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第三十一話

 第二層へ入ったアルフレッドらは例によって千里眼による索敵から始める。最奥の大広間にいたのは四体のドラゴンであった。黄玉伯竜、翠玉公竜、蒼玉王竜、紅玉帝竜らである。


 これまでの戦いで竜族の魔物とは戦ったことはあるが、何度も経験があるわけではない。


「ドラゴンか……。さてどんなものかな」アリフレッドは零した。


「ドラゴンは魔物たちの中でも上位に位置する奴らだ。油断は出来んだろう。第二層にいるということを鑑みてもな」


 エイブラハムが言った。


「とにかく、やるしかあるまい。後退という文字はないからな」


 エスメラルダが促す。


 そうして、一行は最奥の大広間に入った。


 四頭のドラゴンは、眠りから覚め、その首を持ち上げた。


「去れ、人間よ。ここは黒呪の魔女の城。人間などが立ち入る場所ではない」


「残念だが、そういう選択肢は無いんでね。お前たちを葬らせてもらう」


 アルフレッドは言ってエクスカリバーを抜いた。他の仲間たちも魔剣を抜く。


 クラリスとエスメラルダが味方にバフをかけ、全員深紅の覚醒で能力を更に底上げする。


「言っても分からぬか。……では死ぬしかないな」


 すると、ドラゴンたちは起き上がり、それぞにドラゴンブレスを吐き出した。黄、青、赤、緑の閃光がドラゴンたちの口からほとばしる。


 アルフレッドらはそれに耐える。


 閃光が収まって、アルフレッドらが立っていることを確認すると、ドラゴンたちは驚いていた。


「何だと……」


「勝負はこれからだな。こっちには竜殺しの魔剣だ」


 アルフレッドは加速すると、黄玉伯竜に向かって飛んだ。空を蹴って剣技・切滅八連による連続クリティカルヒットを叩き込む。伯竜の首が切り裂かれるが、さすがそう易々と首は落ちない。


 アルフレッドに続いてアリシアが伯竜に風陣連弾、エイブラハムが無双連撃を打ち込み、エリオットは巨人籠手を叩き込んだ。


 エスメラルダとクラリスは二人の合体魔法を行使する。無数の魔法陣が空に展開する。


「四大精霊竜、召喚により来たりて敵を飲み込め」


 召喚された地水火風の龍たちはドラゴンに向かって突撃し、大爆発を起こす。ドラゴンたちは少なからずダメージを受け、苛立たし気な唸り声を上げる。


 すると、四体のドラゴンたちはそれぞれにドラゴンマジックを唱えた。


「竜神怒涛、魔破」


 地の黄玉伯竜、風の翠玉公竜、水の蒼玉王竜、火の紅玉帝竜、四色の光が神光の戦士たちをとらえて爆発する。アルフレッドらは閃光に貫かれて吹っ飛び、壁に激突した。


「いたた……ドラゴンマジックか……さすがに強い」


 アルフレッドはエリオットに回復を要請する。聖騎士はすぐさま全員を回復させる。


 四頭のドラゴンたちは間髪入れず突撃してくる。体当たりだ。アルフレッドらは押し潰されそうになった。


「畜生……痛い」


 エリオットが再び回復魔法を使い、魔力回復ポーションを飲む。


 アルフレッドは反撃に転じる。剣技・無刃で加速すると、空を舞い、蹴り、アクロバットな動きで黄玉伯竜の首を切り刻みに切り刻んだ。


 そこへアリシアの剣技・魔天狼が来る。光輝く狼が伯竜の首を貫く。


 エイブラハムは剣技・竜巻斬りで伯竜の首に食い込んだ。


 更にエスメラルダの剣技・精霊皇牙が打ち込まれ、クラリスの「来たれ竜殺しの輝き、スレイヤード」魔法の光の刃が炸裂する。


 遂に黄玉伯竜の首が落ちる。この伯竜は黄色の粒子となって消滅した。


「馬鹿な……」


 他のドラゴンたちは狼狽する。


「どうした。まだ終わっていないぞ。だが、形勢は逆転だな」


 アルフレッドはエクスカリバーを構える。


 ドラゴンたちは舞い上がると、再びドラゴンブレスを吐き出した。神光の戦士たちは耐える。


「こ奴ら化け物か」


 翠玉公竜は地上に向かって急降下してくる、その体が緑の光に包まれる。そして、緑光の弾丸と化した公竜はそのまま地面に激突して爆発した。自爆したのである。広間を光が圧倒する。


 さらに蒼玉王竜、紅玉帝竜も続く。急降下した二頭のドラゴンも自爆した。閃光と恐るべき破壊力が広間を圧倒する。


 果たして。


 アルフレッドらは生きていた。クラリスが展開したシールドは破壊されたが、その軽減効果もあって、また神気の霊鎧によって守られていたのである。それでも大ダメージには違いなく、それぞれに回復ポーションを飲んでライフを全快させた。


「まさか一気に自爆するとはな」アルフレッドは呟いた。


 そして、黒いオーラがまたしても降ってきて、上層への階段が出現する。


 だが上がる前にドラゴンたちが落としたパワーストーンを確認する。ドラゴンマジックの「竜神魔破」はクラリスが頂いた。それ以外に特に目立つものはなかったが、ランク四と五のパワーストーンが大量に落ちていたので、スキルの強化に全て使い切る。


