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第六十八話

 宮廷の会議室に集まった神光の戦士たちと各軍団の将軍、そして国王ジャレッドらは、天空帝都への到達について話し合っていたが、答えは出なかった。魔法使いの飛行魔法では危険すぎる。と言って、魔法の空飛ぶ船などという代物は存在しない。


 その時だった。光が降ってきて、コーラスが鳴り響いた。光の神々の神託だ。


「どうやら行き詰っているようですね。それにしても、よくぞ闇の勢力を打ち払いました。その点については賞賛すべきこと」


 神々は言った。アルフレッドが言った。


「とは言え、神々よ、こうして神託を下されに来たからには、天空帝都へ上陸する手段について何か妙案があると期待していいのでしょうか」


「そうですね。あなた達には神光船を授けましょう。光の神霊力で活動する空飛ぶ船です。闇の力に対しても強力なバリアで対抗できます。宮廷の中庭に降ろしておきましょう。操作方法についてはナビゲーションが付いているので大丈夫でしょう」


 そして、何かが地面に降り立った衝撃がここまで伝わってきた。


「今、神光船を降ろしておきました。神光の戦士たちよ、残るは天空帝都のザカリー・グラッドストンのみ。そして最後の闇の七騎士ダルククリス」


 そこでアリシアが言った。


「神々よ。グラッドストンを封印するには十二本の魔剣が必要なんでしょう? 今ここに至って、クリストファーがいない。魔剣は十一本しかありません。クリストファーはどこにいるのですか」


 神々はしばしの沈黙ののち、言った。


「辛いことを伝えなければなりません。クリストファーは闇に堕ちました。闇の七騎士ダルククリスこそが、神光の戦士クリストファーなのです。グラッドストンの激しい拷問によって彼の光の心は閉ざされてしまいました。今クリストファーは、ダルククリスとなって、魔剣デュランダルを暗黒剣ジグ=ラドに改造し、闇の騎士となってしまいました」


 室内がざわめいた。


「でも……だったらどうするんだ。魔剣は十二本必要なんだろう?」


 エイブラハムが疑問を呈した。


「クリストファーはもどってこないの?」


 アリシアの問いに、神々は答えた。


「望みはないでしょう。もはやダルククリスは最強の七騎士と言っても過言ではない恐ろしい闇のパワーを持っています。光の力は完全に失われてしまったかも知れません」


「そんな……」


「畜生」


 アルフレッドは机を拳で叩いた。


「話を戻すが、ではダルククリスを倒したとして、十一本の魔剣でグラッドストンを封じることになるのか。それは可能なのか」


 エリオットが言った。


「不完全な封印となりますが、可能ではあります。ですから、ダルククリスを倒し、あなた達は十一本の魔剣でグラッドストンを封印することになります」


 それが神々の答えだった。


「ダルククリスを倒せと簡単に言うが、最強の七騎士なのだろう。その上アルフレッドとアリシアの僚友であった者だ。神々には手助けしてはもらえないのか。その神霊力とやらで」


 言ったのはアビゲイルである。


「我々が必要以上に干渉すれば、グラッドストンはダルククリスを殺すでしょう。グラッドストンは離れていてもそれが可能です」


「やるしかないな」コンラッドが言った。「闇に堕ちたのなら、せめてそれから解放することが我々にできることだろう」


「クリストファーを殺せっていうの?」アリシアは声を荒げた。アルフレッドは彼女を制した。


「アルフレッド、あなたなら必ずクリストファーを取り戻せるわ。彼があなたを斬るはずがない」


「ダルククリスは手加減できるような相手ではないようだ。その件に関しては、コンラッドが正しかろう」


 ライオネルが言った。


「やるだけやってみるさ。俺は」


 アルフレッドは言った。


「神光船とやらを見に行こう。天空帝都へ向かうぞ」


 そうして、一同は中庭に移動した。



 巨大な球体がそこにはあった。表面には幾何的な模様が刻まれている。


「入り口はどこだ」


 マクシミリアンはセンサーらしきタッチパネルに手を触れた。すると、球体の一部が開いてタラップが接地した。


「どんな仕掛けになってるの。さすが神様の船ね」


 クラリスは興味深げに船の中へ入っていく。


「私の知識にも存在しない」エスメラルダは呟いた。「このような物体が空を飛ぶ船とはな」


 中に入ると、船内の壁には三百六十度外の景色が映し出されていて、コンソールが設置されていた。


「凄い。中から外が見えるなんて。どんな魔法なのかしら」


 スカーレットも驚いていた。


「とりあえず、今日は休もう。神光船で、明日に天空帝都へ乗り込む」


 アルフレッドは言った。一同頷く。


 そうして、運命の一戦に向けて、戦いの場は天空帝都へと移ろうとしていた。

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