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【祝!100万PV突破】マッサージ店でアルバイトを始めたらクラスの美女が常連になりました。  作者: 新興


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148/149

ありがとう

「・・・っえ?なんで湊君と世森先輩が・・・?」


 持っていた鞄を床に落として、完全に理解が止まっているようだった。


 対して、湊も学校で見せる姿と全く違う瑞希を見て、固まっている。


「あっ、瑞希ちゃん!おかえり」

「た、だいま・・・?」


「瑞希ちゃんも一緒にゲームやろ?」


 全く動揺していない美琴先輩が仲良さそうに瑞希をゲームの輪に入れようとする。


 2人って面識あったっけ?


「そうじゃなくて、あの・・・」

「早く早く、もう次のレース始まっちゃう」


 美琴先輩は自分が持っていたコントローラーを差し出して、催促をする。


「えっ!いや、えっとー・・・はい」


 戸惑いながらも焦らされた瑞希はコントローラーを受け取って、ゲームを始める。


 さっきまで、上位を連発していた湊は今回のレース最下位だった。


***


 そして、美琴先輩に流された瑞希はその後も数レースプレイし、ようやくゲームも一段落ついた。


「あぁーこの中じゃ私と瑞希ちゃんペアが1番下手だったか。瑞希ちゃんも楽しかったでしょ?」

「まぁ、楽しかったですけど・・・そうじゃなくて!なんで、世森先輩が司の家にいるんですか!?湊君も」


「私が急に押しかけちゃったの。それで、司君は泣く泣く家に入れてくれたってわけ」


 それを聞いた瑞希は俺の方を向いてちょっとだけ睨んでくる。


「だからって、私に伝えてくれたっていいじゃん」

「それはすまなかった。突然の連続がありすぎて、瑞希に連絡するのすっかり忘れてた」

「もぉー」


 俺に対して不満を漏らす瑞希だったが、その割にはそこまで怒っている様子はなかった。


「じゃあ湊くんに一緒に暮らしてることも?」

「・・・ああ」


 瑞希に相談もなしで色々言い過ぎてしまったと少し反省した。


「まぁ、いっか。ちょうどいい機会だから。いつかは言うことになると思ってたし」


 力を一気に抜いて、家で見せるいつも通りの瑞希の喋り方に戻った。


「いいのか?」


「だって、同居についてはお姉ちゃんの世森先輩は知ってるし、席も近いからまた話し声聞こえたら混乱させちゃうと思ってね。世森先輩にはこの前、半分素で話しちゃったから今更かなーって」

「この前?」


「秘密の女子会だよ」


 美琴先輩が楽しそうな表情を浮かべる。


「そ、そう!だから司には教えられない」

「なんだそれ。めっちゃ気になるんだけど」


「ダメ!絶対教えないから!世森先輩も絶対教えちゃダメですからね!」


 仲良さそうで良かったけど。


「え・・・?」


 湊はまだ混乱しているようだった。


 そりゃそうだ。一緒に入るところは見たが、それは優等生モードの瑞希だった。


 色々と考えることは山ほどあったはずだが、それでも、湊は真剣な顔になって、瑞希に深々と頭を下げた。


「司から聞いてるかもしれないけど、司と涼風さんのことばらしたの俺なんだ。それから新聞の件も。本当に申し訳なかった!」

「うーん、それってもう司にはOK貰ってる感じ?」


「あ、ああ。司には一応許してもらったけど・・・」

「じゃあ、私もOK!」


「本当にいいの・・・?」


 あまりにも軽い感じに美琴先輩は心配そうに聞く。


「だって、私は別にそんなに被害受けてないですし」

「いや、学校でだいぶ話題になったって・・・」


「まぁ多少はやんや言われましたけど、大体は司が標的になってましたから。その司が許したなら私が怒ることでもないので。あと、あの一件のおかげで学校で司と話しやすくなりましたし」

「でも・・・」


「だいたい、司が悪いんですよ。司が私くらい完璧でイケメンなら、お似合いカップル!ってだけで終わってたはずなんですよ」

「おい、さらっと俺をディスるな」


「えへへへ。・・・ってことなんで世森先輩、湊君。私は大丈夫です!明日からも司をよろしくお願いします!」


 瑞希はサラッと言って見せる。


「・・・なるほど、これはちょっと勝てないかもなぁ・・・」

 

 美琴先輩は度肝を抜かれたような顔をしていた。




 この後、瑞希がみんなに手料理を振る舞うと提案したが、美琴先輩は流石に申し訳ないとのことで、この会はお開きとなった。


「じゃあまたバイトでね、司君」

「はい、美琴先輩」


「司・・・」


 湊の少し力の入った言葉に一瞬体が強張った。もう謝罪は腹いっぱいだからな?


「ありがとう」

「・・・おう!また明日な」


 そうして、2人の背中を見送りながら玄関に扉は閉じられた。


***


 姉弟での帰り道のこと。


「美琴姉、」

「どうしたの?」


「美琴姉はさ、司と涼風さんが一緒に暮らしてるって聞いて大丈夫だったの?」

「大丈夫って何がさ」


「いや・・・それはその・・・」

「そりゃ私だって知った時は相当心に来るものはありましたよ」


 初めて見た、姉の少し歪んだ顔。少しこの質問をしたことを後悔したかもしれない。


「でもね、そんなことで焦ったり、へこたれてるようじゃ欲しいものは手に入らないでしょ?」

「・・・美琴姉は強いなぁ」


「そうでしょ、もっと姉を慕ってくれたっていいんだよ?あ、もう十分慕ってくれてるよね」

「もういいでしょ!その話は!」


 司がどんな結末を望んでいるのか、俺は知ることが出来ないが、強い姉を最後まで応援したいと心から思った。

148話も読んでいただきありがとうございます。

まだもう少しだけこの話に触れることはありますが、1話丸々というのは今回で最後になりますので、148話をもって一段落とさせていただきます。

面白い、続きが読みたいと思っていただけましたら、ブックマーク、評価、リアクション、感想、どれか1つでも私にとって本当に励みになりますのでよろしければお願いします。

次話からはまた新たなストーリーが展開されていきます。

150話になりましたら、連投も予定しております。(次話なるべく早く投稿します)

これからも応援よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
やっぱ瑞希ちゃん最高~♪ 次話も楽しみにしてます♡
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