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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第一章 終わりに向かう二つの世界【第一部1】

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1-31 まれっち先生のチュートリアル

 突如として俺の脳内に直接語り掛けてきたまれっちの素性はわからなかったが、この絶体絶命の状況を打破するためには多少胡散臭くても頼らざるを得なかったので、俺は彼女の指示を決して聞き逃さない様に気を張り詰めていた。


『メニュー画面にはいろいろあるけど今重要なのはマップ機能、アイテムボックスかな。まずはマップを開いてごらん。VRでエロ画像を見ている時みたいにポインタを合わせてねぇ。ちなみに指でも動かせるからやりやすい方でいいよぉ』

「あ、ああ」


 メニュー画面には白いマーカーがありどうやらこれは視線に連動している様だ。


 一部不適切な発言があったがこちらはスルーし、マップの所に合わせるとなんと城内のマップが展開された。


「これは……!」


 いや、これはマップというよりも遠視の超能力だ。キッチンで料理を作っているシェフに倉庫に隠れてエロ本を読んでいる兵士、鏡の前で謎の中二ポーズを決めているローズマリーと何から何まで丸わかりだったのだ。


 こちらも若干ツッコミどころが多々あったが同じくスルーしておこう。これがあれば城内の構造や兵士の動きが手に取るようにわかり、逃げるのに大いに役立つはずだ。


『ほい出来たね。んじゃ次はアイテムボックスを開いてみぃ。ほとんどないけど』

「わかった」


 俺は続けてアイテムボックスの項目を開く。彼女の言うとおりこちらには『簡易クラフトセット』しかなかったが、俺は何かを言われる前にマーカーを合わせた。


『じゃ取り出して』

「こうか?」


 この程度なら詳しく説明されなくても簡単だ。早速操作してみると目の前にポフン、と五芒星の模様が描かれた金属製の机が出現した。


『んじゃクローゼットの中のハンガーとバスタオルを回収して上にのっけたら『分解しますか?』って出るから分解して』

「分解……」


 俺はすぐに指示通り行動、再び開けにくい扉を開けてそれらの物を回収し、表示された分解コマンドを実行するとハンガーやバスタオルは消滅、『木材×2』『鉄×2』『布×4』等がアイテムボックスに追加された。


『最後にその素材を使ってレシピ画面から『お手軽キーピックセット』と『萌えキュン抱き枕』を作るんだ』

「ふむふむ」


 ここまでくればもう簡単、コマンドを実行すると一瞬で完成し、目の前にキーピックに用いる道具と萌え系美少女のイラストが描かれた抱き枕が出現したのだ!


「すげぇな、どういう原理なんだコレ」

『その辺は説明が面倒くさいから後にしてねぇ。キーピックは出来るよね?』

「簡単なのなら一応。授業で習ったから」


 俺は未知の技術にただただ感動してしまったが、これがあればかなり楽が出来る。俺はまず抱き枕を布団の中に入れ中で人が眠っている様にした。


「こっちはこれでいいんだよな。でもこのデザインにする必要あったか? わざわざ抱き枕にしなくても普通にバスタオルを丸めて入れるだけでもよかった気が」

『チュートリアルも兼ねてたし、どのみち気休め程度のフェイクだからねぇ。ついでにそこのツボも回収しておきな。売れば金になるしいざって時は武器とかにも使えるし。コマンド以下略、大体わかるよね』

「売るって……まあいいけど」


 俺は渋々ツボを回収、アイテムボックスに収納したが今俺がやっている事は紛れもなく窃盗行為だ。もちろん向こうが良からぬ事をしているのでこちらもルールを護る義理はないが、やはり少なからず後ろめたいものはあった。


 しかし結構な大きさだったのに一瞬で無くなったよ。やはり原理はまったくわからないがかなり便利な機能だ。演習では三十キロくらいの背嚢を担いだ事もあったが、あの過酷な日々が馬鹿らしくなってくる。


『さて、すぐに逃げ出したい気持ちはわかるけど今は警備の人間が多いからまだちょっと待ってね。ちゃんとその時になったら教えるからそれまでその抱き枕でオナニーでもしておきなよ』

「しねぇっての」


 まれっちはいちいち品のない発言をしていたがそういう事なら仕方がない。急いては事を仕損じる、不安じゃないと言えば嘘になるが今は指示通りベストタイミングを待つとしよう。


 待っている間は暇だし今のうちにヘルプでも確認しておこうかな。灰色のクエスチョンマークばかりで閲覧出来る項目はほとんどないけど。

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