6*同胞もまた拾い物
◇ は視点変更です。
少し短めです
鎧を纏った騎士のような機械が、サードだと思っていた。
しかし、鎧は着脱可能のようで、中から人間が出てきた。
……どういう、ことだ。
人間の容姿を持っているのはセカンドではないのか。
「サードは、特別種と普通種に分かれる。俺たちは特別種、サードのうちのおよそ2%だ。フォースを作ったのはサード普通種」
セカンドにも上位種と亜種がいるように、サードも分かれていたのか。
……でも、成長過程で進化を遂げるのは人間から生まれたセカンドだからこそ。サードは変化したわけではない、ということは。
「最初からセカンドにそう作られたんですか?」
「あぁ」
「何で?特別種と普通種はどう違うんです?」
そう矢継ぎ早に聞くと、人間らしく表情を歪めて面倒くさそうに近づいてきた。
鎧はどこかに収納され、上半身は裸。しかし人間の肌のような感じはなく、心臓部には蓋のようなものがあり、また品番のようなものも書かれている。
腰回りには、鎧に付属しているものだと思っていた鋼鉄の尾が巻き付いており、腰から直接出ているものと分かる。肩の方にも背中からかかっており、4股になっているらしい。
下半身は薄い鎧のようなもので覆われている。
乱暴にしゃがみ、座り込んでいた私の顔を掴んだ。
セカンドにしろサードにしろ、奴らは人の顔を掴むのが好きらしい。
……違う。
顔に近づいたサードの顔。
目は青く光っており、人間ではないことが明らかだ。そしてそれは私の片目を……
「っ、やめっ!」
顔を掴んでいた手を掴み離させ、慌てて目を瞑って顔をそらした。
「……抵抗するな面倒だ」
「個体認識は嫌です!」
「片目を抉り出して個体認識するか、そのままの状態で個体認識するか。どっちがいい」
抑揚のない声、機械特有の感情の見えない目。もう一度顔を掴み、尾を眼球の前で蠢かせる。
冷や汗が、背中を伝った。
優しい、とか。
少しでも思った自分が愚かだった。
人間らしい、とか。
見た目が人間なだけで、中身は機械。心なんてない。
恐ろしくて声の出ない私を見て、ため息をついたサード。そのまま個体認識を終わらせ、尾を腰回りに収めた。
「ここにいろ。お前は売り物だからな、勝手に動いたり傷をつけるなよ」
そう言い残し、サードは鎧をもう一度着け、ドアを作り出してそこから出て行った。
軟禁状態、になった。
フォースに殺されるよりは寿命が延びたが。
「エルザ……」
親友のことを心配することで、これからの自分の不安から逃げたかった。
◇
「よう、フォース1体やったんだって?」
家から出て森へと向かう道を歩いていると、昔からの知り合いに出会った。
「ルーカスか。あぁ、そうだが。……機嫌が良いな」
「良い拾い物してな」
クッ、と楽しそうに笑う彼は、サード特別種の中でも感情が豊かな部類に入る。
「人間の女か」
適当に、ただある思い当たりもあったためそう聞くと、驚いたように言われた。
「何で分かった?」
「……どうでもいいだろ。それで、どうした」
「気になるな。いやな、最初は売ろうと思ってたんだけど、やっぱ人間の女って可愛いのな!アンドロイドとは違うわ。セカンドが欲しがる理由も分かる」
どうやら結構情を持ったらしく、終始楽しそうに女の様子を話している。
「売らないのか」
「あったりまえだろ!あ、でもこの戦いで俺が死んだらお前の好きにしてくれていいぜ」
「……分かった」
後で見に来るか、との誘いは断り、先程フォースを倒したところに向かう。
爆発したといっても、破片は残る。その回収に仲間のフォースが……来ていた。
情報漏洩防止のための行動が穴になったな。
未だ気づいていないフォースの背後から、攻撃した。
名前をENから色苑ラク(シキエラク)に変更いたしました。把握よろしくお願いいたします。
これからも精進します。