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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第二章 暗き世界で光輝く太陽【第一部2】

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2-160 荒木鳳仙との正式な調教契約

 翌日、魂を込めてキャラデザインを描き上げた私は固唾を飲んで鳳仙のジャッジを待っていた。


 このパワハラ鬼畜眼鏡は毎回毎回ボロカスに酷評して人の心を踏みにじるけど、今回ばかりは罵倒されたら手が出てしまう自信がある。


「やっぱり技術に関しては満足のいくものじゃないね。そっちに関しては最初から期待していなかったけど」

「っ!」

「ただデザインとアイデアは悪くない。差し引きでギリギリ及第点かな」


 鳳仙は一旦落としてから上げるという小憎らしい手法を使い合格を告げ、ずっと緊張していた私は空気が抜ける様に長い息を吐いてしまった。


「おお、やったでござるな!」

「ちょっとひやひやしたけどね」

「良かったね、ヒカリ!」

「まったく、鳳仙さんったら。でも本当におめでとう!」


 ニアちゃんやノミコちゃんは無事に合格した私を褒め称える。お父さんとお母さんもまるで受験に合格したかのように喜んでくれていたし、これであの時のリベンジは出来ただろうか。


「うん、本当に良かったよお……!」

「ぶもぶも!」

「「ぷいぷい!」」


 ずっと理不尽な世界に我慢してきたけど、それは私の努力が初めて報われた瞬間だった。極まった私はじゃれつく吹雪達を抱きしめ喜びを噛みしめる。


「喜んでばかりはいられないよ。今回は短編の五分アニメを作る予定だけど、君の技術は正直未熟だからアニメーターとしてはまだ使えない」

「そ、そっか……まあそうだよね」


 しかし鳳仙は私を落胆させる事実を告げる。けれどそんな事はわかっていたし、私は仕方なくその決定を受け入れた。


「ところで今更だけど、君はアニメ制作においてどんな役割を果たしたいんだい?」

「役割って?」

「アニメ制作にはいろんな工程がある。監督、脚本、演出、作画、原画、絵コンテ、音楽、編集……声優や進捗管理のマネジメントも含めればいろんな役割を持った人が関わっている。元々少人数で兼任するつもりだったけど、これだけ人数がいれば役割分担も出来るだろう。君のアニメ制作への情熱はわかるけど一体アニメ制作の何をしたいんだい?」

「えと……」


 勢いで行動した私はアニメ制作の知識が全くなかった。


 アニメの基本原理はパラパラ漫画だけど、本格的な作品を作るとなるとそんな単純なものではない。その辺りの事を全く決めていなかった私はその問いかけに明確に答える事が出来なかった。


「やっぱりあんまり深く考えてなかったんだね。そこがわからない以上アドバイスは何も出来ないな」

「……なんかごめん」

「構わないさ。だからまずは僕の知っている技術を徹底的に叩き込む。そして目安として一秒間分の絵を描いてみるといい。それが次の課題だ。まずはその課題をクリアして何がしたいか、何が出来るかを理解した上で自分の進むべき道を決めるといい」


 私をほんの少しだけ認めてくれた鳳仙は落胆する事無く、私なんかのために貴重な時間を割いて指導を続ける事を宣言してくれた。


「実のところ僕も困っているんだ、既存の評価基準に当てはまらないピーキーな特性を持つ君をどう評価すべきか。だから見せてくれないかな。仲村渠ヒカリという人間の可能性を」

「本当にあんたって奴は……優しい奴なのか嫌な奴なのかわかんないね」

「飴と鞭で調教したいだけだよ。特に君みたいなじゃじゃ馬は従順な下僕にしがいがあるからね」


 ねちっこい笑みを浮かべる鳳仙の発言は完全にコンプラ的にアウトだけど、慣れればその奥底に隠れた優しさに気付いてしまう。きっとこうやって多くの人間を調教して言いなりにしてきたんだろうな。


「いいよ、この脳筋暴れゴリラを調教出来るものなら調教してみな! どんなハードなプレイにも耐えてあげるよ!」

「望むところだよ。ああもう、君が堕ちた顔を想像するとゾクゾクするね……!」


 私達は互いに宣戦布告をして歪な主従契約を結んだ。なんだかんだで私は体育会系だから、むしろスパルタな方が燃えるんだよね!


「……ええと、ねえヒカリ、これから始まるのって作画とかの指導で合ってるわよね?」

「あ、あのお、鳳仙さん、うちの娘に変な事はしないでくださいね? やっぱ冤罪じゃなくてガチだったのかな……」


 ただお父さんとお母さんは独特なノリについていけずに若干引いていたけども。親の前だったしこいつと変な関係だと誤解されない様に自重したほうが良かったかな。


「まあ、ぶっちゃけ皆も久遠監督ならやりかねないなって半分くらいはあの疑惑を信じてたわよね……」

「う、うん……むしろ残りの半分も監督ならこんな普通のセクハラじゃなくて、もっと鬼畜でアブノーマルな事をやってるはずだって信じなかったくらいだし、週刊誌の人もリアリティがないから一度没にしたって噂もあるし。本当にこの人に任せて大丈夫かな」


 二人はひそひそと何かを話していたけど、そのやり取りからは久遠監督がいかにヤバい人だったかが伝わってくる。


 聞けば聞くほど久遠監督は鳳仙といい勝負をしているみたいだけど、変態プレイで戦わせたら面白い事になりそうだ。

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