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【祝!100万PV突破】マッサージ店でアルバイトを始めたらクラスの美女が常連になりました。  作者: 新興


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オタク

 2日目、俺と遥紀は朝ごはんを食べていた。


「ねぇ、早乙女君。隣座ってもいい?」

「・・・いいよ」


 話しかけてきたのはクラスの女子グループだった。


 文化祭以降、彼女たちに話しかけてもらえるようになったのだが、少々その距離感に戸惑うことがある。


「早乙女君は誰だと思う?裏切り者」


 やっぱりそれか。昨日からクラスの話題はそれ一色だ。早いこと見つけて安心したいのだろう。


 遥紀が何か俺がやらかさないか心配な顔でこちらを見ている。


 だが、俺だってバカじゃない。昨日の色んなやり取りでキーワードには検討がついている。


 それはズバリ『オタク』だ!


 このゲームが発表されたときにアニメだと言っていたやつがいたし、遥紀もテニスが大好きだし、瑞希は・・・よく分からないが、推しの芸能人がいるのだろう。


 全てに共通するのは『オタク』なのだ。誰だって1つくらいは何かしらのオタクである。


 俺を見くびっては困るよ、遥紀。


「早乙女君は何なの?」

「俺は読書(漫画、ライトノベル)かな」

「へー!早乙女君読書家なんだ!」


 ほらね、この反応を見る限りやはり合っている。


 この後、彼女たちとは怪しまれないように当たり障りのない会話をして、朝食が終わった俺達は一足先に部屋に戻った。


「司、キーワード何か分かったの?」

「ああ、もちろん」


 はははは!もうこれで怯えることなくこの合宿を乗り切れるぜ!


「見くびってもらっては困るよ遥紀君?」

「なんか調子乗り始めたな」


「じゃあ、先に俺は教室行ってるよ」


 そうして俺はルンルンで教材を持って、部屋を出ようとした。


 あ、そうだそうだ。遥紀にキーワードが分かった証拠でも見せとかないとな。


「人は誰しも1人くらい推しがいたり、何かに熱中することくらいはあるんだよ」


 良し決まったぜ。


「なんか・・・ちょっと勘違いしてない・・・?」


 浮かれていた俺は遥紀の言葉を聞くことなく、教室に向かった。


 教室について昨日と同じ席に座ると、教師が俺に話しかけてきた。


「早乙女、お前上のクラスに行かないか?」

「え?どういうことですか?」


 今回の勉強合宿では生徒のレベルに合わせて1,2,3とレベル分けされていた。


 1クラスが成績が良いものが呼ばれるクラスで俺は2番目の2クラスで勉強をしていた。


 どうやら昨日の夜に1クラスの生徒が体調が悪くなって、途中帰宅してしまったようで1クラスの席が1つ余ったというわけだった。


 そこで俺に白羽の矢が立ったみたいだった。


「分かりました。行きたいです」

「よし、じゃあ1-3の教室に行ってくれ」


 1クラスでも人数が多く、1クラスの中でもランダムでいくつもの教室に分かれていた。


 俺が教室に入ると遥紀がいるクラスだった。


 遥紀は俺より定期テストの成績がいいので、はじめから1クラスにいる。


 遥紀は俺が教室に入ってくると目を見開いて驚いているようだった。


 授業開始間際に俺の前の席に座ったのはいつかのマジファン好きの桜井さんだった。


 あの事件以降、予備校に行くと毎回自習室にいるのが見えたが、特に話しかける話題も理由もないので、接点はなかった。


 逃げるように去ってしまったので、俺としては少しきまづくもあった。


***


「なあなあ、どうして司がこっちに?」


 1時間目の授業が終わり、休み時間を迎えると遥紀が一目散に飛んできて質問してきた。


「昨日のこのクラスにいた子が体調悪くなって帰ったんだとさ。俺はその代わりだって」

「なーるほどー」


 納得したような遥紀はもう1歩踏み込んで俺に近づいた後、耳元で周りに聞こえないような声量で話しかけてくる。


「前の人桜井鈴賀さんじゃないですか」

「そうだな」


 桜井さんはこちらのことには目もくれず、休み時間中だと言うのに勉強を続けているみたいだった。


「予備校一緒で仲良くなったか?」

「一緒だからってそんな簡単に仲良くなるか」


「ちぇー。当てが外れたか」


 遥紀は楽しくなさそうな表情を浮かべた。


 お前は俺に何を期待しているんだよ。


***


「勉強したっー!」


 2日目の最後の時間のチャイムが鳴り響いた俺は小声で呟いた。


 今日は昨日と違って人狼ゲームに思考を割かずに済んだし、授業内容も昨日より断然難しかったので、ついていくのに必死だったため、勉強したという実感が強く感じられた。


「うわっ、あと1問残ってんじゃん。キリがいいしこれだけ解いちゃうか」


「司、部屋戻らないの?」

「いや、後1問だけだから解き終わったあとに行くから先行っててくれ」

「おけ」


 次々に教室から出ていく生徒に焦りを感じながらも俺は黙々と最後の問題を解いていく。


「よし、終わった」


 最後の問題を解き終わる頃には周りに声は聞こえず、誰もいないのかと前を向くと、そこにはまだ机に向かっている桜井さんの姿があった。


 そそくさと退散しようかと考えたが、足元に彼女のらしき消しゴムが落ちていた。


「これ桜井さんの?」

「あ、ありがとうございます」


 2人の間には沈黙が流れる。


 うーん、気まずい。

 

 明日もこれだと考えるとちょっと何とかしないといけないなぁ。


「この前の話なんだけど・・・」

「!」


 彼女の身体がびくっとするのが見て分かった。


 彼女が情熱をもって話をしてくれたのなら俺もそれを返せばいいだけなのだ。


 マジファンオタクの底力を見せてやる。

86話も読んでいただきありがとうございます。

これからも応援よろしくお願いします。

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