モテ期
「じゃあ、そうとなったら文化祭も終わるまで、あと1時間くらいしかないから早く行こ!」
それから俺たちは、迷路、脱出ゲーム、射的(俺は2度目)、縁日、カジノ、ボウリングと文化祭の残り1時間をこれでもかってくらい楽しんだ。
「じゃあ次は占いでも・・・」
夢中になって、時間も忘れて楽しんでいると、文化祭の終了を告げるチャイムが聞こえた。
「もう終わりかー楽しかったのに」
「司も、楽しかったでしょ?最後なんか時間忘れて楽しんでたじゃん」
「うっさい。・・・楽しかったけど」
俺はこういうイベントでも心から楽しめない奴だと思っていたのにすっかり満喫してしまった。
この思い出は一生忘れることはないだろう。
「じゃあ、戻って片づけするか」
「・・・おう」
「そういえば、司と涼風さんは今日は文化祭終わったら帰るだけ?」
「「そうだけど・・・」」
俺も今日はバイトはないし、瑞希も部活とバイトはない。
「それなら良かった」
「なんかあるのか?」
「後で言うよ」
「「?」」
やや、含みがあった気がするが、あとで言うらしいので特に気にすることはなかった。
***
「おお、やっぱり完売か」
教室に帰ってみると、昨日と同じ光景でフルーツ飴はかなりの在庫があったにも関わらず完売していた。
「残った分はクラスのみんなで食べようと思ってたのにおかげで食べそびれたな」
「くっそーじゃあ、もっと発注しとけばよかった」
クラスの皆が集まるまで、遥紀は楽しそうにクラスメイトと話していた。
「そろそろ、みんな集まったかな。じゃあ、言いたいことは後でにして、速攻で片づけるぞー」
「「「おー!」」」
うちのクラスは飲食店で、クラスの大部分が飴を食べるスペースに使っていたので、片づけをそれほど時間を要することなく、片づけは終了し、HRへと移行した。
「じゅあ、伝達事項は以上だ。最後に実行委員の黒瀬、なんか言いたいことあるか?」
「はい」
遥紀が席を立ち、前に立って話始める。
「フルーツ飴はあんな在庫があったのに全部完売!大成功!ありがとう!」
「イエーイ!」「フォー!」「頑張ったよね、私たち」
クラスのそこら中から喜びの声があふれる。
特に衝突もなく、協力し合ってここまでの成果を出せたのはひとえに遥紀の活躍があったからだと思うけどな。
「それでなんだけど、みんなに声をかけていた今日の打ち上げ、なんと全員が来れることになりました!」
「「!?!?!?」」
「まじで、涼風さん来るのか」「こういう場に来るの初めてじゃね」「黒瀬ナイスー!」
瑞希の参加にクラス中がどよめいた。
打ち上げ?何のことだ?しかも全員来れるって俺も入っているのか。瑞希の方を向くと、瑞希も驚いたような表情を見せていた。瑞希も巻き込まれた側か。
さっきのこれから予定はあるかってやつはこれだったのか。
あいつやりやがったな。
「詳細はこれが終わったら、クラスのグループにメッセージ入れとくから、みんな見てな」
そう言って、教壇から離れ、自分の席に戻ってきた。
「じゃあ、明日は振り替え休日だから学校来るなよ。以上、起立!」
「おい、ちょっと来い」
「言われると思ってました」
HRが終わった瞬間、遥紀を連れ出して、教室を出ていくと、瑞希も同じ気持ちなのか俺の後ろについてくる。
そして、人目のつかない、屋上に続く階段踊りまで、遥紀を引っ張って連れて行った。
「おい、遥紀」
「黒瀬君?」
2人で遥紀に詰め寄る。
「俺たちは打ち上げの話も聞いてないし、行くとも言ったつもりはないんだが?」
「そうだよ?」
「だって、言ったら2人とも行かないって言うじゃん。俺はさ実行委員として、全員を打ち上げに誘うって仕事もあるわけだよ。先に帰ったっていいから頼む!俺を助けると思って!」
遥紀はクラスメイトにもう全員来ると言ってしまったし、遥紀には今回文化祭たくさん助けてもらったからな。これくらいは飲むのが筋ってもんか。
「遥紀には過去問貰った借りもあったし、許してやるか」
「私も黒瀬君のおかげで最後3人で文化祭回れたし、しょうがないなー」
「そういえば、そんな貸しもあったね」
***
そういうわけで、俺と瑞希は半ば強制で、打ち上げ会場である学校の最寄りのファミレスに来ていた。
「じゃあ、今回の文化祭成功を祝いましてかんぱーい!」
「「「かんぱーい!」」」
特に席とかは決まっておらず、仲がいいグループで固まっていた。
それでも、楽しい気分の男子たちはいつもは話しかける勇気はないが、今日のこういう席だけは勇気を出したのか、瑞希の周りに男子が大勢いた。
「瑞希はモテて大変だなー」
「何言ってんの?司も今回の文化祭の衣装姿を見て女子たちからの・・・」
遥紀は喋っている途中で違う席に行ってしまう。
その代わりに、数人の女子が俺の近くに座ってくる。
なんだなんだ、遥紀を独占するなって女子たちから叱りに来たのか?
「早乙女君って水上さんと、仲がいいって言われてたけど、付き合ってたりするの?」
「え!いやいや、付き合ってないよ」
マジか、今回の文化祭でそんなに噂になっていたのか。水上さんに悪いことしたな。今度謝らなくては。
「じゃあ、今付き合っている人はいないの?」
「うん。悲しいことにそうだね」
「「「へーーーそうなんだ」」」
それを聞くと、彼女たちは嬉しそうにしていた。
彼女のいない俺を笑いに来たんだよな?
これはモテてるわけじゃないよな?
65話も読んでいただきありがとうございます。
予定の兼ね合いもあってギリギリになってしまいましたが、何とか今日にここまで投稿することが出来ました。
これで応援のお返しが終わったとは到底思ってません。これからも応援に応えていけるように作品作りしていきますので、応援よろしくお願いします。




