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白状

「え?涼風さん?なんのこと?」

「とぼけんなって。知ってるんだぞ。昨日は楽しかったか?」


 昨日は瑞希とショッピングモールに行った日だ。瑞希は遥紀達と遭遇したが、その時は俺は隠れていて、遥紀にはばれていないはずだった。


 それなのになぜ遥紀は知っているのだろうか。


「なんで知ってんだよ」


「今まで涼風さんのことなんて興味なかったのに気にしだすし、経緯も教えてくれずに女子バスケ部の試合の観戦に行ったりするし、怪しいと思ってたんだよな。それで、昨日涼風さんは友達と2人で来たって言っても周りに誰もいなかったから、もしかしたらと思って、あの後戻ってみたらあの店の前に司がいて、涼風さんと会ってるところみたんだよ」


「なる・・・ほどね」

「安心しろ。俺だけ抜け出して見に行ったから他のやつは見てないし、まだ言ってない」


「まだ?」

「まだ。司が誤魔化したりするなら言っちゃうかもな」

「分かった。でも、これは俺の問題じゃないから、涼風さんにも許可取ってからでもいい?」

「了解」


***


 学校が終わり、家に帰って、夜ご飯を食べ終わったゆっくりしている頃、俺は瑞希に話しかけた。


「瑞希。お話があります」

「え。なになに。改まって重たい話?」


「重たいっちゃ重たいし、軽いっちゃ軽いかも?」

「なにそれーまあ話してみてよ」


 俺は恐る恐る口を開く。


「昨日ショッピングモールに行ってたことが遥紀にバレました。そして、俺たちの関係を聞きたいようです」

「あちゃーばれちったか。まあ、いいんじゃない?正直に話しちゃっても」


 俺は予想外に軽く返す瑞希にびっくりした。


「いいのか?今の瑞希の状況はあんまり話したくないことなんじゃないのか?」

「昨日黒瀬君と会ったときに何となく私たちに何かがあるのを気が付いてるような気がしたし、黒瀬君は司の親友でしょ。それなら信頼してるし1人くらいになら大丈夫」

「分かった。じゃあ明日話してみる」


***


 迎えた次の日の昼休み。


「昨日言ってた件。涼風さんにも許可取ったし、話すわ」


 意を決してこの話題を遥紀に振る。


「おお、思ったより早いな。でも、待った。ここじゃ周りに聞こえたら困るだろうし、ゆっくり聞きたいから今日部活帰り家寄っていい?」

「それもそうだな。あ、ちょっと待って」


 俺はスマホを取り出し、瑞希にメッセージを送った。


『遥紀に事情話す件なんだけど、今日家で説明してもいいかな?』


メッセージを送った後、瑞希を見てみるとメッセージに気づいたようで、すぐに返信が返ってきた。


『全然いいよ。ちょうど私も仲良くしておきたいと思っていたところだから』


「じゃあ俺の家で話すか」

「なんかスマホ見てたけど、本当に家で大丈夫なの?なんか予定あったりする?」

「大丈夫」


 遥紀は俺が瑞希にメッセージを送って許可を取っていたことを知らないため、この間に少し疑問を持っていたが、今日話せばどうせ解決するだろうし、詳しい説明はしなかった。


***


「お邪魔しまーす」


 放課後、遥紀が家にやってきた。

 時刻は18時30分ほどであり、瑞希ももう少ししたら返ってくる時間帯だ。


 遥紀は今日テニス部があり、それが終わってまっすぐ俺の家に来ているため、テニス道具一式を持っていた。


 俺は遥紀がやってきて早速本題に入った。


「実は、今涼風さんと一緒にここで住んでる」

「ん?」


 遥紀は俺の言っていることがまだ呑み込めていないようでフリーズしている。


「それは、同居ってことで合ってる?」

「まあ、合ってる」


また固まってしまった。そして、10秒ほど固まった後ようやく動き出した。


「あーーーなるほど冗談か。びっくりした。なんの接点もなかった司が学校1の美女の涼風さんと同居してるわけないもんな。こんなところで冗談入れてくるなよー」


 遥紀がそう言い終わった瞬間、家の玄関が開く音がした。


「ただいまー」


 瑞希が部活から帰ってきてリビングまでやってきた。

 その姿を確認した遥紀は、


「えーーーーーーーーーーーーーー!」


「ちょ、うるさいうるさい。近所迷惑だから」

「ガチじゃん」


「だからそう言ってる。遥紀が信じなかっただけだろ」

「いやだって、友達とかそういうくらいのやつを想定してたからそんなでかい話が来るとは思わなくて」


「黒瀬君、日曜日にお会いしましたね。あのときはどうもありがとうございました」

「あ、、、いえいえ。あいつらがしつこかったのが悪いんです。こちらこそすいません」


 瑞希がやってきてからその上品さに遥紀はガチガチに緊張してしまっている。


「じゃあ司と涼風さんは付き合ってるってことでいいんだよな?」

「それは違う。付き合ってない」


俺はその言葉に瞬時に返答した。付き合ってないのは本当だけど、こんな美女から付き合ってない宣言を堂々とされるとなんだか振られたような気がして心が痛くなるからだ。


「え?じゃあなんで同棲なんかしてるの?」

「同棲じゃない。同居だ」


それから俺は涼風さんの事情とこれまでの経緯を話した。その間涼風さんは隣でずっと静かにその話を聞いていた。

19話目も読んでいただきありがとうございました。

気づくと早いもので、投稿を初めてから次で20話目に到達します。

ここまで投稿ができたのも皆さんの応援のおかげです。

本当にありがとうございます。

これからも応援よろしくお願いします。

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