5 SOS 誰でもいいから助けてください!
彼女は俺の腕の中で小さく震えていた。・・・・本当、ご免。俺があんな事しちゃったばっかりに、こういうドツボにハマっちゃって。
平松がかまととぶっているわけじゃねぇぜ。念のため言っとく。こいつらが野生の王国なだけだからな。
腕の中が微かに身じろぐから、俺は力を緩めた。
「大丈夫?」
小声で
「うん。」
彼女は青ざめながらうなずいた。それからクチパクで
「デモ、英サン、モット大変ソウダッタヨ。」
・ ・・・・・はい?
「コノママ苦シンデイルンジャ可哀相。横溝サン、呼ンダ方ガ良イヨ。」
・ ・・・・・空耳?いや、違うよね。
「由加里ニメールシテ先生ニ来テモラオウ。」
って彼女、携帯出してるし〜!!
ダメダメ、それはいけません!!
俺は慌てたさ!!とにかくこいつらがさっさと済ませていなくなる、それ以外解決策なんて無いんだって。メール打って横溝さん、来てみい!!今、この現場に!!ヤバいだろ、それ!!
彼女、叫ぶぜ!
ってか、やっぱ平松、状況分かってないのね。
溝口さん来たら、ここ激流の真ん中になるよ。
教官総出の大騒ぎになるよ。もち、俺たちここにから出られなくなる。・・・・プリズンブレイク? あ〜保健室からの脱出ね〜、っておい、そんな事言ってる場合じゃ無いって。
挙げ句に俺ら見つかってみ。しゃれならんだろ?俺たちやってんの、覗きだぜ、覗き。ピーピング。風紀委員長と保健委員長が揃って、の・ぞ・き。絶対、笑い者。校内新聞号外でちゃうよ!?
『保健室、ベッドの下の風紀取り締まり。4月は強化月刊です。あなたも、見られてる!!Watch out !! 』
んでもってなんて弁解するのよ。
『床下の掃除してたら、こいつら始めちゃって。』
ってか?無理!! それ絶対、無理!
その上これが他のヤツにばれたらどうなると思う。
『写メ撮った〜?』
『ボイス機能使ったの〜?』
『聞かせて〜』
『でもさ、ライブで送ってくれたら良かったのに。メモリーくれる?PC起こしてあげるからさ〜。』
『で、ご一緒だった平松君とはどうなのよ、あっちのほう♪』
『聞きてぇ、聞きてぇ。』
『えろえろえろえろえろ〜〜〜♪』
うわぁぁぁぁ〜〜〜!!
勘弁してくれ〜〜〜!!俺は、チェリーなんだぁ!!
でもって俺の事見ている彼女の瞳はマジ真剣で。
「本当ニ吐キソウダッタヨ。アレ見テ可哀相ダッテ思ワナイノ?コノママジャ駄目ジャン。助ケテアゲナキャ。苦シンデルンダカラサァ。誰カ呼バナキャ。ソレトモ何、知ランプリスル気?」
したいです。
「マサカ放ッテオクノ?保健委員長、最低。」
最低・最低・最低・・・・。
最低なのは、こいつらだよ!!
俺は今日何度目かの嘘をつく。
「俺、横溝サンニ直デメール打ツネ。」
にこっ。・・・・・。
騙されてくれ・・・・。
って、騙されてくれるし。可愛いけど、ちょい凹むかも、別の意味で。
俺は偽メールを打った。
“重傷の人、いますから。大至急助けてください。”
自分ちのパソコンに。
彼女が納得って、頷いた。
つづく
SOS 誰でもいいから、作者、助けてやってください。
ところでこれ、ギャグのつもりで書いてんですけど、笑ってもらえていますでしょうか・・・・・?