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邪神は異世界に舞い戻る

初投稿作品でブックマークをして下さった方、ありがとうございます。

作者にやる気が補充されました。やっと勇者の召喚部分まで書けましたが、戦闘シーンはまだ先の予定です。

 「よお、心哉。放課後にゲーセン寄って行こうぜ。今日、バージョンアップで格ゲーに新キャラが追加されるから、前回のリベンジマッチといこうじゃないか」


 心哉に話しかけてきたのは小学校以来からの悪友『鈴木啓太』だ。

 どうやら前回、格ゲーでぼこぼこにしたのを根に持っているらしい。


 「受けて立とうじゃないか。と言いたいところだけど、今日はバイト日だからまた明日でよろしく」


 「そういや、心哉はバイトの日だったか……じゃあ、今日は新キャラを練習しまくって明日のリベンジマッチに備えるとするか」

 

 「すまん、明日はその分ぼこぼこにしてやるから許してくれ」

 

 爽やかな笑顔を浮かべながら心哉が返す。

 

 「そんなことを言っていられるのも今の内だからな!俺が勝って泣かしてやるよ、絶対だからな!」


 根拠のない自信を持って胸を張る悪友に呆れつつも携帯の時間を確認するとバイトへの時間が迫っていた。


 「もうそろそろ、バイトに行かないとやばいから、またな啓太」


 「おう、心哉の泣き顔を見れると思うと明日の放課後が今から楽しみだぜ」

 

 既にリベンジマッチに勝った妄想をしている啓太を背に心哉はバイトに向かった。


 ―――その約束を果たすことが出来なくなるとは夢にも思わずに


 ◆◆◆◆◆

 

 「やばいな、急がないとバイトに遅れちまう」


 現在位置からは、まだ距離のあるバイト先との時間を計算してみたがぎりぎりの時間だ。

 

 ―――まあ、遅刻しそうだからって『力』を使うわけないんだけど

 

 邪神の力を行使出来る心哉にとっては、この世界は脆過ぎた。

 かつて、女神イヴェリアがした封印はとっくの昔に解けており、日常の生活では必要がなかったため、自ら再封印を行っていた。

 やろうと思えば、世界の裏側に一瞬で移動だって出来るし、普通に生活していれば一生見ることが出来ないような大金を手に入れること、考えこともないが世界を滅ぼすことも可能だった。


 心哉は今の生活が好きだった。

 両親は愛情を注いでくれたし、彼女はいないが学校には気の合う友人がいてバカをやって騒いだり、啓太とは「どっちが早く彼女が出来るか勝負だ」なんて約束をしていた。

 

 心哉が邪神の『力』を行使しない理由は、そんな生活を壊す可能性がある不確定要素を排除したかったのと、日本のサブカルチャーに触れた際に知った『中二病』の存在だ。


 中二病を題材にしたアニメやライトノベルを見て内容を理解したときは、前世での所業を思い出し、羞恥のあまり、部屋で転げ回ったほどだった。

 特殊な力の行使や他者を見下す発言、世界を滅ぼしたいという衝動など、前世で当たり前だったことがそのまま、特有の年齢で発症する『病』として紹介されていたのだ。


 ―――『力』の行使は今生では必要ないな


 世界の全てが平和というわけではないが、その中でも日本という国では、まず必要ないものだろうと心哉は考え、本当の緊急時以外に封印は解かないと心に強く誓っていた。


 「さて、本気で走りますかね」


 そう気合を入れて走り出そうした心哉の足元に魔法陣が展開された。


 ◆◆◆◆◆


 ―――勇者の間


 「これより勇者召喚の儀を執り行う!」


 華美ではないが見る者が見れば上等な布が使用され、高度な技術をもって刺繍が施された服を纏った神官が厳かに宣言した。

 宣言と同時に第一魔法師団の中でも選りすぐりの魔法使いたちが魔法陣を囲み、勇者を召喚するための詠唱を始める。

 

 それを頬を紅潮させ興奮気味に見守るのは第一王女のシルフィーナだ。


 「ついに私の勇者様が召喚されるのですね!」


 五百年振りに勇者を召喚すると王より話があり約一年。シルフィーナが心待ちにしていた瞬間が訪れようとしていた。

 

 ―――勇者様に最初はなんて声を掛けよう


 色々と考え過ぎて結局はそんなことを真剣に考え始めたシルフィーナだった。


 勇者の間に設置された魔法陣に魔力が満たされていき、それを呼び水として魔法陣の『異世界を繋ぎ、■■を召喚する効果』が発動し、勇者の間を白い光が埋め尽くした。


 ―――光が収まった魔法陣の中心には一人の少年がいた。


 背はそれほど高くはないが、初代国王様と同じ黒髪に黒目、服装も初めて見るものだが黒色で軍服に近い感じがする。

 まだ、少年は混乱しているようでその目を大きく見開いてこちらを見ていた。


 ―――どくん、どくんと心臓が早鐘を打つ


 シルフィーナは少年と目があった瞬間にその眼に引き込まれた。

 以前見た初代国王、勇者様の絵姿を見たときには変わった目の色としか思っていなかった。だが実際に少年の眼をみて思ったの純粋に綺麗だという一言だった。

 

 ―――シルフィーナは初めての恋をした


 永遠に続くかと思われた瞬間も唐突に終わりを告げた。

 その眼に引き寄せられるように、ふらふらとシルフィーナが少年に近づきこう言ったのだ。


 「よ、ようこそ、ゆうしゃしゃま!ふちゅちゅかものですがどうか末永くよろしくお願いしましゅ!」


 「……えっ」


 我に返ったシルフィーナだが、もう全てが遅かった。


 「……う、うぅーー」


 場には、涙目で恥ずかしさから顔を真っ赤して唸るシルフィーナと、困惑した少年の声だけが響いた。

 

文章の書き方などを色々試しているところです。

ブックマークや評価、感想等いただけると作者の励みとなりますのでよろしくお願い致します。

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