第三十九話
一行は北部の町ノヴァスフィア市に魔弾鉄道で移動した。ここからは馬での移動となる。
スカーレットが先頭に立ちイリステル神殿へと向かう。荒れ地を行くこと数日、荒廃した神殿跡地が見えてくる。クラリスとエスメラルダが千里眼で神殿内を探査する。
「起動装置とやらが見える。多分あれか」
二人はコンソールとモニターが備え付けられた部屋を確認する。
「敵の姿が見えないわね。もしかしてここは無防備」
「それはないだろう。とにかく、起動装置の場所は分かったんだ。向かおう」
そうして、彼らは神殿の敷地に入っていく。
神殿内部はあちらこちら崩落していて、かつての威光も見る影が無い。
「ここはどうして放置されてしまったんだろう」
アルフレッドがスカーレットに問うと、彼女は答えた。
「もう随分昔になるんだけど、この国では全土を巻き込む宗教戦争があったの。その際に敵対陣営の多くの神殿が破壊されたりして。ここも例外なく破壊されてしまったのね。余談だけど、今人々が利用している都の神殿や聖堂は建て直されてまだ新しいわ」
「そうなのか」
そうこうするうちに彼らは起動装置の部屋に到着する。
「ああ……ここね」
スカーレットは起動装置に歩み寄った。
その時である。天井を突き破って四体の人型の魔物が降ってきた。
「やっぱりただでは通してくれないな」
エリオットはクラウ・ソラスを抜いた。
四体の魔物は金属の体を持っていて、滑らかな人間の形をしていた。顔には目も口も無く、のっぺらぼうである。金属の肉体は磨き上げられていて、光沢でつやつやしている。
「何だか変な敵だな。これまで見た魔物と違うぞ」
すると、金属の魔物は機械音声を発した。
「侵入者を検知……高レベルの脅威を推定……排除すべし」
魔物はすぐに攻撃してきた。
腕を交差させて、「デュワ!」と咆哮する。交差した腕からビームが放たれた。
クラリスとエスメラルダ、エリオットにスカーレットがシールドを展開する。
ビームはシールドにぶつかって激しく金属的な破砕音を鳴らした。
やがてビームを撃ち終えると、金属の魔物は腕を下ろし、爆速加速で突進してきた。
アルフレッド、アリシア、エイブラハム、ライオネルが前に出て魔物のパンチを魔剣で受け止める。
アルフレッドは切滅八連に神霊斬を乗せて凄まじいクリティカルヒットの連撃を放つ。エクスカリバーは金属の肉体を紙きれを斬るように易々と切り裂いた。
アリシアは烈風迅雷で連撃でこちらも魔物をずたずたに斬る。
エイブラハムの豪速天武、ライオネルの烈風雷鳴斬が魔物を斬り裂き、圧倒的なパワーの差を見せつける。
吹っ飛ばされた魔物たちは、「ライフに重大なダメージあり……再生を開始する」そう言って傷を回復し始める。
だがそこへ魔法を使える四人が攻撃を開始する。全員魔力・極千パーセントを行使する。
クラリスの雷魔法「天雷」、エスメラルダの炎魔法「業火」、エリオットの神聖魔法「千光槍」、スカーレットの神聖魔法「聖波動・滅」。
四人の魔法は魔物たちを貫き壊滅的なダメージを与え、この金属の魔物たちは崩壊していった。
「終わったようだな」
ライオネルは周囲を見渡しダーインスレイヴを納めた。
「それで、この装置を使ってどうするつもりなんだ」
エイブラハムが言うと、スカーレットは改めて起動装置に歩み寄る。
スカーレットがコンソールのパネルを操作して装置を起動する。モニターに図面が現れる。
「闇のエネルギーが百パーセントで結界起動に使われている……オーケー、これから全部放出してあげる」
スカーレットはコンソールを操作する。すると、「エネルギーの放出を開始します」と音声が発せられ、モニターに表示されているエネルギーのメーターが下がっていく。
と、そこで彼らの背後に何十体もの金属魔物が降り立ってきた。
「みんなごめんなさい。魔物たちをお願い」
スカーレットの言葉にアルフレッドらは「了解した」と魔物たちに向かって行く。
「それじゃあひと暴れするか」
アルフレッドは神霊斬を行使して剣技・無刃で突撃。アリシアも剣技・烈風迅雷で突入。エイブラハムは豪速天武で、ライオネルは烈風雷鳴斬で突進。
クラリスは「魔結界、出でよ暗闇の悪鬼、同胞を食らい尽くせ」魔法陣から巨大な鬼を召喚して魔物を食らわせる。
エスメラルダは「四大精霊、合体、聖霊砲」エレメンタルキャノンを放つ。
エリオットは「無数の聖槍、天より来たれ」光の槍を雨のように叩きつけた。
魔物たちは抵抗するが、アルフレッドらの圧倒的なパワーの前に次々と撃破されていく。金属魔物はそれから第二波、第三波と押し寄せたが、全て神光の戦士たちが退けた。
その間にエネルギーの放出が進み、「エネルギーの放出を完了」機械音背が発せられた。
スカーレットは安堵の息をついた。
「よし、じゃあ、光のエネルギーを充填開始」
スカーレットはコンソールを操作する。
そこへアルフレッドがやって来る。
「どうだ。終わりそうか」
「ええ。闇のエネルギーは全て放出完了。ちょっと蛇足で、光のエネルギーを充填中。そっちは? 敵は片付いた?」
「ああ、どうやら敵の攻勢は止まったみたいだ」
「よし、これでまずは一つを完了。これだけでもかなりのダメージだと思うわ」
「そいつを聞いて安心した」
「どう? 終わったのスカーレット」
アリシアであった。
「ええ。どうにか無事にね」スカーレットは応じる。
「じゃあ、次に向かう?」
そこでアルフレッドがスカーレットに問う。
「どうなんだ? ここはもう放置しておいていいのか」
「もう大丈夫よ。後は装置がやってくれるわ」
「よし、それじゃあここにいても仕方ないな。次へ行こう」
三人は装置のある部屋から出た。仲間たちが待っている。
スカーレットが無事に装置を奪還したことを伝えると、みな意気も上がる。
そうして、八人は次の目的地へと向かうことにする。




