第五十話
普段であれば王の間は請願に訪れる人々で込み合っているが、今日はそうではない。みな光の陣営が一斉に蜂起したことを知っていて、それぞれ自宅に避難待機していた。それに、闇の勢力の陣営は完全に人々の信頼を失っており、バンデル・ミラーに請願に訪れたのは同じく闇の陣営に立つ人々であった。その人々でさえ、今日は宮廷に姿を見せていなかった。
神光の戦士たちは無人の宮廷を駆けて行った。魔獣の出現も止まった。この先は王の間だ。そうして、彼らは目的の場所へたどり着いた。
玉座には一人バンデル・ミラーが座していた。ミラーはこの状況を楽しんでいるかのようであった。口許に笑みを浮かべ、面白そうに神光の戦士たちを眺めている。
「ようやく来たか、神光の戦士たちよ。君たちの勇気を楽しみにしていたんだ。この王の間で、私の力の前にどれほどの抵抗ができるのか、興味津々だね」
アルフレッドは言った。「バンデル・ミラー、貴様の狂気には限りがある。ウィルギット王国を滅ぼすなんて許されることではない。我々が立ち上がるのは、光の正義を守るためだ!」
ミラーは嘲笑を浮かべた。「光の正義? 笑わせてくれるね。光はただの幻影に過ぎない。闇こそが真の力を持つ。そして私はその力を手に入れることができたのだ」
クラリスは覚悟を決めて言った。「闇の力が腐敗と破壊をもたらすことを忘れてはならない。私たちはこの闇を払いのける使命を帯びているわ」
バンデル・ミラーは高笑いした。「使命? 正義? 愚かな言葉だ。力こそがすべてを支配する。君たちがそれを理解するまで、この闇の力に抗えるはずもない」
アリシアもまた覚悟を決めていた。「私たちは絶望の中でも希望を信じて戦い続けるわ。闇に蝕まれた心に光を取り戻すために、必ずやあなたを倒す」
ミラーは冷笑した。「それが君たちの最後の言葉か。では、試してみせるといい。私の闇の力は絶対だ。この闇の四天王、バルデュエル・ミラーの力の前に、絶望するがいい!」
バルデュエル・ミラーは冷徹な笑みを浮かべながら、玉座から立った。彼の目には狂気が宿り、決意が燃え盛っていた。戦いの幕が切って落とされる。
バルデュエル・ミラーは闇の大魔術師として、凄まじい魔法の力を持ち合わせていた。彼の魔法は闇のエネルギーに満ち、邪悪なオーラを纏っている。神光の戦士たちに対して、彼は次々と恐るべき魔法を連発してくる。
まず、バルデュエル・ミラーは手元で暗黒のエネルギーを集め、闇の魔法の弾幕を放った。魔法の弾丸は黒い流れ星のように光を吸い込み、神光の戦士たちに向かって突進してくる。神光の戦士たちは必死に回避を試みるが、闇の魔法の速度と攻撃範囲に間に合わず直撃を受けた。
さらに、バルデュエル・ミラーが手を振るうだけで、床から闇の蔓が現れ、神光の戦士たちを縛り付けようとした。蔓は無数に広がり、神光の戦士たちの足元を捉えて動きを封じる。束縛された彼らは一瞬の隙をつかれ、バルデュエル・ミラーの次なる魔法に対処することが難しくなった。
また、バルデュエル・ミラーは闇の力を込めた巨大な球体を掲げて、そのまま空中に放り投げた。球体は空中で破裂し、強烈な闇の爆風を引き起こした。爆風は周囲を闇の空間で覆っていき、神光の戦士たちにとっては生き延びるための絶え間ない闘いとなった。
神光の戦士たちは必死に抵抗するが、バルデュエル・ミラーの圧倒的な魔法の力に対して苦戦を強いられた。
彼の魔法は破壊的で多彩であり、神光の戦士たちはその攻撃に立ち向かったが、バルデュエル・ミラーの強力な闇の力に押されていく。
彼は空中から魔法の杖を取り出し振るうと、床に暗黒の衝撃波を走らせた。衝撃波は瞬く間に広がり、神光の戦士たちを襲った。彼らは身をかわすために必死に身をよじるが、闇の衝撃波は容赦なく迫って彼らを切り裂いた。
さらに、バルデュエル・ミラーは空中から魔法陣を展開し、闇の属性を持つ魔法の矢を次々と放ってきた。矢は速く、正確で、神光の戦士たちが身を避ける暇も与えられなかった。仲間の魔法使いたちがどうにかシールドを展開するが、闇の矢はそれらを破壊してしまう。
さらに、バルデュエル・ミラーは自身の透明化能力で姿を消し、神光の戦士たちに闇の分身を襲いかからせた。彼らは迫りくる九体の闇の分身に対して奮闘するが、その分身は神光の戦士たちの攻撃も魔法もすり抜け、邪悪な魔術で攻撃してくる。
