3 やることなしっ!! では作りましょう
翌日の朝食はセアナが用意してくれたものを。
それ以降は、私が朝食を用意した。
引っ越しから1週間ほどが経つ私の毎日のルーティーンは、こうだ。
朝。なるべく早く起きて、朝食を準備する。
片づけまで終え、出勤するクロード様を見送ったあと、セアナがやってくる。
家の掃除や、昼食夕食の準備は彼女がこなしてくれて、旦那様が帰宅したら一緒に夕食をとる。
夕食の片づけを終えたら、セアナは退勤。
そのあとは、お風呂に入ってから寝る。
家のことはほとんどセアナが片づけてくれて、私は退役しているから仕事もない。
彼女が休みの日に家事炊事をするのは私で、普段から手伝いはしているけれど。
移動の疲れも癒え、こんな暮らしを続ける私は――
「ひ、暇……」
ベッドに大の字になり、そう呟いた。
しかも、これはあくまでクロード様の急な出動もない、日勤のときの話。
騎士の代表的な仕事は、魔物の討伐。
夜間であっても、魔物が現れれば出動することになる。
加えて、町の警備や巡回などもしている。
交代制にはなっているけれど、騎士の仕事に、昼も夜もないのだ。
新婚なことに配慮されてか、今のところ、クロード様は朝に出て夕方に戻れるようになっている。
けれど、ずっとこうはいかない。これから、急な出動や出張、早番や夜勤も出てくるだろう。
そうなると、私はさらにやることがなくなる。
「療養期間も暇だったけれど……。元気になったのにこのままは、流石に……」
ころん、と寝返りを打つ。
退役するきっかけとなった任務で負ったダメージは大きく、療養期間も長かった。
新居の準備を待っていた時間も含めると、1年の4分の3ほどを使っている。
身体を動かすことができないときは、割り切れた。今は休む必要があるのだと。
少し元気になってきた頃には、ベッドでもできる遊びを色々試した。
でも、すっかり元気になった今は、それだけでは満足できそうにない。
「なにか、やることを……」
うーんと悩んで、はたと気が付く。
私は今まで、騎士として各地を飛び回ってきた。
結界術と治癒術の腕に関してはこの国でもトップクラスのものだったという自負はある。
そんな立ち位置だからか、後方支援を厚くしたい任務に呼び出されることが多く、一か所にとどまっていられなかったのだ。
だから、いいなあと思うこと、やってみたいと思うことは、色々あった。
例えばーー
「植物を育てる! 行きつけのお店を作る! 新しいお友達を作る! あと、えっと……」
自分が抱いていた憧れを思い出し、表情が明るくなるのがわかった。
移動してばかりだと動植物のお世話はできないし、常連を名乗れる店もできない。
早くに騎士になったため、友人と呼べる人ができたのも、幼いころまでの話だ。
でも、今なら。自分には無理だと思って諦めていたことができるかもしれない。




