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答えられない

「ただいまぁーーー!」

「おかえり」


 2人一緒に帰ってきたが、俺は「ただいま」より「おかえり」が言いたかった。


 それほどまでに瑞希の帰りを望んでいたんだろうか。


「うわぁーめっちゃ綺麗!」

「綺麗って瑞希が掃除したんじゃねえか」


「あ、そうだった」

「全く、しっかりしてくれ」


 こんな何気ない会話をこの場所で出来ている喜びを嚙みしめた。


***


 ふと、俺のスマホにメッセージの着信があることに気が付いた。


 通知を見ると父さんからだった。メッセージは昨日届いていたみたいだった。


 昨日はバタバタしていて、ろくにスマホを見ていなかったから気づかなかった。


『息子よ、すまん』


 前置きも何もなくこのメッセージだけ届いていた。


 何のことだ?全く心当たりがなかった。


「あれ?昨日誰か来たみたい。宅急便かな?」


 瑞希がインターホンの不在着信があることに気づいた。


 瑞希が続いて不在時の録画を見る。


「あ、司のご両親だ」

「えっ!?昨日来てたのかよ」


 慌てて連絡が来ているか確認してみるが、父さんからも母さんからも、やはり俺の元には来ていないなかった。


「父さん・・・俺に内緒で来て驚かそうとしたな」


 母さんはおそらく連絡しようとしたが、父さんに驚かすからと止められたな。事前に連絡しないから俺がいなくて無駄足になるんだよ。


 あれ?でも昨日メッセージに来ていた『すまん』ってどういうことなんだ?


 連絡しないで来たのがすまんってのはしっくりこない。


 謝るくらいなら最初からやらないはずだ。


 じゃあいったい何だったんだ?


「あ、もう一件あるみたい。・・・」


 もう一つの録画を見ていたらしい瑞希の反応が急になくなる。


「ねぇ司?」

「なんでしょう?瑞希さん?」


 瑞希のその一言で部屋の温度が5度くらいは下がった気がする。


「この家に女の子を連れてきたことはあるの?」

「えっ!?なんでそんなこと・・・」

「いいから」


 なんだか取り調べを受けている気分になった。


「えっとー連れてきたというのは少々誤解がありますが、後輩の水上さんと同級生の桜井さんと遥紀の妹の玖美ちゃんだけだったと思います」


 俺が素直に答えたというのに瑞希の静かなる怒りは落ち着きそうになかった。


「それ以外の女の子は、司の住所は知らない?」

「はい!」


 住所とかホイホイ教えたりしないから、クラスの女子とかは知らないだろうし。そもそも友達いないから教えようとも教えられないし。


「ふーん。じゃあこれは浮気ってことで良いですね?」


 何事かと瑞希の近くに寄った俺に見せてきたのは、俺が先ほど挙げた名前には該当していない先輩の姿だった。


「美琴先輩っ!?」


 え、なんで?美琴先輩が俺の住所知ってんの?俺話したっけ?


 全く記憶がない。


 瑞希がなんだかごそごそとリュックを背負いだす。


「実家に帰らしてもらいます」

「ちょいちょいちょい!」


 瑞希の手を引っ張って、瑞希をなだめる。


「だって、高校卒業まで彼女作る気ないって言ってたじゃん!それが私に内緒でおうちデートなんて!」

「言ったけど!これは別件なんだって!」


 なだめている俺でさえこの件について全く何が何だか分かっていなかった。


「なにが別件なの?」

「それは俺にも分からないんだって。美琴先輩には住所を教えていないはずだし、第一何の用事で来たのかが分からない」


 住所は百歩譲って俺が記憶がないだけで話したとしても来た理由が分からない。


「おうちデートだったら俺がいない時に約束してるのはおかしいだろ?」

「そうだけど・・・」


 ここで俺は、さっきの両親が来た時間と美琴先輩が来た時間が近すぎることに気づいた。


「俺の両親が来た時間が昨日の15:35で美琴先輩が15:35で全く同じ時間だ」


 これは鉢合わせた可能性が高いな。


 まさか父さんからのすまんって美琴先輩関係か!?


「明日のバイトで美琴先輩とシフト被ってて、その時しっかり聞いてくるからそれまで待っててくれ」

「分かった。嘘ついちゃだめだからね。正直に話してね」

「もちろんだ」


***


「美琴先輩」

「どうしたの?司君?」


 翌日予定通りバイトで美琴先輩に会ったので俺の家に来たことを聞いてみることにした。


「この前俺の家来ましたよね?あれどんな用事だったんですか?」

「あーあれね。良いの気にしなくて」


 気にしなくてもいいと言われましても、すっごい気になるんですが。


 これじゃなんて瑞希に説明したらいいのか分からないじゃないか。


「そういえばスタッフルームに司君のイヤホン落ちてたよ」

「探してたんですよね、ありがとうございます」


 いつも使ってるやつだからどこに無くしたのかと思えば、ここに落としてたのか。


 危うく新しいの買うところだった。セーフ。


「・・・じゃなくて!気になりますよ。教えてくださいよ」

「やっぱりダメだったか。えーどうしようかなぁー。あ、じゃあ私の質問に答えてくれたら教えてあげる」


「いいですよ。何ですか?」


 別に美琴先輩に聞かれて困ることなんてないし、それくらいならお安い御用だ。


「涼風さんといつから一緒に暮らしているの?」

「えっ・・・?」

117話も読んでいただきありがとうございます。

100万PVまであと7000PVくらいになりました!

不具合も元通りになったみたいで100万PV達成の日には必ず投稿します!

これからも応援よろしくお願いします。

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