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【祝!100万PV突破】マッサージ店でアルバイトを始めたらクラスの美女が常連になりました。  作者: 新興


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ご機嫌ナナメ

 だが、それしきのことで俺は諦めるわけにはいかなかった。


 このままでは、遥紀の誕生日を忘れていたことがバレて、友情崩壊の危機だ。


 ご機嫌を直してもらう大作戦決行だ。

 

 作戦1

 スタンプ連打作戦


 もうすぐ5時間目が始まるので、スマホを使える時間は限られる。


 瑞希はスマホから手を放して、見ようとしていないので、俺は瑞希のトーク画面にスタンプを連打した。


「涼風さん、携帯すごい震えてますけど、電話でもかかってきてるんじゃないですか?」


 連打し続けた影響で、携帯がすごい勢いで震え始めて、近くにいたクラスメイトからはどうやら電話が来たのだと勘違いされたようだ。


 瑞希は、一瞬ちらっと携帯をいじると、どうやらマナーモードにしたらしく、振動が止まった。


「私、知らない番号は出ないようにしてるの」


 失敗だ。


 作戦2

 手紙作戦


 5時間目の授業は現代文の授業だ。


 そして、この先生はよく生徒に挙手をさせて、何かを答えさせることがある。


「よし、じゃあこの意味が分かるやつは前に出て、黒板に書きに来てくれ」


 よし、このタイミングを待っていた。


 俺は、席を立ち黒板に回答を書きに行った。


 そして、帰り際に瑞希の席の横を通り、手紙をそっと置く。


 完璧だ。あとは俺の心のこもった文章を見れば、きっと機嫌を直してくれるはずだ。


 そうして、安心しきって席に着き、瑞希の方を見てみると、瑞希は手紙を開きもせず、破っていた。


 失敗だ。


 作戦3

 音読作戦


「授業に余裕もあるし、今日は昔に戻って音読でもしてみるか。やりたい人―?やってくれたら成績上げるからな」


「えーどうしようかな?」「成績くれるならやるか」「でも、音読なんて恥ず」


 クラスからいろんな声が挙がるが、陽キャたちは面白半分で、手を挙げて音読は進んでいった。


 今音読されている文章の先を見てみると、なかなかいい文章を見つけた。俺はいつもならこんな目立つイベントは絶対にやらないが、今日ばっかりは仕方ない。


「よし、そこまででいいぞ。じゃあ次のこの文章まで読むやつはいるか?」


 俺が狙っていた文章が来ると、手を上げた。


「美佳、この料理を食べてくれ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()この料理はその反省の証だ。()()美佳・・・()()()()()()()()()()()


 見たか、瑞希に伝えたい部分だけは心のこもった音読だっただろ?


「おお、早乙女やけに気合入ってるな。成績アップしてやるからな」


 流石にここまでやれば瑞希も機嫌直してくれるだろ。


 希望を込めて、瑞希の方を向くと、またそっぽを向かれた。


 成績は上がったが、大事なものをなくした気がした。


 最終作戦

 引きずり込み作戦


 5時間目の授業が終わると、瑞希が1人で席を立った。


 チャンス到来だ。慌てて俺も席を立って、瑞希を追いかけた。


 瑞希を追いかけると、トイレに入って行ったので、俺は移動教室で空き教室となった隣の教室でスタンバイをした。


 手段を選んでられない俺はトイレから出てきて、油断している瑞希の腕を掴んで、空き教室に引きずり込んだ。


 これなら俺が引っ張ったということは廊下にいる人物には気づかれないし、この教室に何か用があったのだろうと疑われもしないだろう。


 我ながら完璧な作戦である。


「びっくりした!襲われたかと思ったじゃん!」

「誰が、お前なんて襲うかって」


「なんだと!この学校で襲いたいランキング1位の瑞希ちゃんになんてこと言うんだね」


 そのランキング誰が集計したんだよ。


 でも、本当にそのランキングがあったら、1位を取るだろうけど。


「で、何かな?この美少女を人気のない教室に引きずり込んで。なんか小細工してきたけど、私は無理だからね」

「頼む。そんなことは言わずにさ、協力してくれ」


「無理でーす」

「瑞希がいないと、友情崩壊の危機なんだ」


「そんなに黒瀬君と仲良くしたいなら、昼休みに楽しそうに話していたあの子たちに頼めばいいんじゃないんですかー?」


 だめだ、こいつ。完全に昼休みのことを根に持ってる。


 でも、瑞希の案も一理あるな。


「でも、まあ確かに希なら遥紀とも多少は仲いいし、事情を話せば時間稼ぎくらいはしてくれるか?」

「!?」


 瑞希は予想していなかった返答だったのか、急に焦りだした。


「で、でも私の方がより長く、時間稼ぎができると思うけどなぁー?」

「そんなに長い時間、時間稼ぎしてくれなくてもいいしな」


「わ、私の方が学年も一緒だし、黒瀬君に怪しまれずに時間稼ぎできるけどなぁー?」


 どうやらこいつが拗ねてた理由は、猫を被ってお昼を食べている現状に不満が爆発したのではなく、仲間外れにされたくなかったからなのか。


 俺達が昼食を食べているのに、自分は混ざれず違う人物とお昼を食べている。そんな状況に腹を立てたのだろう。


 見せつけるように昼食を食べた俺にも、少しは責任があるので、ここは瑞希の望む方向に話を持って行ってやるか。


「でも、瑞希はやってくれないって言うし」

「司が、誠心誠意反省している様子を見せれば、協力してあげないこともないけど?」


「すみませんでした!なんでもしますから!」

「今なんでもって言った?」

「まぁ・・・はい」

「じゃあ、これ!」


 勢いよく俺に見せてきたのは、映画のチケットだった。


「行ってくれるよね?」

「・・・もちろん」


 どんなひどいお願いをされるのかと思ったら、案外優しいお願いで拍子抜けった。


 でも、瑞希は誰より嬉しそうな表情をしていた。そんなに、その映画見たかったのかよ。


「んふふ、じゃあ特別に協力してあげる」

「ありがとうございます!」


 こうして、なんとかご機嫌ナナメになった瑞希のご機嫌を直した後、ようやく俺の誕生日プレゼント大作戦が始まる。

97話も読んでいただきありがとうございます。

明日は98話を投稿します!

いよいよ記念すべき100話までもうすぐです。

これからも応援よろしくお願いします。


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