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【祝!100万PV突破】マッサージ店でアルバイトを始めたらクラスの美女が常連になりました。  作者: 新興


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自白

 あの後、俺の家の前で瑞希と希とは別れて俺だけ家に帰った。


 希は先ほど来た道を引き返して、自分の下校ルートに戻って行った。


 瑞希は目的地の家は既に素通りしたのだが、希に勘づかせないために、家がもっと先にあるかのような足取りでスタスタと歩いて行った。


 俺は家に帰った後、すぐさま椅子に座って、テーブルに肘をついて、考えを巡らせた。


 数分経って、玄関から音が聞こえて、瑞希が帰ってきた。


 瑞希も俺と同じルートを辿って、俺の前に座り、肘をついて、頭を抱えた。


「・・・・・・マジ?」

「・・・おそらく」


 言葉はそれだけで十分だった。


 世森湊、同姓ってことはおそらくないはず。そこまでメジャーな苗字じゃない。


 湊と美琴ってひらがな一文字違うだけだし、美琴先輩は俺と同じくらいの弟がいるって言っていた。


 それに、水族館行ったときに借りた服は湊のものってことになる。


 俺だけではなく、湊はクラスのやつからも下の名前で呼ばれている。苗字は誰も呼ばないし、気にしなかった。


 だからって・・・気づけよ!俺!


「あぁ・・・なんで私気づかなかったんだろう・・・これじゃあ優等生失格だ・・・」


 瑞希もかなりショックを受けているみたいだ。


 湊と瑞希は珍しくクラスで話している姿を見たことがない。


 湊はその可愛い顔で女子から人気があるし、別にわざわざ瑞希にアタックする性格でもない。


 瑞希も優等生モードでは来るもの拒まずだが、来ない人がほぼほぼいないので、来ない人に関しては知識が薄い。


 先生からも下の名前で呼ばれている湊の苗字を知らなくたって無理はない。


「と、とりあえず、明日学校で湊に聞いてみる」


***


 翌日

 

「それで、湊の苗字が世森であの先輩の弟かもしれないと」

「そう!遥紀もびっくりだろ?」


 俺が学校に着くと珍しく司が俺より早く来ていて、すっごく何か言いたそうな顔をしているので、話を聞いてみると、司の口から驚きの話が出てきた。


 言われてみれば俺も湊の苗字は知らなかった。


「湊のやつ、姉がいるようなこと薄っすら言ってたのだけは知ってたけど、まさかとはなぁ」

「そうそう、昨日知ったんだけど、俺と瑞希もびっくりでさ!」


 なんかそのこと司は楽しそうに俺に話してくる。


「まぁそれは驚くけど・・・」


 ってことは、湊とあの先輩は家族なわけで、一緒に住んでるわけで・・・あの場面に遭遇出来るわけで・・・他に候補もいないわけで・・・


「・・・ってことはさ・・・」

「あっ、湊いた!このこと聞かなくちゃ。ちょっと行ってくるわ!」

「ちょっ!おい!」


 俺の言葉を遮るように司は行ってしまった。


 まさか、司のやつあのことについて気づいてないのか?


 追いかけようかとも思ったけど、この後の展開を考えると俺はいない方がいいとも思い、司の背中を見送るだけにした。


***


「おはよう、湊」

「おはよう、司。今日はいつもより早いね」


 登校してきたばっかの湊に話しかけると、いつも時間ギリギリに来ている俺が早く来ていることにびっくりしていた。


「そうだな、ちょっと確認したいことあってさ。あのさ、湊の苗字って・・・」

「っ! ちょっとこっちに!」


 湊は急に血相を変えて、俺を連れ出して、人気のいないところまで連れ出した。

 

 教室を出る直前、そのことに瑞希も気づいたらしく瑞希も席を立ちあがったので、おそらく気になって後をつけてきている。俺達の見えないところで聞き耳を立てているはずだ。




「それで?何が聞きたいの?」

「湊の苗字って世森なのか?」


「ふふっ、そうだよ。気づいちゃった?」


 口ぶりからして苗字は隠していたらしい。


「だいぶ時間はかかったけどな」


「初めはちっぽけな理由でさ、世森ってなんだか女性の苗字っぽいだろ。俺の見た目もこんなんだから、苗字で自己紹介すると、女だと勘違いされるんだよ。だから、高校では苗字はなるべく言わないようにしてたんだ」

「なるほどな」


 確かに湊は見間違うほど可愛らしい顔をしている。湊なりにそのことに悩んだのだろう。


「それで、湊って姉いるよな?」

「もちろん。美琴姉さんがいるよ」


 やっぱり、俺の思った通りだ!


「俺、バイトしている先の先輩が湊の姉の美琴先輩なんだよ」

「それは・・・知ってる」


 美琴先輩から俺のことを聞いたのか。はたまた新聞を見て気づいたのか。


「こんな偶然あるんだな!」

「そ、そうだな」


 湊は気まずそうな顔を浮かべていた。


 自分の友達が自分の姉と先輩後輩の仲なんて、そりゃ気まずいし、言いずらいか。


「聞きたいことはそれだけだ、そろそろ朝のHR始まるし、教室戻るか」


 若干気まずい雰囲気に、そう言って俺は湊から背を向けて、歩き出そうとした。


「それだけ?」

「え、それだけだけど。もう予鈴なりそうだし」


「そこまで分かってるなら俺がばらしたことも検討はついてるんだろ」

「・・・・・・え?なんて?」


「だから、俺が美琴姉とのことをばらしたこと知らない振りしなくていいって」


「・・・誰がばらしたって?」

「俺」


「何を?」

「噂を」


「誰の?」

「涼風さんと美琴姉」


「どっちの?」

「どっちも」


「・・・えぇー!!ガチで!?!?」

「逆にガチで気づいてなかったの!?」


 俺の声にかき消されて湊には聞こえてなかったが、後ろの方で瑞希の驚いた声も聞こえてきた。

144話も読んでいただきありがとうございます。

自分でも書いていてだいぶカオスな展開になってしまいました。もう少しスマートにするつもりだったのに・・・

これからも応援よろしくお願いします。

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