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真相

「え!司先輩に告白したんですか!?」

「しっー!声が大きいよ!」

「ああ、すいません」


 最近仲良くなった桜井先輩といつも通り帰ろうとすると、合流した途端、とんでもないことを聞かされた。


「なんで急に告白なんてしたんですか?」


 司先輩のことが好きなのは反応からだいたい分かっていたけど、この前新宿に行ったときに好きかどうか聞いたら、誤魔化すくらいだったから、告白する勇気なんてまだ持っていないと思ったのに。


「だって聞かれたんだもん。俺のこと好き?って」

「えっ・・・」


 この前私も聞かれたけど、桜井先輩にも言ってたんですか!?


「そしたら、つい答えちゃったの」

「・・・かわいい」


 あんまりにも乙女の顔をしている桜井先輩を見ると、思わず感想が漏れちゃった。


「でも、断られちゃったんだけどね。恋愛対象として見られないって言われちゃった」

「・・・そうですか」


 なんて声をかければいいのか分かんなかった。


「ほら、そんな暗い顔しない。分かってたことだからいいの。今日はカラオケ付き合ってよね」

「そ、そうですね!いつまでも付き合いますよ!」


 桜井先輩が割り切ろうとしているのに私が暗い空気を出すのはダメだ。


 今日は桜井先輩に付き合おうと決めた。


 すると、前方から知っている顔が見えた。


「先輩、偶然ですね!」

「司、偶然だね」

「なんか会いすぎじゃない?つけてるの?」


 声をかけて気づいたけど、これ相当まずい状況かもしれない!


 つい昨日、告白を断られたばっかりの桜井先輩と司先輩が鉢合わせるなんて!


「つけるなんてそんなことしません!それより私たちは今日は忙しいのでこれで失礼します!」

「せっかく会ったし、黒瀬君と司、駅まで一緒に帰らない?」


「!?!?!?」


 あれ?今、桜井先輩が誘った?黒瀬先輩じゃなくて?


「うん、いいよ」


「!?!?!?」


 あれ?今、司先輩がOKした?黒瀬先輩じゃなくて?


 そうして、流れるまま私と桜井先輩と司先輩と黒瀬先輩の4人で帰ることになった。


「ねぇ司、これ見て」

「ん?」


「今日勉強したこのページなんだけど分かんなんくて・・・」

「どれどれ・・・」


 2人で一緒の教科書を見ている。


「・・・・・・」


「ってこれ鈴賀の得意な教科じゃん。嘘つくな、分かってるだろ」

「バレた?」


 鈴賀って・・・

 いちゃいちゃして・・・


「う、」


「どうした希?」

「ぷるぷるしてどうしたの希ちゃん?」


「嘘つきー!バリバリ付き合ってるじゃないですか!」


「おいおいおい!急にどうしたんだよ!」


 さっきは断られたなんて言ってたのに、付き合ってるじゃん。


 むしろ恋人オーラ全開じゃん!


「見損ないました桜井先輩!私には嘘をついて断られたなんて言うなんて!」


 私の気持ちを知っているからこそ配慮してくれたのかもしれないけど、そこは嘘をついてほしくなかった。


「ちょっと落ち着いて希ちゃん!」


 必死な様子の桜井先輩を見て、少し冷静さを取り戻した。


「なんですか?」


 驚きのあまりちょっと声が大きくなりすぎて、近くに人がいたら聞こえちゃう音量だったから、今度は声のボリュームを落として聞いた。


「私達、付き合ってないから」

「俺達、付き合ってないから」


「誤魔化さなくてもいいです!だってあれは・・・」

「分かるよ、水上さん。俺もさっき言われたけど、信じられないもん。2人は友達なんだって」


「なるほど、友達ですか・・・」

「なんで遥紀の言葉はすぐ信じるんだよ」


 友達?こんな恋人みたいな友達いますかね?でも、友達ならこれくらい距離感もあるし?でも昨日告白したばっかりなんですよね?でもでも友達なら・・・


「まぁ、とにかく司と私は付き合ってないから!」

「すみませんでした、取り乱しました」

「大丈夫、今回のは司と桜井さんが悪いから」


「なんでお前もそっち側なんだよ」


 それからは仲良く4人で駅まで下校し、私と桜井先輩は駅前のカラオケに行くために司先輩たちと別れた。


「桜井先輩は強いですね」

「ん?何の話?」

「いえ、何でもないです」

「なんだよ~教えてよ~」


 私は司先輩に振られたときにこんな距離感を保っていけるだろうか?


 自信はなかった。


***


 4人が揃ったところまでは良かったんだけど、後ろに居るってばれないように距離を取っているから会話が聞こえずらい。


 う~ん、もう少し近づこうかな~?


 判断に迷っていた時、はっきりとした声が耳に届いてきた。


「嘘つきー!バリバリ付き合ってるじゃないですか!」

「見損ないました桜井先輩!私には嘘をついて断られたなんて言うなんて!」


・・・やっぱり。


 私の勘違いじゃなかったんだ。


 それから話し声はよく聞こえなくなって、私はこの場には居たくなくて、違う道を走って帰った。

109話も読んでいただきありがとうございます。

直接的にヒロインの恋心が描写される機会が多くなってきました。どうなっていくのか、お楽しみに!

これからも応援よろしくお願いします。

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