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ゆめのおちかた~終わりに向かう二つの世界、小説家とアニメーターを目指す何者かになりたい若者と、夢破れたTSダメ親父が紡ぐ英雄のいない物語~  作者: 高山路麒
第一章 終わりに向かう二つの世界【第一部1】

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1-100 神話に出てくるアラディア王国について

 バスガイドロボのオトハに空港内を案内してもらったはいいものの、ぶっちゃけ俺は崎陽空港を訪れるのは初めてではなく、多少内装は変わっていても概ね現代と同じなので迷いようがなかった。


 ただ違う点を挙げるとするならば空港内部が実にこぢんまりとしていた事か。


 観光に特化した長崎で崎陽空港は必要不可欠な施設だったが、ご時世もあり空港は拡張、軍用機なども乗り入れする共用空港に変貌してしまった。


 その頃にはもう観光客を出迎える長崎くんちの模型とかも撤去され、実に殺風景なものになっていたっけ。


 もちろんこれは長崎だけではなく日本全ての地域に当てはまる事で、その結果この街もかなり財政が潤ったけど、やっぱりなんとなくやりきれないものはある。


 しかしこちらの世界の崎陽空港はそういった物々しいものは特になく、観光客を出迎えるために設置されたパネルやオブジェがそのまま残っており、拡張工事の類は一切されておらず昔の空港がベースとなっていた。


 ここは長崎を再現したアミューズメント施設らしいが、アラディア王国なる昔の人もあえてあの血生臭い時代を再現しようと思わなかったのだろう。


 黄緑色の若葉が芽吹いた壊れた壁からは太陽の光が差し込み、スライムの様な生き物は光を浴びながらかつてここを訪れた子供がそうしていた様に錆びた飛行機の玩具で無邪気に遊び、寂れてはいたが切なくも優しい時間が流れていた。


「でもアラディア王国か。ここでその名前を聞くとはな」

「ザキラは知っているのか?」

「神話に出てくる国の名前だよ。創造神の一柱であるアラディアって神様が統治していて、神の叡智によって万物を作り出し天地を創造したとされている。物質的にも精神的にも全てが満たされ、誰もが幸せに暮らせる理想の国だった、ってされてるな」

「いわゆる神の国か。天国とか日本神話の高天原とかあんな感じの奴なのかな。普通に考えたら昔のすっげえ技術者集団の事だったんだろうけど」

「現実的に考えればそうなんだろうな。アンジョが神様扱いされているのはその技術力なわけだし」


 移動中俺とザキラはアラディア王国について考察をした。


 なおアラディアも失われた古代宗教の女神の類であるが、早い話が作り話によって生まれた架空の神話の神様だ。


 もちろんこの世界の人にとっては大事な教えなのでこのちゃんぽん世界観にあれこれ言うつもりはない。信じる人にとっては空飛ぶスパゲッティだって神様になるのだから。


 ちなみにスパゲッティもキリスト教に対する皮肉から生まれたパロディ宗教だったが、創作した人の意に反していつの間にか本物になったんだよなあ。


 この世界のアラディア神もそういう感じで作り物から本物の神になったのだろうか。

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