神光の戦士たちは混乱し追い詰められていった。神光の戦士たちは体力を消耗し、心身ともに疲労していた。回復ポーションや魔法で回復するも、味方の攻撃機会が得られないまま、バルデュエル・ミラーの攻撃が続く。
絶体絶命のピンチに追い込まれた神光の戦士たち。その時、彼らは再び覚醒し、その体は光に包まれる。まるで宇宙の輝きが彼らを取り巻くかのように、強大なエネルギーが彼らの全身を満たしていく。
アルフレッドの身体からは燦然とした金色の光が放たれ、エイブラハムの周りには熾烈な炎が燃え上がり、エスメラルダの姿が翠緑の輝きに包まれていく。ライオネル、エリオット、クラリス、スカーレット、そしてマクシミリアンも、それぞれに独自の光に包まれている。
バルデュエル・ミラーはその光に目を奪われ、一瞬戦いの勢いが止まる。しかし、彼は再び冷酷な笑みを浮かべ、憎悪の眼差しで神光の戦士たちを見つめた。
「愚かなる光の戦士どもよ! その力も虚しく、闇の前には無力だ!」彼の声が宮廷に響き渡る。
神光の戦士たちは、光の力に鼓舞され、再び立ち上がった。彼らの意志と結束が更なる輝きを生み出し、闇の力に立ち向かっていく覚悟が見て取れた。彼らは絶望の中で新たな希望を見出した。
「バルデュエル・ミラーよ! 俺たちは決して屈しない!」
アルフレッドの声が闘志に満ちていた。彼らは追い詰められながらも、団結し、光の力を合わせて戦う。闇の大魔術師の攻撃に耐え、必死に反撃を試みるのであった。
バルデュエル・ミラーの魔法と神光の戦士たちの光の攻撃が激しくぶつかり合い、宮廷は戦いの嵐に包まれていく。その激しい戦いの中で、神光の戦士たちが次第にバルデュエル・ミラーに対抗していく兆しを見せ始めた。
「何だと……? なぜ……なぜこんなに強い」バルデュエル・ミラーが驚愕の表情を見せる。
光と闇が激しく交錯し、宮廷はその力に揺れ動く。バルデュエル・ミラーの闇の魔法と神光の戦士たちの輝く攻撃が互いにぶつかり合い、周囲の空間が歪み始める。それはまるで宇宙のような壮大な光景であった。
アルフレッドの神気の霊鎧が、バルデュエル・ミラーの邪悪な魔法の一撃を受け止めるが、その衝撃でアルフレッドの足元が地面から浮き上がってしまう。エイブラハムは炎の魔法を放ち、バルデュエル・ミラーを包み込もうとするが、闇の大魔術師は軽やかにテレポートして攻撃を回避した。
エスメラルダの魔法の刃が空を駆け、バルデュエル・ミラーの姿を追うが、その瞬間に姿を消されてしまう。バルデュエル・ミラーはまるで影のように現れたり消えたりし、神光の戦士たちに対して執拗に攻撃を仕掛けた。
ライオネルは剣技・烈風雷鳴斬を放ちながら、迫り来る闇の魔法に立ち向かう。彼の魔剣グラムは光の輝きを放ちながら、闇の攻撃を切り裂こうとするが、バルデュエル・ミラーの魔法の威力はまるで凶暴な嵐のようで、ライオネルの攻撃は次々と跳ね返されてしまう。それでも彼は立ち上がり、闘志を失わずに再び挑みかかった。
エリオットは剣技・光剛破断を繰り出し、神聖なる魔法を込めた攻撃を試みたが、バルデュエル・ミラーのテレポートによってその攻撃はかろうじて避けられた。
クラリスは魔力・極其の二を発動し、四大精霊撃滅衝破を放った。閃光が空間を貫いたが、闇の四天王はまた影のように回避した。
スカーレットは神霊全空波動衝撃波を放ちながら、闇の魔法の波を打ち消そうとしたが、バルデュエル・ミラーの攻撃は非常に巧妙で、波動衝撃波は次第に追い詰められていった。彼女は神官の使命を胸に、信仰の力を高めようと試みる。
マクシミリアンは原初の爆発ビッグバンを詠唱し、大魔法を解放する、バルデュエル・ミラーの闇のパワーは常軌を逸しており、その攻撃を完全に打ち消してしまった。
神光の戦士たちが立ちはだかるバルデュエル・ミラーの壮絶なパワーと激しくぶつかり合う。アルフレッドのエクスカリバーの輝く剣技、アリシアの風と氷の魔法、エリオットの光剣技、エイブラハムの炎と氷の剣技、クラリスの大魔法、エスメラルダの精霊の力を込めた剣技、ライオネルの雷と風の剣技、スカーレットの神聖魔法、そしてマクシミリアンの超絶な大魔法、全員が全力を出し尽くす。
広間は神秘的な光と闇に包まれ、その激しさが空間を歪ませるほどである。バルデュエル・ミラーの闇の魔法が迫り来る度に、神光の戦士たちは魔剣のパワーで応戦し、その場から飛ばされるほどの圧倒的な威力に押される。しかし、彼らは諦めない。
