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第十三話

 翌日、目を覚ましたデリックは、ベッドを取り囲む家族の顔を見やり、吐息した。


「ドロシー……」


 デリックは手を差し出し、王妃はそれを握りしめた。


「あなた、ご無事ですか?」


「ああ……すまなかった。私は何もかも覚えている。闇の眷属に操られ、酷いことをした。何ということだ……子供たちにも……本当に済まない」


「父上」エリオットだった。「もう大丈夫です。バルナルドは消えました。正体を現したエルマーは私たちが倒しました」


「見ていた」デリックは頷いた。「よくやったなエリオット、そしてクラリス。強くなったな」


「お父様……」クラリスも涙を浮かべて父の手を取った。


「他にも神光の戦士がいただろう。彼らはどこだ」


「ここに控えております、陛下」


 アルフレッドとアリシアはお辞儀した。


「紹介します。魔剣使いのアルフレッドとアリシアです。この二人のおかげで闇の手勢を撃退できたのです」


「そうか……そなたらにも礼を言わねばならんな」


「恐れ入ります」


 そうして、デリックは上体を起こした。


「国民に真実を伝えねばならん。昨日の事件でみな混乱をきたしているだろう」


 侍医たちは安静を進めたが、デリックは首を横に振った。


「今必要なのは、王が健在であることを示すことだ」


 国王は起き上がり、着替えを済ませると、メディアを集めるように侍従に言った。



 カメラの前に甲冑姿で現れたデリックは、国民に真実を告げる。


「全国民に告げる。まず余は自らの不明を謝罪しなければならぬ。余は闇に捕らわれ、今一歩で取り返しのつかぬことになるところであった」


 そうして、デリックは、宮廷魔術師バルナルドの正体、侍従長エルマーの本性を明らかにし、全てはザカリー・グラッドストンの陰謀であったと伝える。魔剣こそが世界の闇を払うものであり、光の神々から遣わされた魔剣使いが、世界の希望であることを告げたのである。これまでデリックが話してきたこととは真逆の説明に、国民は驚愕した。そして映像を交えて昨日の戦闘の様子が語られ、バルベルとスレイファーヴと戦う魔剣使いについてデリックは真相を語ったのだった。


「臣民たちよ、彼らが魔剣使いだ。彼らがいなければ、魔剣は失われ、世界は最悪の事態へ進んでいたであろう」


 カメラが四人の神光の戦士らを映し出す。エリオット王子とクラリス王女の姿を見て、国民は改めて驚愕する。


 そうして、デリックはまた不明を謝罪し、改めて世界は今ザカリー・グラッドストンの手によって闇の帳に覆われようとしていることを告げたのだった。


「希望はある。選ばれし者、魔剣使いの彼らが、必ずやグラッドストンを打ち倒してくれるだろう。以上だ」


 デリックが退席しようとすると、記者団から質問が飛び交ったが、ここからは報道官が対応に当たることになる。



 私室に戻ったデリックは、ドロシーと四人の神光の戦士らとテーブルを囲んだ。


「これからどうするつもりだ」


「旅を続けます」アルフレッドが応じた。「私たちの行く先は天命の導きだと、そう光の神々が告げています」


「いずれにしても」エリオットが言った。「国から出るには世界地図の北部、我が国の東、ガレイリア大陸のラオンメルド共和国へ魔弾鉄道で向かうしかない。我が国の大陸は地形上、海へ出る港が無く外洋に出る船も無いんだよ」


 その時だった。また光が降ってきて、コーラスが鳴り響いてきた。光の神々だ。


「エリオット、クラリス、アルフレッド、アリシア、よくぞ闇を打ち払いましたね。見事でした」


「これは……」


 驚愕するデリックに、神々は言った。


「デリックよ、我々は光の神々、魔剣使いを導く存在です。あなたは闇に捕らわれましたが、子供たちの助けによって心を取り戻しましたね。子らの働きに感謝しなさい」


「これが神託というやつか」


 デリックはさておき、神々は続けた。


「神光の戦士たちよ、今しがたエリオットが言ったように、ドルシアム王国から出るには魔弾鉄道を使って東の国境を抜けるしかありません。ですが、その前に、悟りの迷宮へ向かいなさい。挑戦を推奨しておきます。それからラオンメルド共和国へ向かうのです。既に敵の手が先行しているはずです。気を付けなさい。ですが悪いことばかりではないはず。あなた達なら忍び寄る影を払うことが出来るはずです。そして天命が導いてくれるでしょう。さあ、行くのです」


 そうして、光の神々は去っていった。


「決まりね。まずは悟りの迷宮へ戻りますか」


 アリシアが言うと、クラリスが問う。


「その悟りの迷宮とは何なのですか?」


「それは……」アリシアは迷宮について説明した。


「へえ、修行のための迷宮なのね。この国にそんなものがあるとは知らなかった」


「昔、光の神賢者と呼ばれていたコースト様が守っておいでよ」


「コーストと言ったかアリシア」デリックである。


「はい陛下」


「そうか……コーストがな。隠居したとは聞いていたがそんなところに」


 デリックは頷いた。


「エリオット、クラリス、コーストはかつて神殿の重役を務めていた人物だ。デリックがよろしく言っていたと伝えておいてくれ」


「了解しました」


 兄妹は頷く。


「そう言えば」アルフレッドが口を開いた。「バルベルがパワーストーンやポーションを落としていったんだ」


 そこでアルフレッドが戦利品を取りだす。


 超人化、魔法封印、超能力、剣技・聖天衝撃、剣技・魔天狼、地水火風のパワーストーン、そしてポーションを多数。四人はそれぞれに合成や強化を済ませる。


「では、行くか」


 アルフレッドが言った。一同頷く。


「父上、しばらくお休みになって下さい。またご連絡します」


「行って参ります父上、母上」


 エリオットとクラリスは、デリックとドロシーに挨拶をして旅立つ。


 かくして、四人の神光の戦士らは、ひとまず悟りの迷宮へ向かうのであった。

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