうカ、その辺のオンダコをやっつければいいんじゃないカナ」

「ふむふむ、なるほど」


 またもう一つ重要な素材となるワイヤーの材料の情報も入手する。イナエカロ民兵と戦った際にニイノは釣竿ランスでディーパを一本釣りしていたし、現代のカーボン素材と比べても遜色ない程度に頑丈なのでワイヤーの材料にはぴったりだろう。


「じゃ今のうちに爆弾を作っておくか。そっちの方が安上がりだし。空を飛んでるならザキ姉も活躍出来るかな?」

「アタシはいいけど。後でなんか奢れよ」

「俺としては穏便に済ませたいんだが戦う事が前提なんだな。でもオンダコねぇ……こっちじゃ野生でいるのか?」


 鬼凧オンダコとは壱岐地域の民間伝承が由来となった伝統工芸品の事だ。首を斬り落とされた後に執念で兜に噛みついた鬼の生首をモチーフにした凧であり、魔よけとかそういうご利益があったっけ。


「はい、海辺によくいて釣り人の方が釣った魚を食べていますよ。お客様の安全のために定期的に駆除をしているので、私としてもそうしていただけるととても助かります」


 無論鬼凧はただの伝説であり実在する生き物ではない。しかし異世界人やオトハの話を聞く限りオンダコは面倒な害獣として普通に存在しているらしい。


 地元民の感覚的には釣った魚を横取りするウミネコ的なポジションらしいし、物凄く危険な魔物というわけでもなさそうなので、手間はかかりそうだがオトハの手伝いも兼ねてオンダコを倒すのも一つの手かもしれない。


「じゃあまずは銃から探そうぜ。いいものはあるかな~」

「りょーかい」


 何にせよ義手に関しては知識があるリアンに任せた方が良さそうだ。俺は確かに便利な家電製品や機械を知っているがその仕組みを理解していなければ作る事も出来ない。


 この世界の人々は独学でジャンク品を好き放題に魔改造してヘンテコな家電を作っているし、正直下手な現代人よりも余程技術力は上だろう。リンドウさんとか何となくでロケットエンジンまがいの物を気球に取り付けていたし。

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