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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第二章 暗き世界で光輝く太陽【第一部2】

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2-77 実技テストのルール説明

 支給された訓練着に着替えて訓練場兼実技試験の会場に集まった私は、他の入隊希望者と一緒に係の人の説明を聞いていた。


 二つの試験を終えたくさんいた入隊希望者はごっそりいなくなってしまった。ここにいるのは日本語がある程度出来、なおかつ既にそれなりの身体能力を持つ人間ばかりだ。


 目つきからして明らかにただものじゃないオーラを漂わせている人もいるし、軍事系の学校にいたから簡単に突破出来る、なんて思わないほうがいいだろう。


 野球でも出来るくらい広い訓練会場には市街地戦を想定したセットが組まれており、普段は隊員達が訓練に使っているのだろう。なんか見覚えがあるけどほんのり異国情緒を感じられるし、ひょっとして崎陽の街をモチーフにしたのかな。


 うちの学校にも似た様なものはあるけどここまで大掛かりなんて予算は相当潤っているはずだ。圧倒的な財力の差を見せつけられ、私は戦ってもいないのに戦意を喪失してしまった。


「全員時間通り集まりましたね。ではこれより説明を始めます」


 説明を担当するのはヨンアで傍らには強そうな隊員の人も集合していた。また隊員はその階級章や服装からヨンア同様幹部クラスと推測される。


「これより皆様にはこちらで用意した装備品を用いて試験官であるNAROの隊員と戦ってもらいます。試験時間は一時間で、確保されればその時点で戦線離脱となります」


 ああ、女の子が困惑していたのはこういう事だったのか。実力至上主義のNAROで隊長になれるのは基本的にそれ相応の実力を持つ人間だけだ。ヒラ隊員でもあれだけ強いんだから、きっと皆相当手練れなんだろうな。


「他の入隊希望者と共闘して戦っても構いませんし、逃げる事に徹しても構いません。行動はすべてチェックされるので各々の判断で自由に行動してください」

「え、それだけ? あっ」

「ここにおられる方は全員最低限の資質はあるはずです。この試験は戦闘の技術だけではなく、何も情報がない中での咄嗟の判断能力やそれ以外の能力や資質も評価されます」


 私は思わず声を出してしまい冷ややかな視線が向けられたけど、ヨンアは苦笑しながら説明を続けた。いけないいけない、こんな事したら評価が下がっちゃうよ。


「なお戦闘に敗北しても問題ないですが、脱落せずに制限時間まで逃げ切るか、戦闘に勝利をすれば高評価を得られます。ただしその際NAROに相応しくない行動をしたと判断されれば評価が下がります。なので知り合いだからと優先して他の入隊希望者を庇う様な事をすれば低評価になりますね」


 また彼女はそれとなく手を抜かない事も伝える。あわよくば期待していたけどやっぱりそう上手くはいかないか。


 試験官はトータル三十人くらいの隊員が用意されており、うち幹部クラスはヨンアを含めて三人だ。部隊の構成的には幹部一人、一般隊員が九人か。


 ローブの様なものを被っていて顔がよくわからなかった褐色肌の隊長は、一見ムスリムっぽい見た目だけどなんか違う気がする。こちらは冷酷な戦闘マシーンって感じでただものじゃないオーラがギンギンに漂っているよ。


「……………」


 一番強そうなのはあのダンディなオジサンだろうなあ。世界観を間違えているというか、ハードボイルドにも程がある。明らかに素人じゃない佇まいっていうか、きっと従軍経験のある人なのだろう。


「試験開始時刻は一五〇〇です。その間に皆さんはミーティングを行い、そこに置かれたものから装備品を選んだ後、話し合って開始地点を決めてください。なお事前に周囲の地形を調べる事や、トラップやバリケード等を設置する行為も許可します」


 私は大事な説明を話半分に聞きながら相手の様子をうかがう。見た感じ暴徒を秒殺したエイトさんはおらず、対を為す一番隊の隊長さんもいない。入隊試験は重要な事とはいえ流石にそんな人が来るわけないか。


「ただしそれらの作成には支給された装備品やフィールドにあるオブジェクトを用いてください。また他のチームと共闘し、あるいは妨害しても構いません。開始時刻になればNAROが市街地エリアに突入し試験が開始されます。皆様の健闘を祈ります」


 ただ普通の隊長でも全員超一流のプロには違いないし、誰なら簡単とか期待しないほうがいいだろう。私は気を引き締めて試験の準備をする事にした。


 でも妨害って、わざわざ入隊試験でそんな事する人いるのかな?

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