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【祝!100万PV突破】マッサージ店でアルバイトを始めたらクラスの美女が常連になりました。  作者: 新興


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プレゼント

「起立、気を付け、礼」


「やっと終わったー司、帰ろうぜ」

「あ、えっとー」


 俺が困っているとそのタイミングで遥紀のもとに数人の女子がやってきた。


「く、黒瀬君この前の勉強合宿の分からないところ教えて欲しいんだけど・・・」

「それなら涼風さんの方が適任だと思うけど・・・」


 遥紀は表面上には出さないが、早く俺の家に行きたいと思ったらしく、いつもそういったことを対応している瑞希の名前を出した。


「もう、涼風さんは何人も教える人がいるから・・・」


 瑞希の周りには5人ほど教えてもらう予定の子がいた。教えてもらいたい問題は人によって違うので、1人でこれ以上の人数は教えきれないだろう。


 大方、瑞希は勉強合宿が終わった次の登校日の今日、多くの生徒から教えてもらいたいと声がかかるのを見越して、6人目からは遥紀に頼るといいと言ったのだろう。


 うちのクラスで、瑞希の次に頭が良くて人気なのは間違いなく遥紀だ。そのため、瑞希が教えられる人数を超えたのならば遥紀をおすすめするのは自然なことである。


「うーん、分かった。でも予定あるから少しだけな」

「「「やったー」」」


 遥紀の性格上、俺ならまだしもクラスメイトのこういったお願いを棄却することは出来ない。


「じゃあ、俺は先に帰ってるから。終わったら来いよ」

「ごめんな、早く終わらすから」


「ゆっくりでいいよ」


 ()()()ゆっくりでいいから。


 そうして、俺は余裕な感じでゆっくりとした足取りで教室を出て、遥紀の視界が及ばないところまで来た瞬間ダッシュでプレゼントを買いに行った。


***


「ただいまー」

「ただいまー」


「あれ?司いないじゃん」


 クラスメイトに教え終わった後、目的地が一緒の涼風さんと一緒に帰り、涼風さんの持っていた合鍵で司の家に入るが、そこに司の姿はなかった。


「ねぇ、涼風さん何か知ってる?」


 そう俺が涼風さんに話しかけた瞬間、玄関が開く音がして、司が帰ってきた。


「どこ行ってたんだ?」

「えっ!家に帰ったらちょうど飲み物切らしてるなって気づいて、コンビニ行ってただけだよ」


 そう言って司は、リュックからジュースやお菓子を出した。


「なんだ、そう言うことだったのか」

「そうそう、プレゼントは後で渡すとしてとりあえず遊ぼうぜ」


***


 そうして、俺と司と涼風さんでゲームを一通り遊ぶと、すっかり外は暗くなってそろそろ帰る時間となった。


「はい、黒瀬君誕生日おめでとう!」


 涼風さんから、プレゼントらしき箱を貰う。


「涼風さんが、俺に?」


 司から貰う気でいたから、涼風さんから貰うことなんて考えてなくてめちゃくちゃ驚いた。


「うちの司がいつもお世話になってます」

「ああ、なるほど」

「それで納得すんな」


 プレゼントを開けてみると、白色のステンレスの水筒だった。


「!!!」

「この前、部活やってるところを見たら、水筒が普通のクリアボトル使ってたからステンレスの方がいいと思って・・・」


「めっちゃ嬉しい!ありがとう涼風さん」


 確かにそこまで水筒にこだわりがなく、家にあったただのクリアボトルを使っていた。クリアボトルなので、すぐに温度が変わって、夏なんかは飲み物がぬるくなった。


 なので、このプレゼントはとても嬉しかった。


 そして、次の司のプレゼントに期待して、体の方向を司に向けた。


「うっ、なぁ遥紀、プレゼントは後日渡すのでもいい?」


 司はバツが悪そうに言った。


「まさか・・・プレゼント買ってないとか・・・?」


 恐る恐る司に聞いてみた。


「いや・・・それはあるんだけど・・・なんというか、これはハプニングと言いますか・・・」

「なに?ふざけたやつ買ってきたとか?」


 涼風さんが結構ガチなプレゼントだったからふざけて買った面白グッズが出しにくいとかか?


「いや、それは違う」

「じゃあ、何がいいか分からなくて変なもの買っちゃったとか?」


「それも違う・・・と思う」


「司、そんな出し渋るもの買ってきたの?」


 涼風さんが呆れたように司に聞いた。


「涼風さんも知らないの?」

「うん、一緒に買おうって言ってたのに、司が寝ぼすけだから各自で買ったの。だから知らない」


「そんな出し渋る必要ないよ。別に変なものだったとしても司が真剣に選んでくれたものだったら笑ったりしないから」

「でも・・・」


 司はそう言って一瞬視線を引き出しに向けた。


 あんまりにも、くよくよしているから一瞬視線を移した場所にプレゼントがあるのだと思い、立ち上がって引き出しを開けた。


「あっ!」

「やっぱりあった」


 開けるのを止めようとしてくる司を涼風さんが制止してくれてる間に俺は包装紙を開いた。


 中に入っていたのは色違いの黒色のステンレスの水筒だった。


「瑞希の買ったもの知らないからたまたま被ったんだよ・・・」


「ぷっ、はははは!」


 笑わないと言ったが、このプレゼントは反則だ。


「おい、笑わないって言っただろ!」

「いや、これは流石に笑うわ。こんなにプレゼントって種類あるのに被るのは2人仲良すぎだろ」


「そんなんじゃないから!」

「そんなんじゃない!」


「ほら、また被った」

「「・・・・・・」」


「でも、ありがとな。せっかくだから交互で使わせてもらうわ」


 今日は今までの誕生日の中で1番面白い誕生日だ。


***


「じゃあ、今日はありがとな」


 プレゼントも貰って、時間も遅くなって、帰るために玄関に来ていた。


「おう」

「じゃあねー」


 そして、玄関の扉を開けたところで最後の最後に気になっていたことを司に言うことにした。


「司は、来年は事前にプレゼント買えよな」

「バレてんじゃねえか」


 俺はそれだけ言って扉を閉めた。


 流石に学校に背負っていくリュックでわざわざコンビニに行くやつはいないからな。

98話も読んでいただきありがとうございます。

100話までもう少しですね。

なるべく早く次話が更新できるように頑張ります。

これからも応援よろしくお願いします。


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