6 古生代 へようこそ!
小説家になろう 企画関係者さまへ 重ね重ね申し上げます。R15 ヤバそうな時にはご警告をお願いします。速攻退散します。
ほっとしたのもつかの間。
目の前の彼女がいきなり動きを止めた。
「えぐっ!」
それにつられて平松も体硬くして。
「大丈夫?」
って言わんばかりに体乗り出して・・・・!!
止めて〜〜〜!!触っちゃ駄目〜〜〜〜!!
助けちゃ駄目〜〜〜〜!!
平松の事、がしって抱きしめ壁際まで駿足下がった。彼女の耳元、
「花園ツイテルカラ、花園ツイテルカラ、花園ツイテルカラ、花園ツイテルカラ。」
頭と頭くっつけ、骨振動状態で念仏みたいに繰り返した。
「ソウ思ウ?」
不安でいっぱいのお人好し彼女。
「彼氏ツイテンダカラ大丈夫。」
それ聞いて少し頷き、ちょっと緩んだ顔をした。・・・・しかしまぁ、平松ってよくこんな騙されやすくって今まで生きて来れたなぁ。
英が肩で息をする気配を感じながら、男のくすくす笑いを耳にした。
「気持ち悪っ。」
不愉快そうな女の声。
「飲むからだよ。」
飲んだの?
「そんな、吐いちゃったら、汚しちゃうし。」
一口ゲロかな?飲もうとおもえば、飲めるよね。確かに気持ち悪いけど。
「だからって、飲んだの?お人好しだなぁ。」
優等生だもん♪
「そりゃ、あんたは・・・・!もう、いいよ。」
いいよね、そりゃ、花園君が飲むんじゃないから。
「うがいしてくれば?」
そうそう、それがいいよ。イソジン使っていいから。ついでに早く退散してくれる?
ムカつくから。
先週もらった旬で美味い生のホタルイカを、そのまんま忘れて冷蔵庫に1週間も放置して、見た目塩辛なめくじ状態にしやがったうちの馬鹿親並みに、いいかげんにせいや!!だよ。
しかもソレ、臭ぇし!!
ぽんっ、と男が上靴を脱ぎ、ベッドがみしってきしんだ。
最悪のパターンだ。唸ってしまいそうな俺。
とその時、頭の上から埃が落ちて来て、
「っ・・・・・!!」
平松が鼻を少しすするような動作をし、ほんのり口を開け・・・・!!
お願いだ、こんな時にくしゃみなんかしないでくれっ!!
俺は必死で彼女の口に手をあてがっていた。
「んっ!!」
彼女は一瞬暴れようとした。
ばれる!!やべっ!!
校内放送で6時を告げる鐘が鳴り、ざわめく校庭。勢い良く流れ出す水道の音に、ベッドの上に誰かが寝転がる物音。ついでに、
「早く来いよ、英。こっちの方が楽だぜ。」
の声。
神様って、いるんだぁ〜。
少し涙目の平松が
「アリガトネ、保健委員長。」
って動いたから、ちょっと気持ちが落ち着いた。
それにしてもぱらぱらと落ちてくる埃。空気悪っ。その上匂いこもってるは、原始動物が活動しているは、ここ、太古の世界か?
彼女は心配そうに周りを見回した。もの凄く可愛いんだけど、この状況を全〜〜〜〜ったく把握してい無いって事が分かっているから、複雑。
仕方ないから
「大丈夫だよ。」
なんて意味わかんねぇ言葉呟いて彼女の肩にそっと手を置いた。
再びベッドがきしむ。彼女も上に乗ったっつー事ね。
それからごそごそと言う音。
「ねぇ、どこ。エチケットパックが無いよ。」
彼女は甘ったるい様な、それでいて不満そうな声でそう言った。
「お留守だよ。」
男の声がマットレス響かして聞こえた。
何が、お留守なんだ?!
「いつも言ってるよね、英。準備の前に準備が有るって。」
まぁ、そうかも知らんけど、よく分かんねぇ!
「だったら、協力してよ。」
ベッドの中央が大きくきしむ。
「ふふん。」
今度はベッドの頭の方が揺れ、彼が伸びて大の字になったのが分る。
「2回。」
それはさっきも聞いた言葉で。
「お願い、間に合わないかもっ。」
彼女の声は懇願そのもの。わずかに中央部のへこみが元に戻り、足下が揺れる。でもって、いきなり!!
恐竜が肉食むような怪しい物音。
時々怪鳥(正しくは翼竜)が飛んでいるらしく、ぐえっぐえって鳴いてるし。
平松は小さく丸まりながら俺の腕の中に収まって、怯えた様に上を見上げていた。そりゃ、怯えるよね、普通。俺だって怖ぇえよ。
やっぱりここ、古生代 だぜ。
まだ つづいてる・・・・・。