7 ブラックボックス
プラトニックな俺たちと真逆な二人は再び
「巌、どこ。」
なんてやり取りを始めていた。カチャカチャと金属のぶつかる音。
「見つかんないよぉ。」
あれさがしているのかな〜、なんて。
「どこよ、巌。私、汚すのいやだから。」
彼女の声は泣き出しそう。
でもって多分平松は
“可哀相っ!!”
って思ってる。俺を見つめるこのうる眼・・・・。
う〜!これで下手に告知しちゃったら、
「保健委員長ってさ、苦しんでる人前にして、そう言う事考える人だったんだ〜。ふ〜ん。・・・・最っ低!!」
って、嫌われるんだろうなぁ。
「意地悪しないでよぅ。」
「馬鹿。爪立てんなよ。」
まんざらでもなさそうな声が上から響く。
「どこに有るのよ。」
「それが人に何かを頼む態度か。ん?」
出た!どSモード!
ほんの少し間をおいて、ベッドの足下へどっちかが下がる気配。
それから再びカチャカチャカチャ。ズボンの中探してる?ねぇ、上着の中は探した?
「馬鹿。」
何かが投げつけられる音。また少ししてから、ブレザーの袖がベットの端から飛び出し、引き裂くような乾いた音が聞こえた。
「自分の躯だもんな。自分で大事にしないと。」
その、とっても当たり前なんだけど、もの凄く意味深いお言葉に感服。
「口、大きく開けて、そうそう。その方が楽だから。」
いきなり!?
って、まさか。
・ ・・・凄げぇ。
そう思いながら、やっぱこの状況平松には絶対分かって欲しくないぁ〜なんて正直思った。
いや、別に俺だって確信無いけどさ、見てる訳じゃないし〜。あ、も一度言うけど、見てる訳じゃないし〜。
「おっ、なかなか上手いじゃん。」
男は余裕かましっぱなしで。ってか、あれ?しかも秒速?早くね?
って事は、俺が考えている事とは違うって??
はい、妄想タ〜イム。優等生はここでどんな事をしたんでしょ〜うか?
1 短剣飲み込むマジックやらかした。 ← ちゃららららら〜♪ オリーブのなんちゃらら
2 のどの奥に噴霧式スプレーを使った。 ← ばい菌撲滅。 これでのどの奥もすっきり♪
3 舌でチェリーの小枝を丸めた。 ← ガキの頃やったよ。えろーとか言いながら。
4 バナナを一本丸呑みした。← これもある意味マジックか。
5 救急蘇生法の練習をした。 ← 保健委員でマウストゥマウス練習したぜ、男の人形相手にな。
6 ラマーズ法で出産している。 ← いや、これは忘れてくれ。
・ ・・・打ち明けるけど、下にいる俺、正に混沌。カオスだぜ。
「助けて、苦しいよ。」
なんて。まぁ、サイズが違うからなぁ・・・・って!!ここまで話し聞いてりゃお前ら今までだってやりたい放題やってんじゃんぇの!?
何が
『助けて。』
じゃい!!さんざん数こなして来てるよな?お前ら!もう絶対!!ここに来て
『そんな事無いよ、今日が初めて♪うふっ。』
なんて、有り得んじゃろ。
・・・・なんと無く腹が立って来た。
下からどついたろか!
そのとき、平松が少し、ほんの少しすり寄った。彼女の顔はさ、俺のこのマグマの様にドロドロな心の内とは正反対に困った様にうつむいていて。
あっ、可愛いっ、てそう思う訳よ。
上の奴らは勝手にやってろ。羨ましいけどそれがどうした。
だって、平松、可愛いもん!!
てめぇらみたいな盛りのついた獣どもにプラトニックが分かるかい!!
俺は彼女の不安をなだめる様にそっと抱きしめたやったさ。どうだ、見ろ!俺って紳士だろ?確かにさっきまでは
“やりて〜!!”
だったけどさ、ってか、正直今だってそうだけどさ、物事には段取りってモンが有るのよ。段取りってモンが!
そんな神聖な空気を打ち破ったのは
「落ち着いた?」
の男の声。
・・・・、何が、何が落ち着いたの?ねぇねぇ、落ち着く事なんてあるの?
ってか、やっぱ出来たの?ねぇ、本当に出来たの?以外にあっさりだったじゃん??サイズ違うんじゃねぇの??180 と150 だぜ!?途中に
『痛い!』
とか、無いの?
それとも、もう終わったの?カップ麺より早っ!
ってか、これってやっぱ、平松が正しい訳??
謎!!
こうなったら!! つづく