2-86 エマのネタバラシ
ジジジジ、という機械の稼働音と、熱を感じる眩い光によって私の意識は少しずつ形になっていく。
何だろうこれ、私焼き豚にされて美味しく食べられるのかな。でもあったかいからいいや。
「ふむ、どこにも異常はないわね」
「むにゃー? はっ! あだっ!」
だけど夢見心地の気分で眠っていた私は綺麗なパツキンお姉さんを認識してバッと目覚め、勢いよく何かの装置に額をぶつけてしまった。
「駄目よ、じっとしてなきゃ。もう検査は終わったからいいけど」
「あ、どもです」
見上げるとそこにはなかなかご立派なぱふぱふがあった。白衣を着ている事からこの女の人はお医者さんなのだろう。
「えーと、あなたは? ここはどこですか?」
「私は医療班のスチームでここはNAROの医務室よ。負傷していたからこの装置で手当てとバイタルチェックをしていたの」
「あ、そうだったんですか。ありがとうございます。もう動いていいですか?」
「ええ」
いつの間にか病衣に着替えていた私はもぞもぞと動いて装置から降り、取りあえず周囲の状況を確認した。
病室にはスチームさん以外にエマがいたけど、他の皆はどこにいるんだろう。
「試験は終わったって事?」
「とっくの昔にね。それとヒカリのチームは皆合格したよ」
「そっかー。どうぇええ!?」
ただ笑顔のエマはさらっと重大発表をし、心の準備が全く出来ていなかった私は驚愕してしまう。
「ちょっと、そういうのはもうちょっとハラハラドキドキっていうか勿体ぶってよ!」
「といってもトレンタに芦田さん、イスキエルダさんって三人も隊長を倒しちゃったからね。訓練施設をあんなに壊さなかったらもっと良かったんだけど」
「あうあう、ごめん。ってトレンタ?」
いつの間にか倒してしまったトレンタは入隊希望者であり隊長ではなかったはずだけど何を言っているんだろう。でもスチームさんはクスクスと笑ってしまった。
「トレンタ・バレンティーノは試験のために用意されたスパイだったんだ。あえて不和をもたらし、入隊希望者がどのような行動をとるか確かめるためにね。君がどこまで把握していたのかはわからないが、彼は七番隊の隊長だったのさ」
「あと気付いていたと思うけど私もスパイだよ。仲間がだめちくりんな動きをした場合、どういう行動をするのか調べていたんだ。私たち以外にも何人か混ざってたけど、すぐに気付いたのはヒカリくらいだよ」
「……そ、そっかー! やっぱりそうだったんだね!」
どうやら向こうが勝手に勘違いしてくれた結果私は合格してしまったらしい。ただ馬鹿正直に言うものでもないし、私は全力で話を合わせた。




