2-157 夢現の迷い人
「むにゃっ」
夜通しキャラデザを描き続けた私はうつらうつらと舟を漕ぎ、机にガツンと頭をぶつけて目を覚ましてしまった。
いたた、こんなベタな事をしちゃうだなんて。
「ぶもー」
「ぷいー」
「ふふ」
私は太もものゴワゴワした感触で吹雪達がずっと寄り添ってくれていた事に気が付き、すやすやと眠る彼女達を撫でて温もりを堪能する。応援してくれるこの子たちのためにも頑張らないとね。
このままイラストを描いてもいいけど眠気覚ましに何か飲もう。私は部屋を出て飲み物を探しに向かった。
禍悪巣亭は営業前なのか静かだ。
太陽が見えないトンネルの中だと体内時計が狂うけど、今は何時くらいだろう。
「うーん」
私は冷蔵庫を漁るけどちょうど飲み物を切らしていた。いつもならエナジードリンクや炭酸が山ほど詰まれているのに。
「ねえノミコちゃん、飲み物どこかにない……ノミコちゃん?」
ノミコちゃんに声をかけるけど彼女の返事はなかった。
そりゃいつも私の影に潜っているわけじゃないしそういう時もあるか。
(仕方ない、散歩がてら外で買おうか)
私は禍悪巣亭から出て市場で飲み物を探す事にした。この際賞味期限切れでぼったくり価格のものでも構わないだろう。
(空を見上げたら夕焼けの真ん中に象が飛んでいた~)
私は鼻歌を歌いながら禍悪巣亭の裏口から外に出る。もしもならず者とエンカウントしても運動になるし構わないだろう。
「あら?」
だけどお店の裏口から外に出た時――私は不可思議な光景に混乱してしまう。
「あらら?」
まず感じたのは眩い光と温もりだった。
その一点の曇りもない青空は常に粉雪が降り注ぎ、滅びへと向かう今の時代では久しく見る事がないものだった。
「うぱー」
「ほー」
ビッグサイズのウーパールーパーは雑草が生えたアスファルトの上で日向ぼっこをしており、私はとりあえず近付きちょんちょんとつついてみる。
なんだろうこれ、オオサンショウウオくらいのサイズだけど、突然変異で大きくなったウーパールーパーかな。
トンネルの中なのに青空だし、なんだか何百年も経ったくらい建物や道路が劣化してるけどこれは一体どういう事だろう。
「ああ、夢か」
私はあり得ない状況にようやく夢を見ている事に気が付いた。
なるほど、確かにこれが夢ならば納得の光景だ。随分と意識がはっきりしているけどこれは明晰夢という奴だろうか。
「じー」
「ん」
ぽけーっと街を眺めていた私は下の方から気配を感じ、下に視線を向ける。
そこには出征船や博多ドームでの騒乱など、今まで幾度となく私にトラウマを植え付けた二足歩行のキノコがいて、迷い人の私を興味深そうに見つめていた。
「ばあ」
「ひぃぃいい!?」
キノコは両手を挙げて威嚇し、恐怖に支配された私は脱兎の如く逃げ出した。よくわからないけどこのキノコから逃げないと!




