第6章:静けさの経済と反動の訪問
火は、消えました。
けれど、そのあとに広がるのは、ただの灰色の空ではありません。
戦争が止み、緊張が緩み、世界がようやく「もう撃たれない」と感じたとき──
そこに広がるのは、静けさです。
そして、その静けさは、人の心に「動いてもいい」と囁き始める。
この5年間、私たちは「動けなかった」だけではありません。
実は、「動く理由すら否定されていた」──
そういう時代に、生きていたのです。
行きたい、見たい、繋がりたい。
けれど、そのすべてが「我慢の対象」にされていた。
その抑圧が、今、世界全体で一斉にほどけている。
そしてそこに、「安心して人が集まれる場所」が現れたとしたら──
反動は、来ます。必ず。
それは「観光ブーム」ではなく、
“構造的な回帰”です。
「そろそろ、どこかに行ってみようか」ではなく、
「そろそろ、戻ろう。あの感じに。」という、記憶との再接続。
その第一歩として、大阪・関西万博はあまりにも象徴的です。
半年間にわたって世界中の国が顔を出す、
人が集まり、展示が並び、子どもたちが未来に目を輝かせる。
それは、“安心して動けるようになった世界”の試験点火でもあるのです。
そして忘れてはならないことがあります。
この訪問の波は、単なる消費行動ではなく、**「構造が導いた動き」**であるということ。
情報だけで満足する時代に、
「実際に行く」という行動がこれほど復権するとは、誰が予測したでしょう?
それはつまり──
世界がようやく“情報の外側”をもう一度求め始めたという徴候でもあるのです。
静けさのあとに来るもの。
それは、爆発ではありません。
じわじわと押し寄せる、“行ってもいい”という大きな波。
そしてその波は、今、確かに──
大阪に向かって、動いているのです。
◇
補足:大阪万博の来場実績と目標との関係 ~ナレーターより~
大阪・関西万博は、会期中に3,000万人の来場を目標として掲げている。これは半年間で達成するには、1日あたり約16万人の来場が必要となる水準である。
2025年4月時点、開幕からの来場者数は累計で順調に推移しており、平均ペースも日割り換算で必要水準に概ね近いか、やや上回る水準で推移している。大型連休や夏期の増加も見込まれており、序盤からの実績は「皮算用」ではなく、一定の構造的裏付けに基づいた軌道上にあると判断されている。
今後も季節変動とプロモーション効果が重なれば、目標達成は現実的な見通しに入りつつある。