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第二十二話

 首都に到着した一行は、ラッセル率いる聖鷹騎士団の精鋭に護送される形で首相府に運ばれた。レナルドがエイブラハム率いる神光の戦士たちとの面会を許可したのはラッセルも正直予想外であった。すぐにでも逮捕されると思っていたのだ。尤もレナルドはすでに首相府の外に補佐官のハーマンと衛兵らと共に待ち受けていた。首相府の中にアルフレッドらが入ることは出来なかった。


「ラッセル」レナルドは言った。「君も考えたな。エイブラハムらとそれに加担する神光の戦士を連れてくるとはな」


 だが、とレナルドは言った。


「そうか、この者たちが神光の戦士か。若いな。君たちも傭兵団に加担する気かね。例え王族であろうと、ここでは我が国の法に従ってもらうぞ」


「首相閣下」エリオットが言った。「エイブラハムは闇の帝王との戦いに必要な戦士です。傭兵団の王座から退いたのもそのため。国家への反意など全くありません。政治とは無関係のことです」


「何れにしても」レナルドが応じる。「処分は追って下す。それまで君たちの身柄はエルタール監獄にて監禁することとする。ラッセル団長、君の責任は後で問うことにする。神光の戦士らを監獄まで連行したまえ」


 それだけ言うと、レナルドらは踵を返した。



 エルタール監獄は首都の外れにある巨大な犯罪者の収容施設である。アルフレッドらは最も危険とされる犯罪人が収容される地下七階に監禁された。


「さて、これからどうするつもりだ」


 エイブラハムは仲間たちを顧みる。


「脱獄なんて簡単なことだ。どうやって出るかだが」アルフレッドはクラリスに言った。「クラリス、ここなら外まで近いしテレポートで出られるか」


「そうね。記憶は鮮明だし、安全に脱出できると思うわ。地中に転移とか危険なことにはならないと思う」


「よし、それじゃあ少し待って脱出しよう」


 それからアルフレッドらは千里眼で監獄内を偵察し、見張りの交代時間や外の状況を確認すると、クラリスのテレポートで脱獄した。



 外は夕闇、日が落ちかかっている。アルフレッドらは監獄の外にテレポートし、すぐにその場を離れた。首都内部に戻ると、建物の上から上へ移動し、首相府に向かった。


 見張りを回避して、首相府の屋上に達したアルフレッドらは、その内部を千里眼で探査する。幸いレナルドはまだ公邸に戻っていなかった。この時すでにエルタール監獄はアルフレッドらの脱獄で大騒ぎになっている。


「見つけたわ、レナルド首相。執務室にいる」


 クラリスがアルフレッドに言うと、彼もまたレナルドを視界に捉えた。


「こいつは絶対黒だろう。正体を見せろよ」


 アルフレッドは言ってレナルドを監視する。


 それからしばらくして、兵士たちがレナルドの下に慌ただしくやってきて、何事かを報告していった。


「ばれたか」


 アルフレッドは呟いた。


 それからしばらくして、レナルドは執務室の隣室に入ると、空間に闇の魔法陣を作り出し、何事かを話し始めた。魔法陣の向こうにいる何者かと十分ほどの会話を終えて、レナルドは戻ってきた。


「当たりだな。奴が黒幕とはな。国の最高指導者が闇の一族とはな。あるいは本人を殺して成り代わったか。奴らのこの辺りの能力については分からないところがあるな」


 何れにしても、とアルフレッドは言った。


「奴の正体が分かった以上、これ以上待つ必要はないな。クラリス、テレパシーで奴を外に呼び出すんだ」


「了解したわ。任せて」


 クラリスはレナルドとの交信を試みる。


(闇の眷属レナルド首相、こちら神光の戦士クラリス。たった今あなたの正体を見破ったわ。闇の魔法陣で何を話していたの。もう逃げられないわよ)


(何だと? 貴様らどこにいる)


(外に出なさい。決着をつけるわ。南の広場に来なさい)


 クラリスはテレパシーを切断した。


「動き出した」アルフレッドはクラリスに問う。「で、何て言ったんだ」


「南の広場に来るようにと」


「よし、俺達も奴を確認したら出るぞ」


「レナルドが一体どうしたんだ」


 エイブラハムが問う。アルフレッドは千里眼とテレパシーの結果を伝える。


「なるほど。全ての黒幕はレナルドか。それでは誰にも止められないわけだ。奴め、許さんぞ。あと少しで内戦に突入するところだったのだ」


 そうして、レナルドが衛兵を伴って出てきた。アルフレッドらは屋上から飛び降りた。レナルドの前に降り立つ。


「ようやくあなたに辿り着けたわね、首相殿。でもこれ以上国を乱すことは出来ないわ。ここまでよ」


 アリシアはミスティルテインを抜いた。


「レナルド、俺一人を殺すために随分と手を回したな。だがその陰謀もここまでだ」


 エイブラハムもグラムを抜く。レナルドはまだ余裕の表情だった。


「ここは共和国だ。専制国家ではないのでね。人一人殺すのも大変だよ。だが残念だ、せっかく舞台を整えていたのに」


「ふざけるな」


 エイブラハムの怒気に、レナルドは笑った。


「で、どうする気かね。ここで私を殺すのか。衛兵たちが反逆の証人だ。それだけではない」


 その時、ラッセル率いる聖鷹騎士団の連隊が広場にやってきた。レナルドは肩をすくめる。


「さあ、どうするね。神光の戦士たち」


「エイブラハム! 一体どういうつもりだ!」


 ラッセルが声を大にして言った。


 その時だった。神光の戦士たちが持つ魔剣が光り輝き、その光はレナルドを補足した。レナルドは「何だこれは!?」と驚愕していたが、苦しそうに膝をつくと、遂には邪悪な咆哮を上げた。


 レナルドは黒い閃光を放って爆発し、翼を持つ漆黒の異形に変身していた。


 ラッセルら聖鷹騎士団も衛兵たちも驚愕していた。そしてその様子はクラリスによって撮影されている。クラリスは携帯端末でライブ配信を開始した。


 レナルドだったものは、呼吸を整えると、邪悪な笑声を上げた。


「魔剣の力か……見誤ったわ。だが、何れにしても茶番はここまでだ。全てはここで終わる。神光の戦士たちよ、お前たちの死によって、このシナリオも大団円を迎えるのだ。我が名はデレーザ=ミアン。これから貴様らは絶望の中で息絶えるのだ!」


 アルフレッドらは魔剣を構える。


「そのシナリオには変更を要求するぞ。デレーザ=ミアン、死ぬのはお前だ」


 アルフレッドはエクスカリバーを突き付ける。


 デレーザ=ミアンはざらついた笑声を上げる。


「ほざけ人間どもが。お前たちはここで果てる。死ね!」


 デレーザ=ミアンは攻勢の構えをとった。


 共和国の闇が暴かれた今、このライブ中継が発信される中、激戦が始まろうとしていた。

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