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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第二章 暗き世界で光輝く太陽【第一部2】

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2-74 NAROの入隊試験・日本語検定編

 準備を全て整え、私はとうとうNAROの本部にやって来てしまった。


 戦争の最前線である九州地域は必然的に様々な人間も集まり、それに比例して最も揉め事が多くNAROにとっても最前線だ。


 どこぞの有名な建築士の人が設計したモダン建築はオシャレでありながら牙城の様でもあり、周辺には機神兵も配備され厳重な警備が敷かれている。


 昔の王様は城やお墓を豪華に魅せる事で権力をアピールしていたけど、威光を見せつけるのならば思惑は成功していると言えるだろう。


「うう、今更だけど本当に大丈夫かな」


 こんな緊張感漂う場所ではとてもじゃないけど全力は出せない。筆記試験は実質日本語検定で馬鹿でも突破出来るらしいけど、これじゃあ小学生でもわかる問題でも受かるか怪しいな。


 建物の中に入っていく入隊希望者は海外の人も多く、むしろ日本人は少なかった。


 NAROはそれなりに給料をもらえるけど、常に死の危険と隣り合わせだから兵隊と同じで進んでなりたがる人はそんなにいない。


 私は経済的な理由で軍事系の学校に進んだけど、その辺りの事情はNAROも同じだったはずだ。


(まあやるしかないんじゃない。私もフォローするからさ)

「……うん、そうだね!」


 とにかくここでじっとしていても仕方がない。ノミコちゃんに背中を押され私は腹をくくった。


 当たって砕けろ、こうなりゃとことんやってやるよ!



 試験会場に移動して指定の席に座った私は問題用紙を流し見し、どのくらいの難易度か確認した。


 ふむ、実質的な日本語検定だと言っていたけど確かにこれは小学生レベルの問題だ。ただ最後の方に思想を確かめる問題があったから、それが一番の難問になるだろう。


 それは後回しにするとしてまずは普通の筆記試験だ。最初は国語力を確かめるテストらしく、問題文には『興味津々』という四字熟語の読みを答えるという舐めた様な問題が出された。


 成程、確かにこれは普通誰でもわかる。やはり問題は全て日本語検定だと考えたほうがいいだろう。


『きょうみつんつん』


 私はサラサラと鉛筆を走らせ解答する。よし、次はどんな問題かな。こんな所に時間はかけていられないからサクッと進めないとね。


 問.植物はどうやって光合成をするか。


『気合と根性と元気』

(ちょい、違うから)


 私はそう記述したけど、呆れたノミコちゃんの囁き声でハッとなる。そうだ、やっぱりよくよく考えたらそんなはずはない。私は急いで答えを訂正した。


『友情と努力と勝利』

「……………」


 うん、これで良し。ノミコちゃんも何も言ってこないしこれで間違いないはずだ。


 えーと、次は歴史の問題だね。幕末に薩摩と長州の間に結ばれた同盟を何というか……なんだっけな、どこかで聞いた様な。あ、そうだあれか!


『明治維新軍』

「っ」


 だけどノミコちゃんはぷくく、と笑いをこらえてしまった。しまった、これはひっかけ問題だ、うっかりしていた!


『明治維震軍』


 私は文字を書き直し正しい答えに変える。間違えやすいけどこっちの方が正しいんだよね。見事ひっかけ問題を攻略した私はふふん、とほくそ笑んでしまう。


(あんたの頭の中の教科書にはプロレスの歴史しか書かれてないの? まあ別にいっか、仮に全部間違えていてもどうとでもなるし)


 カンニング担当のノミコちゃんは答えを教えず私を見守る。もしかしたらただ単に諦めていただけかもしれないし、その思わせぶりな発言に闇を感じたけど、私は真面目に小学生レベルの問題を解き続けた。

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