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【祝!100万PV突破】マッサージ店でアルバイトを始めたらクラスの美女が常連になりました。  作者: 新興


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ずるい

「ねえ、今日は1日暇だよね?」

「まあ、そうだな」


 面会は何時までかかるのか分からなく、面会は1日空いている日を選んだため、今日は1日空いている。


「じゃあさ、遊びに行かない?」

「そりゃまたなんで?」

「いやー最近ずっと気掛かりだったことが解決したからぱぁーっと遊びたくて」


 俺もずっと心に引っかかっていた用事も終わり、気分も晴れやかになっていたので瑞希の誘いに乗ることにした。


「それはいいけど何したいの?」

「うーん。あ!映画観たい。ちょっと気になってたのがあってね」


 そうして、俺たちはこの前日用品を買いに行ったショッピングモールに行き、映画を見た。


 見たのは漫画が原作の実写映画だ。バトル系の内容ではなく、芸術系の内容ということもあって原作を知っている俺でも実写では違った面白さがあって面白かった。


 映画を見た後はフードコートで軽食を食べつつ、感想を言い合いあった。


「俺はあの主人公が絵を好きになるシーン好きだな」

「私はあの先生の言葉がいいなーって思ったよ」


 これで帰る予定だったのだが、つい楽しくなってしまった俺たちはその後ゲームセンターやショッピングをして、休日を満喫した。


 外も暗くなってきたので俺たちはショッピングモールを出て家に帰ることにした。

 そして、家に到着し、玄関の鍵を開け家に入る。


「ただいまー」「ただいま」


 家には誰もいないのに、2人して同じことを言う。


 この生活が始まって、家に誰かがいる状況が増えた。1人暮らしの時は帰ってきて、ただいまなんて言うことはなかった。真由美さんには言ったが、同居が始まって、助けられたのは本当は俺の方なのかもしれないと改めて実感した。


 リビングに入り、2人してソファに座り全体重を預ける。

 一息つくと今日のことを自然と思い出す。


 初め真由美さんの同居が終わりという発言を聞いた時、正直きついかもしれないと思った。あれだけ強い意志を持っているのならば何を言っても意思は変えないだろうという印象を受けた。


 瑞希があれだけの熱量を持って説得してくれたことと、瑞希が普段の学校の様子を真由美さんに言っていたのならば、おそらく許可は出なかっただろう。真由美さんの常識を打ち破ることができたのは本当に幸運だった。


 そんな奇跡のもとで成り立っているこの生活をこれまで以上に噛みしめていこう。


 そんなことを考えていると、夕食を食べる頃合いになっているのに気が付いた。


「瑞希、もうすぐ夕食だから今のうちにお風呂に入ってきな」

「はーい」


 疲れているはずなのにすたこらと動いて、お風呂場に向かう。あいつ風呂好きだよな。


 今日はお昼ごろに一番心の重い出来事があって、その後にも遊んだのでもう心も体もくたくただ。そんなわけで今日の夕食はスーパーの総菜と炊いてあったお米だ。


 瑞希もお風呂から出てきたので、夕食を食べることにした。


 瑞希はお風呂から出てくると、なにか口数が少なく考えている様子だった。食べている最中も、何か俺に話そうか話すまいか迷いながら食べている感じだった。


「あのね、司。今日病室で、お母さんに同居を続けたいって勝手に言っちゃったけど、司はそれでも良かったの?」


 ようやく口を開いて出た言葉は不安であふれた問いだった。


 俺たちは事前に相談することなく今日の話し合いに臨んだ。


 瑞希の気持ちは分からなくて、俺は相談したくても同居終了の話をしたくなくて、話すべきだと分かっていながらも相談できなかった。


 俺はこれからも同居を続けていきたいと思っていた。そしてまた瑞希もそう思ってくれていたことが今日分かったわけだが、このことは瑞希から言ってくれたからそこ分かったことだ。


瑞希からしてみたら、もしかしたら俺は自分が言ったことに同意はしていないが、あの場で訂正なんてできないし、不本意ながらも合わせてくれたのかしれないと思ったからこうして聞いてきたのだろう。


瑞希は勇気を出して、同居を続けたいと言ってくれた。続けたいを言う前少し躊躇ったのはそういう理由があったのだろう。


 この問いの答えとしてただ俺も同じ気持ちだと言ってもそれも私に合わせてくれているだけなのではないかと思われてしまうかもしれない。それなら小恥ずかしいが、俺も本音を言うしかない。


「俺達、今日どうするかとか事前に話さなかったよな?」

「うん。私は話したかったんだけど、どうにも話しづらくて」

「俺も話そうか迷った。でも話せなかったのは瑞希の口から同居を終えたいって言葉は聞きたくなかったからだ。だから、俺も瑞希と一緒で同居を続けたいと思ってたよ。ありがとう。勇気を出して真由美さんに伝えてくれて」


 瑞希は下を向いて腕に顔をうずめながら、「うん」と一言だけ呟いた。


 その様子に俺まで恥ずかしくなって、急いで残りの夕食を食べ終えた。


「ごちそうさま。お風呂入ってくるわ」


 俺は逃げるようにお風呂場に向かった。


 顔をうずめる前に見えたあの緩み切った表情を見たら、誰だってこうなる。


 美少女ってずるい。

24話も読んでいただきありがとうございます。

1万PVまで目前となりました。本当にありがとうございます。

評価ポイントも当初の私の予想よりはるかに増えていて、感謝しかありません。

今でも1ptでも増えると投稿していてよかったと思うほどです。

これからも応援よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] お母さんの名前全部真美子になってるけど変わった?
[気になる点] 俺も話そうか迷った。でも話せなかったのは瑞希の口から同居を終わらせたくないって言葉は聞きたくなかったからだ。 同居を終えたいって〜の間違いですかね
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