儲け話
「なあ、これに投資してくれたら、絶対に儲かるんだよ」
考えてみたら、目の前にいる奴はほぼはじめましての関係だ。
ネットで知り合ったやつらとオフ会を開くことになって、その一発目で仲良くなって、でも二次会へと入るや否やさっさと商売の話をしてくる。
こういうときにはいろんな理由をつけて、まずは断る。
あの手この手で投資をさせてこようとするものの、俺はどうにか断ることに成功したようだ。
「っち、もういいよ、お前には頼まねぇよ」
捨て台詞を吐いて、俺のそばからそいつはいなくなった。
ただ、その時に押し付けられたパンフレットや試供品の類は手元にある。
もっとも、この試供品、水に入れるとその不純物を分離して沈殿させ、完全でクリーンな水にすることができるという品物だ。
十中八九は詐欺だろうと思い断った。
今のところ、そいつの会社が捕まったという話は聞いていない。