表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

ハニトロン

僕、カムカム。ハニトロンだよ。

普段はいろいろな植物を咀嚼して、汁や蜜を食べて生きている。

そうすると、銀色の美味しいサラサラ水ができるんだ。サラサラ水が身体の中になくなっちゃうと、僕らは死んでしまうから、たくさんの植物をモグモグするんだよ。

ある日、僕らは住処をグッドラッグ畑に移すことになった。

グッドラッグのお花は他のお花よりも甘くて美味しい。それに、サラサラ水がたくさんできる。

ここに移ることができてよかったなあ。

「カムカム〜」

あ、リーナだ〜。

「回復アメある?」

『あるよ〜』

回復アメっていうのは、サラサラ水を作る時にできる塊なんだけど、人間はあれが欲しいんだって。

他の植物だとトロっとした液体ができるんだけど、グッドラッグだけは塊になる。

リーナはそれを回復アメってよんでるんだ。で、こうして時々取りにくる。

僕らにとってはサラサラ水の方が貴重だと思うんだけど、人間にとっては塊の方が貴重なんだって。

「そういえばこの間、お手柄だったんだって?」

リーナが頭を撫でこ撫でこしてくれる。

『あの人達「お前らの持っている貴重な物を渡せ」って剣を突きつけてきたから、貴重なサラサラ水をたくさんあげたんだよ。なのに、たくさん飲んだら勝手に倒れちゃったんだ』

「サラサラ水?」

『うん、コレ』

「こ、これ?」

サラサラ水を見たリーナが、コレ水銀ジャナイヨネって頭を抱えた。

サラサラ水が水銀みたいなものだったら、人間にとっては毒になるんだって。

こんなに貴重な命の水が毒になるなんて、人間って変わってるなあ。

「毒ってどれのことだい?」

ヒョコっと現れたのはカイだ。

僕、カイのこと少しコワイ。

「びっくりしたあ!急に現れるんだもん」

リーナはそう言うけど、僕らは驚かない。リーナのつけているブレスレット、宝石の一部が黒魔石だ。要するにカイの支配下にある石だ。

リーナの周りに不穏なことがあると、どこにいたって飛んでくるのがカイなんだけど、気づいてないのかなあ。

「この銀色の水みたいなのがね、カムカム達の命の水なんだって。けど、私達が飲んだり吸ったりすると死んじゃうこともあるんだよ。たぶん」

リーナがサラサラ水をツンツンしようとしたら、カイがリーナを拘束した。

「それ、毒なんでしょう?なんで触ろうとしてるの?」

カイが笑えば笑うほどコワイと思うのは、僕だけじゃないみたい。僕以外の仲間が巣穴に戻ってしまった。

置いていくなんてひどいよ、みんな。

リーナの目も泳いでいる。

「それとも俺の目の前で触るとか、心配してほしいのかな」

黒い何が出ているよ!黒い何が出ているよ!

リーナは気づいてないのかな?!カイの腕の中でコテッと首を傾げた。

「心配させてごめんね。でも少し寒かったからぎゅっとされるとあったかいね」

ありがと、ってリーナが見上げたら黒いのがシュルシュルル〜と無くなった。

巣穴からみんなの頭が出はじめて、こっちの様子を伺っている。

「じゃ、じゃあもう少しこうしてるか」

寒いんじゃ仕方ないよなって、そのまま座り込んだ。

カイの足の間に座ったリーナがハート飴を作り始めて「食べる?」ってカイに差し出してる。

カイが元気いっぱいになったら困るのリーナだと思うんだけど、やっぱり気づいてないみたい。

巣穴から出てきた仲間が、ハート飴を作り始めたリーナのところに塊を運び始めた。

この塊、ハート飴になると僕らのケガや病気が治っちゃうんだよ。だから塊はリーナにあげるの。

だけど、大好きな形っていうハート飴をもらうには、カイの目がないところじゃないといけないんだ。リーナの大好きはカイのものなんだって。

銀の女神が死と再生をもたらす女神と言われるようになったのは、サラサラ水とハート飴が深く関わっている、ってやっぱりリーナは気づかないんだろうね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