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将来

「じゃあ、司先輩また学校で!」

「ああ、ほどほどにな」


 一通り初詣も終わり、道の違う希と鈴賀とは別れることになった。


「はいっ!いっぱい行きます!」


 いい返事なのに何一つ俺の意図をくみ取ってない。


 もう希は1年生の中では、1番の人気者と言って過言はないのに、友達もいっぱいいるくせに俺のところなんて来なくていいんだよ。


 1番最初に仲良くした俺に忘れずに突っかかってくれるところは義理堅いというところなんだろうか。


 でもそのたびに、学校中の男子から嫉妬の目線を送られるし、女子からはあの2人デキているんじゃないか的な目線を送られる。


「私も隣のクラスだから新学期からは毎日行くね」

「鈴賀、お前は確信犯だろ」


 希は天然でこういうことをしているのが見ていたら分かるが、鈴賀は確信犯だ。


 自分の注目で俺が困るのを楽しんでやがる。


「まあね」

「勘弁してくれ・・・」


***


「さて、俺らも帰るか」


 2人と別れたからと言って別にやることもないし俺達は俺達で帰ることにした。


「ところでなんでお前たちは急にいなくなったんだ?緊急事態って言ってたけど」

「それがさ!瑞希のやつ急に酒に酔ったんだよ」


 俺は遥紀に先ほどの瑞希の状態について愚痴りたくなった。


「司、急に何言ってんの~」

「おい、とぼけるなよ」


「2人とも本気そうだけど、どっちの言ってることが合ってるの?」

「俺!」「私!」


 2人の声が被さる。


 まだとぼける気か。


「瑞希が飲み物売ってる店主に甘酒貰って酔ったんだよ」

「何言ってるの?私は豆乳貰ったんだよ?」


 瑞希がわざとらしく首をかしげる。


 でもその声は冗談っぽさはなくて、本気でそう思っているように聞こえた。


「え?ほんとにそう思ってるのか?」

「当たり前じゃん!」


「じゃあその後は?」

「その後・・・?なんか分からないけど気づいたら司に手引っ張られて、黒瀬君と桜井さん達と合流した」

「はぁ・・・」


 記憶ないんかい。


 まぁ俺としてはあの記憶がないのは都合がいいけど。


「だからそれが豆乳じゃなくて甘酒だったんだよ。それで酔ったから記憶がないんだよ」

「え~!ほんとのほんとに!?」

「ほんとの本当だ」


 その酒の弱さは本当に将来心配だ。大学生とかになったらサークルで酒飲まないようにしないと危険だぞ。


「あはは、涼風さんはお酒弱いんだね。司しっかり見ておかないとダメだぞ」

「なんで俺なんだよ。酒飲むって言ったら大学生になったらの話だろ」

「だからだよ」


「?」


 遥紀の言っている意味は俺にはよく分からなかった。


 その意味を考えていると、瑞希がふと俺に身を預けてきた。


「おい、瑞希急にぶつかってくるなって」

「ごめんごめん、なんだか足がふらついちゃって」


「まださっきの酔いが完全に覚めてないんじゃない?」

「しょうがないな。ほら肩貸してやるから」

「ありがとね」


「俺は道こっちだから、司はしっかり家まで送ってあげなよ。送り狼とかしちゃだめだからね。あ、一緒の家だからオオカミは確定か」

「うるさい、オオカミしないわ」


 そうして、遥紀とも別れて俺と瑞希だけになった。


「なあ、さっきなんで俺にポテトくれたんだ?」


 気になっていたことを2人になったので、聞いてみることにした。


「それは、ただお腹いっぱいになっただけだよ」

「嘘つけ、俺には1本しか渡してないのにその後普通に食べてただろ。それにご丁寧に手渡しまでして。もしかして・・・」


「ち、違うから!司にかまって・・・」

「俺になんか親切にして言うこと聞かそうとしてるんじゃないだろうな!」


「ば、バレたか」

「それくらい分かるっての」


 だてに瑞希と一緒に暮らしてないからな。


「それで何のお願いだ?」

「それは・・・今日の夜はオムライスがいいなっーって」


「なんだ。それくらいなら何もしなくても叶えてやるのに」

「やったー」


 なんだか気持ちのこもってないような気もしたが、気のせいだろう。


 そんなこんなで話をしていたら、自宅までもうちょっとのところまで来た。


「私がこんなで抵抗できないからってオオカミみたいに食べちゃダメだからね」


 そんなかわいい声で言うな。食べたくなるだろ。


「ったく本当に酒弱いな。あんなことまでさせておきながら覚えてないって」

「あんなこと?もしかして私酔ってる間になんかした?」


 あ、やべっ。


「あ、いや何もしてない。普通だった」

「絶対嘘!ねぇ何したの!司に何させたの!私!」


「絶対言いません!」

「お願い!教えてよ~!」


 これは墓まで持っていくと心の中で誓いながらマンションの入口に2人で入って行った。












「今、同じクラスの涼風さんと早乙女君が一緒のマンションに入って行かなかった?」

「それになんだか距離近かったような気がしたけど・・・」

123話も読んでいただきありがとうございます。

今日は3月31日ということで、世間では明日から新学期ですね。この作品でも季節感を合わせられたらいいなと思っているんですが・・・なるべく早く追いつけるように頑張ります!

これからも応援よろしくお願いします。

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ついにこのクソボケ主人公のお尻に火がつくときが…?
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