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第3章:意外とできていた万博という現実

開幕直前まで、世間の空気は決して明るいものではありませんでした。


「間に合わないのでは」

「建設が遅れているらしい」

「海外パビリオン、全然進んでいないって」

「そもそも、目玉になるものがない」──


どこかで誰かが口にする不安の声が、徐々に積もり、

やがて「大阪・関西万博=失敗するかもしれないイベント」という空気が出来上がっていきました。


これは、偶発的な誤解ではありません。

事実、海外パビリオンの施工開始が遅れた国も多く、建設業界は人手不足と資材高騰の三重苦。

「五輪とは違う」「関心が薄い」「そもそも行かない」と、冷ややかな声もメディアに多く見られました。


けれど、開幕を迎えた今、私たちが目にしているのは──

その印象を、静かに裏切っていく“現実”です。


ほぼすべての国のパビリオンが開幕に間に合いました。

5カ国(インド、チリ、ネパール、ベトナム、ブルネイ)が間に合わなかったとはいえ、

それ以外の数十カ国が、**予想を超えて「予定通り」**に姿を現した。


構造的に見れば、これは驚くべき達成です。

人手不足、物流混乱、各国の準備状況のバラつき──

そうした中で、9割以上の国が会期初日に形を整えた。


「なんだ、意外とちゃんとしてるじゃないか」

──この驚きこそが、今の大阪万博に最初に訪れた人々が抱く感情です。


そして、この驚きにはもうひとつ、深い意味があります。


不安が裏切られたとき、人は安心を超えて“信頼”に近づく。


会場が“できていた”ことは、単なる達成ではなく、

これから訪れようとしている人々にとっては**「来ても大丈夫そうだ」という安心の導線**になります。


そう、イベントの完成度は、行った人だけが味わうものではありません。

完成したという事実は、まだ行っていない人たちの背中を押す構造になるのです。


大阪万博は、開幕の時点でその構造を逆転させた。

マスコミの煽りではなく、現地の実像が、自らの信頼性を再構築し始めた。


──これが、第三章の本質です。





補足:万博開幕時の完成率 ~ナレーターより~


2025年の大阪・関西万博は、約150の国と地域が参加する中で、インド、チリ、ネパール、ベトナム、ブルネイの5カ国が開幕時点でパビリオンの完成に至らなかった。これは全体の中で3%未満にとどまり、完成率は約97%に達していた。


報道では“間に合わなかった5カ国”に注目が集まったが、裏を返せば“間に合った145カ国以上”がほとんど言及されなかった構図がある。多国間調整や資材供給の遅延リスクを抱えながらも、高水準の完成率が実現されたことは、開催体制そのものが一定の構造的安定性を備えていたことを示している。

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