彼らの心には大切な人々への思いや、信じるべき未来への願いが宿っている。その想いが彼らに力を与える。アルフレッドは魔法戦士としての誇りと正義の意志を、アリシアは勇気と友情を、エリオットは自らの使命と信念を、エイブラハムは情熱と覚悟を、クラリスは知識と洞察力を、エスメラルダは自然との共鳴と優しさを、ライオネルは忍耐と強さを、スカーレットは神聖なる使命と優雅さを、マクシミリアンは大いなる魔法の力と決断を、全員が自分を取り巻く思いと力を胸に立ち向かう。
壮絶な魔法の戦いが続く。神光の戦士たちは次第に連携を重ね、お互いの力を引き出し合いながら、バルデュエル・ミラーに対抗していく。彼らは一つとなり、光と闇が交錯するその瞬間に、希望と未来を守るために戦い続ける。
バルデュエル・ミラーの闇のパワーが深ければ深いほど、神光の戦士たちの光もそれに応じて力を増していく。彼らの体からは輝かしい光が溢れ出し、闇を切り裂くように広がっていった。
神光の戦士たちは決して諦めず、全身全霊で戦い続けた。彼らの攻撃はバルデュエル・ミラーを捉え、その強大な闇を打ち砕くかのように闘志を込めて放たれた。剣技、魔法、光の矢、爆裂するエネルギー、雷鳴とともに舞い踊る風、全てが一体となって敵を包み込む壮大な光景であった。
バルデュエル・ミラーも圧倒的な魔法を駆使し、反撃を繰り返す。彼の魔法の威力も増し、激しい闘いが続くが、神光の戦士たちの光のパワーはますます強まっていく。彼らの心の絆、信じる心と意志が一つになり、その光はどんどん輝きを増していく。
熾烈な戦いの中で、神光の戦士たちの攻撃が次第にバルデュエル・ミラーに迫る。闇の大魔術師は自らの闇に飲まれそうになりながらも、執念と野心によって立ち向かった。しかし、神光の戦士たちの団結と力強い意志が、闇の深淵にも光明の希望を差し込んでいるように感じられた。
そしてついに、壮絶な攻防の末に、神光の戦士たちがバルデュエル・ミラーの防御の一点を突き破った。その一瞬、彼の闇の魔法が一時的に弱まり、神光の戦士たちの圧倒的な攻撃がバルデュエル・ミラーを打ち抜いた。
衝撃的な一撃が宮廷に響き渡り、闇の大魔術師バルデュエル・ミラーが倒れこんだ。この闇の四天王の体が床に激突し、闇の魔法が崩れ去った。
その一瞬、宮廷に静寂が訪れる。神光の戦士たちは息を詰めて立ち尽くし、バルデュエル・ミラーの動きを見守った。果たして、彼の魔法の力は再び蘇るのか、それとも彼は立ち上がることなく敗北を受け入れるのか。その結末は、この瞬間の一振りにかかっているかのように思えた。
そうして、アルフレッド、アリシア、クラリス、エリオット、エイブラハム、ライオネル、エスメラルダ、スカーレット、マクシミリアン、それぞれの神光の戦士たちは魔剣を掲げ、光のパワーをバルデュエル・ミラーに叩き込んだ。星々の輝きにも似た全てを照らし出す光がバルデュエル・ミラーを包み込む。
かくして、遂にバルデュエル・ミラーの肉体は消滅し、滅び去った。
邪悪な気配は消え失せ、静寂が支配した。
「終わったな」アルフレッドは言った。
アリシアは頷き、クラリスと顔を見合わせて微笑んだ。
「味方はどうなったかだな」
エリオットの言葉にエイブラハムは賛同した。
「そうだな。こっちで勝ったが外は敵だらけというのはごめんだ」
ライオネルは「では急ぐとしようか」と言った。
エスメラルダが「まあ待て」と言って、携帯端末を取り出した。
スカーレットとマクシミリアンも端末を取り出し、速報を確認する。
王都や国内の各地で光陣営の魔導士が中心となって闇の陣営の拠点を制圧しているとの一報が報道されていた。
「どうやらうまくいったようだな」
マクシミリアンが言うと、スカーレットが口を開いた。
「それじゃあ、私たちからも知らせましょう。バルデュエル・ミラーは神光の戦士たちによって倒されたってね」
「それは良さそうだな。ライブ配信するか」
アルフレッドは言って、携帯端末のアプリを起動した。それぞれの戦士たちもアプリを起動して配信を開始した。
視聴者数はあっという間に増加して、バルデュエル・ミラー撃破の報は国内に衝撃を与えた。
市民たちは快哉を上げ、闇陣営は崩壊した。
こうして、ウィルギット魔法王国での戦いは終末を迎えたのであった。