 そうして、アルフレッドらは第三層へと上がっていく。



 三層で待ち受けていたのは、黒呪の魔女が生み出した戦士たちである。


 広間の奥に六つのカプセルが配置されており、神光の戦士たちがやってくるとそのカプセルは開いた。


「何だあいつらは……まさか」


 エリオットは見開いた。


「嘘でしょ」


 クラリスも狼狽を隠せない。


 カプセルから現れたのは、漆黒の戦闘服に身を包んだアルフレッドらのコピー人間であった。


 だが、アルフレッドらが平静を取り戻す前に、コピーは攻撃を仕掛けてきた。


 アルフレッドコピーが剣技・無刃で切りかかってくる。アルフレッドはそれらを弾き返しながら後退する。


 アリシアコピーは剣技・風陣連弾を打ち込んでくる。アリシアもまた受け流しつつ後退する。


 エリオットコピーは真・波動砲を放ってくる。直撃を受けた神光の戦士たちであるが、堅い守りにダメージはそれほど通らない。


 クラリスコピーは多重詠唱に入ると「獄炎、氷牙、雷帝、敵を消し去れ」と三連魔法を行使した。炎の爆発と氷の刃、そして多数の雷が襲い来る。しかしこれも神光の戦士たちのガードを貫くには至らない。


 エイブラハムコピーの剣技・無双連撃、エスメラルダコピーの覇皇斬も本物の神光の戦士たちは受けきった。


「コピーとはね。だったら本物を見せてやろう」


 アルフレッドは加速してコピーに剣技・無刃で切りかかった。コピーは防御しようとするが、アルフレッドは圧倒的なパワーとスピードでコピーに大打撃を与える。よろめくコピーは血を吐きながらも無表情であった。アルフレッドは駆けだすと加速し、コピーの心臓をエクスカリバーで貫いた。コピーは血を噴き出し、絶命した。


 アリシアは剣技・竜神の吐息を放つ。猛烈な火炎がコピーを焼き尽くす。膝をつくコピーに対し、アリシアは加速するとその首を刎ね飛ばした。コピーは倒れて息絶えた。


 エリオットは剣技・巨人籠手を繰り出す。


「コピーは完全な劣化版だな」


 霊体の巨大な拳がコピーエリオットを一撃で粉砕した。


 クラリスは魔力・極千パーセント。


「これが本当の私よ。獄炎、氷牙、雷帝、敵を消し去れ」


 クラリスの魔法はコピーとは威力が全く桁違いで、コピークラリスは魔法の嵐の中で消えた。


 エイブラハムは「どうやら劣化が激しいな」そう言って反撃。剣技・無双連撃をお返しした。コピーエイブラハムはずたずたに切り裂かれ、最後に首を飛ばされて死んだ。


「これが本物の覇皇斬だ」


 エスメラルダはレーヴァテインを振り下ろした。凄絶な神通力の一撃が、コピーエスメラルダを両断した。


「呆気なかったな」


 アルフレッドは黒い粒子となって消滅していくコピーらを見やり言った。


「どうやらパワーストーンの地力が違い過ぎたみたいね」


 アリシアが応じた。


 コピーはそれでも大量のパワーストーンを落としていった。ほとんどがランク四のパワーストーンであったので、強化に回す。


 しかしそれから何事も起きない。上層への階段が現れない。


「はて、どうすれば……」


 エスメラルダは何気に上を見て、「な、何だあれは」と声を出した。


 皆天井を見上げる。何と、天井に無数のカプセルが張り付いていて、そこから次々とコピー達が排出されていく。コピーの大軍はアルフレッドらを取り囲んだ。


「数が集まれば何とかなると思ったか」


 エイブラハムは言った。


「ここは魔法の出番だな」アルフレッドは言って、「クラリス、エスメラルダ、全体攻撃は任せたぜ。こっちはそれぞれに対応する」


「任せて」


「任せておけ」


 クラリスとエスメラルダは言うと、多重詠唱に入る。


 コピー達が向かってくる。しかし無数の魔法陣が展開する。


「獄炎、氷牙、風陣、雷刃、岩弾魔弾、巻き起こせ暴走暴発、衝撃破」


 炎と氷、風斬り、雷撃、岩弾が広間全体に巻き起こる。クラリスとエスメラルダは裂ぱくの気合と共に魔法を増幅していく。コピー達は凄絶な魔法の嵐に飲み込まれて消滅していく。


 アルフレッド、アリシア、エイブラハム、エリオットらはそれぞれに火炎弾や氷の嵐、暴風竜巻、爆弾岩石などを駆使して範囲攻撃でコピーらを倒していく。


 圧倒的な魔法の前に、コピーたちは瞬く間に全滅したのである。


 落としていったパワーストーンはランクが低く、強化の足しになる程度であった。


「全く……驚かせやがって」


 アルフレッドは天井をもう一度振り仰いだ。


 そうして、こんどこそ黒いオーラが舞い降りてきて、第四層への階段が出現した。


 アルフレッドらは第四層へと階段を上がっていく。

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