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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第二章 暗き世界で光輝く太陽【第一部2】

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2-80 トレンタからの秘密協定の誘い

『おーい、聞こえるかー』

「ん? どちら様?」


 バリケードを作っていると無線から野太い声が聞こえてくる。そういえば説明で他の入隊希望者との共闘や妨害工作が推奨されていたっけ。


「あ、ひょっとしてさっきの、えーとハゲの人?」

『ハゲじゃねぇスキンヘッドだ! トレンタ・バレンティーノだよ!』


 トレンタは頭の事を気にしているのかハゲいじりをするとブチ切れてしまった。性格に難がありそうな人だったけど、一体どんな用事で話しかけてきたのだろうか。


「それで私に何の用?」

『単刀直入に聞く。俺達と共闘するか、敵対するかどっちにする』

「共闘はともかく敵対? なんで?」

『わかんねぇのか? 生き残るために他の入隊希望者を囮にするんだよ。他の奴が味方になる保証はない。お前も同じ人種や性別で集まった口だろ。まあ……わかるだろ?』


 トレンタは私に腹黒い取引を持ち掛ける。きっと彼は向こうでさぞかし悪い顔をしているに違いない。


「え? いや私は適当に余った子に声をかけただけだけど。独りぼっちは寂しいし」

『は? そ、そうか』


 だけどメンバーを深く考えずに決めた私はおバカ回答をしてしまい、トレンタは思いもよらない答えに呆気に取られてしまった。


 でも確かに皆最初のチーム決めで同じ様なタイプの人と固まっていたからなあ。ここで性別も人種も関係なく仲良くしていればそもそも戦争なんてしてないし、NAROも必要ないわけで。


 むしろ入隊希望者はライバルだし、きっと互いに潰し合う展開になるんだろうな。行動は全て見られていると言っていたけど、ひょっとしてそれも含めて評価対象なのだろうか。私は別にその辺を意識して行動したわけじゃないけど。


『まあいい。ならお前らに不利になる行動をしてもいいって事だな』

「うん、別にいいよ。ただこっちも気にせずに戦うから、うっかり迷惑をかけたらごめんね。そっちも頑張ってね」

『変な奴だな。じゃあな、切るぞ』


 最後にトレンタにそう伝えると、彼は終始戸惑いながら無線を切った。


 でもそっかー、他の入隊希望者から邪魔される事もあるのか。離反や裏切りは寄せ集めの軍隊ではよくある事だけど、学校の訓練じゃその場合の対応は習わなかったなあ。


「勝手に決めたけど良かった?」

「別に構わない。ここで足を引っ張り合っていても俺達の評価が下がりそうだし」

「うんうん、喧嘩は嫌だし制限時間までここでのんびりしようか~」

「わ、私も、はい」


 私は事後承諾になってしまったけど、ユルグ、ミカン、エマの意思も確認して承諾を得た。それじゃあ気を取り直してちまちまバリケードやトラップを作ろうかな。

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